クリスタル・ロード 0005 お酒は大人になってから
パーティ当日、テーブルには3段重ねの大きなケーキが乗っている。
普通こんな大きなものはつぶれないよう中は箱になっていて、いわゆる上げ底だがこれはそうじゃなく中は固めのお菓子だそうだ。
つまり外側のケーキを食べるとお菓子が出てくるというリーシャ特製である。
しかも美味しい。
うちの母さんも手伝ったそうだが、やはりリーシャには素質がある。
他はシチューやスープ、父さんは焼肉の担当だ。
おおざっぱな性格の割には焼き加減が絶妙で柔らかく美味しい。
鳥の丸焼きも有るがこれも絶品 リ-シャ一家と6人で、どんどん減っていく。
「このワインも美味しいわよー、どんどん飲んでね」と、うちの母さん。
それ何杯目ですか?
皆、一通り食べるとリーシャの母さんの今後の話となった。
「魔法塾を始めようと思っているの」
「そういや、冒険者の時は魔法担当だったか、治療や強化の」
父さんが言う。
「今更冒険者は無理だしね、娘もいるし・・」
「そうね、危ないもんね」
母さんがワインを勧めながら言う。
「正規の魔法学校は高いでしょ、推薦は手続きがいるし」
「なるほど、塾で安く学べるならな」
父さんがワインをあおる。
と、ここで閃いた 魔法!役に立ちそう。
「自分も習いたいです!! 魔法!」
「あら、ネビィなら無料にするね お礼もあるし」
やった! ラッキー !!
「魔法に興味あるの?なんか意外 剣術のほうが好きそうなのに」と、リーシャ。
「色々やってみたいんだ」
広く浅く・・できれば深く。
「うむ、やって損は無いな、しかし剣術も手抜きはいかんぞ」
父さんはそう言ってワインをぐびぐび飲む 飲みすぎでは?
「今日はめでたい日だ どんどん飲むぞ~ お前も飲めー!! 」
自分は子供なんで飲めませんて。
翌日、うちの親は朝から元気に仕事をしている タフですね。
リーシャ一家は大丈夫だろうか?
「おっはよー !!」
元気にリーシャがやって来た。
この子も飲んでたはずだが・・・。
「だってお母さんが勧めるんだもん、おかげで今朝寝坊しちゃった」
子供に飲ませちゃいけません!
リーシャの母さんは塾を開く準備でギルドに向かい、リーシャは手伝いに行った。
さて自分は何をしようか?
そういえばあの雷爆弾、一発しか試してないな。
お姉さんから感想を聞かせてと頼まれていたし、この前とは反対側の郊外へ行く。
そこは深さ30mほどの沢になっていて両側は岩場の急斜面、長さ10㎞ほどで、登り降りできなくはないが、しんどいのだ。
父さんにここで鍛えられたことがあるので慣れている。
ここなら音や光が遮られるだろうと、投げ込むことにする。
念のため回りと、沢の底を確認 木が少しあるが見通しが良いので問題ない。
人気無し! では投下準備。
あれを取り出し、落ちない様少し離れて振りかぶり思い切り投げる。
沢の底で炸裂し、ドーンと音と光が広がるが街までは聞こえないだろう。
鳥が驚いてふらふらと飛んで行ったが、ケガは無い ・・無いよな?
ではもう一発と取り出したところで、沢の先、遠くで何か動いたような気がした。
? ?? 何だろうとよく見ると土煙が上がり、数秒後やや近くでまた上がった。
こんな所に魔物が来たのか? 目を凝らしていると少し近くでまた土煙が。
小さな木が飛ばされ、その手前を数人が駆けて来る。
魔物に追われている?!
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