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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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クリスタル・ロード 0057  情報集めと冒険者稼業

 「特別な仕事・・・ですか」



冗談なのか本気なのか、領主様がそんなことを言い出すとは?


「私は本気だよ、衛士候補の試験で候補生トップをあっさり負かしたそうだし、それが見た事もない技だっただの、狼の群れを一人で(ほふ)っただとか聞かされりゃ、使わなきゃもったいないと思うよ」


 「恐れ入ります」

 父さんが代わりに答える、地味に得意げだ。


「君はまだ子供だから警戒されにくいだろ、冒険者としてもこれからだし、他の仕事をしながらで構わないんだ、もちろん給与を払うし」


「それで、具体的には何をすれば?」

「情報集め!」   


 ここで領主は言葉を切って、こちらをじっと見る。

「情報、何についてですか?」

「あの狼についての事をお父さんから聞いてると思うけど・・・」


彼がちらりと見ると、父さんは黙って(うなず)いている。


「あれは人が介在している、その前の魔物の群れも、たぶんだが、  ね」



 魔物は統率されたような動きと言っていたか? 


「誰が、どこで行っているかですか?」

「犯人を捕まえろ、とは言わないよ、 噂や不審人物、不審な物、等の調査でね、報告は父君を通してくれればいい、君がここへ来る必要は無いからね」


それはそうだ、出入りしてるとばれるからな。   


 「自分にどれほどできるか、わかりませんが・・」

「では引き受けてくれるね、助かるよ、優秀な人材は貴重だからね~」


おだてられてる分、役に立てるといいが。


 「話はこれで終わりだけど、帰る前に少し手合わせ頼むよ!」

「また近習(きんじゅう)に小言を食らいますよ」 父さんが(たしな)めるが、また?

「いいんだよ、たまには体を動かしたい、 さあさあ、これを持って!」


細身の剣を渡されるが、刃が鈍いので練習用だろう、金属製だが。


 部屋が広いのでスペースは十分あり、すぐに打ちかかって来る。

軽く打ち合うが、力量は十分ある人と、すぐにわかった。   


「本気出していいよー、 私も剣術は得意だからね、負けないよ」


そう言われてもな、間違っても恥をかかせるわけには・・・。

しかし少し打ち合うだけで済んだ。


「また・やってますな~!!」

ドアを勢い良く開けて、執事らしき人が飛び込んできたので、自分たちは領主様を尻目に早々に退散してきた。


 父さんによると、あの方は執務が煮詰まると剣を振り回したがるのだそうだ。

温厚そうな割には戦場を駆けたいタイプなのか? 

平和そうな町でも領主の仕事は大変なのだろうか。



    ************************   




帰るとすぐに馬車の補強に取り掛かる。


車輪や車軸も最上の物で、荷台は魔物の皮と金属、屋根を付け革張りにし骨組みももちろん強化、魔物相手にも耐えうるようにするつもりだ。

ドラゴンなど大物相手とはいかないが。


 畑の脇で作業していると4人組が見に来る。


「何々、これ自分の馬車?」

「ずいぶん金かけてるんじゃないか? 車輪なんて軍用だろ?」


「しかも屋根付きですか、これなら寝られますね」

「小さめだが、丈夫そうだな、  これは良い物になるぞ」


皆、気に入ってくれたようで良かった、今までの金をつぎ込んだ甲斐(かい)がある。


「これがあれば冒険者としての依頼もこなしやすいし、協力してくれますよね?」

「おお、もちろんだ、任せろ」


「父さんの許可を取ったし、もう冒険者に復帰できますよ」

「「やった!」」


「でも畑仕事も悪くないよね、ギルドでいい仕事が無い時なんて」

「確かに、 安定収入になるからな」


やはり生活の為にはそちらもある方がいいのか?


 「できれば、こっちの仕事も続けたいよね、 臨時程度でも」

「たぶん大丈夫ですよ、手伝いは必要だし」


 などと話していたら、ムーアさんもやって来た。   

一人畑仕事に慣れてないのか、腰が痛そうに押さえている。


「あ痛たた、何してんの? 修理?」

「じゃなくて、馬車の装甲化! 軍用顔負けの、な」

「へ~、 やるじゃない、冒険者稼業の為?」


 「それで前に買った爆弾やら、煙幕弾やらをまた欲しいんですけど」

「毎度~、どんどん売るよ~、 えへへへ ♪」


 「それで、造るのを手伝いますか? なるべく多く欲しいんで」

「あ、それ助かる、最近売れてるから造るのが追いつかなくて!」


 「俺達も手伝うか?」

「え、良いの? きゃ~っ」    

「その分安く売ってくれ」


 などと言いながら、冒険者としての準備が進んで行く。


「でも、皆さんしばらく休んでて腕がなまってませんか?」

「「「ぎくっ」」」


あ、まずい事聞いたかな? でも今の声は3人分だったような?


 「自分は毎日訓練してるからな、問題ないぞ!」

グロフは引き締まった顔で言う、さすがは実質のリーダーだ。


「私は、そこそこ練習してますからね、なまるほどでは・・」

「わたしも~、 まあまあかな? カンが戻れば」

「だ、大丈夫だ、直ぐ・取り戻せる、うん!」 この人が一番やばそうだな。


  

 ポーションも用意しなきゃ、魔石は?、どの辺に行くか、依頼を受けるか、魔物狙いかなど色々話しながら盛り上がっていく。


その日は夜遅くまで各々の武器、道具の手入れや訓練で慌ただしくなった。

ついでにフレアに魔法の手ほどきを受ける、まだ初歩ではあるが。



情報集めの仕事は秘密である、これは一人でやらねばならない。


知っているのは当面父さんだけだ。





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