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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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クリスタル・ロード 0049  目覚めるとき

 ベットに潜り込んで、すぐに深く深く眠りに沈んでいく。


静かな闇の底に、でも嫌な感じはしない、温かく穏やかな底へゆっくりと沈んでいく。 

     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 


 闇の中に 光っている物がある、あれは・・なんだろう。

細長い物が置いて・・・飾ってあるのか? 鈍く銀色に光る金属    剣か?


ずいぶん良さそうなものだ。

手に取ってみるとずっしりと重く、冷やりとした感触、(にぶ)(つや)、なかなかの品、抜くと刃の落ち着いた輝き、たぶん名刀だろうと、そんな気がした。


 これをずうっと前に使ったことがある、自分の手の一部、体の一部となり、野山を駆け巡り振るったことがある。

   

この重さ、手ごたえを心強いと感じて、信頼して命を預けた日々があると確かに感じる、これは間違いなく自分の(つるぎ)だと信じられる。


 自分はその時子供ではなかった、確かに大人の体、それも屈強な鍛え抜いた体躯(たいく)、何者にも負けぬように鍛錬を欠かさなかった体であった。


 たとえ素手であっても並みの相手になど負けない自信があって、剣を持てば無敵と感じ実際に負けなかった。

自分の名は全土に広まり挑んで来る者を次々に倒した。


 そして遂に一国の主となった。


 そうだ、自分は領主、王だったのだ。

やっと思い出した、なぜ忘れていたんだろう、大事な事のはずなのに。   


 自分の強さ、戦い方も思い出した。

子供の体でも強さは発揮できるだろうし、これから鍛えるのも成長もできるだろう。


元の強さを取り戻せるし、その先もだ! 他の事も身に着ける。

それがやるべき事だと知った。


 そう思ったとき、持っている(つるぎ)が光の粒となって消え始め、粒はゆっくりと登っていくのが見える。


「仕方が無いか、こちらは別の世界。 剣を持ち込むことはできんな」


だがここの父に貰ったものが有る、まずはそれからだ。


「今まで世話になった、 達者でな!」


 光となって、徐々に薄く、消えていく。    

その向こうにかっての仲間たちの顔も見えた、彼らも徐々に消えていく。


「お前たちも達者でな、 安らかに暮らせ・・・」

 


 そして、朝が来た。



 あのおばあさんは怖い夢を見るかもと言ったが、怖くはなかった。

懐かしくて、また出会えてよかったし、別れも言えたのがありがたい。

あの人に会えたのは幸運だったと、つくづく思う、 あとでお礼を言えるといいが。


 まだ朝早く、父さんは寝ているので外で素振りをするかと、剣を持って出ることにし、玄関へ向かうとちょうどあの人に出くわした。


 「お早いですね、昨日はありがとうございました」

「年寄りは朝早いよ、 怖い夢は見なかったかい?」    


買い物に行くところだったのか、かごを持っている。


「怖くはなかったです、大事なことを思い出しまして懐かしかったです」


「そうかい、そりゃ良かった、 子供なのにさ、つらいことだったろうにねえ」


ずいぶん優しい人だ、知らない相手なのに。


「いいえ、ありがとうございました」

頭を下げる。


 「ああ、それと・・あんたの中の小さな魂、ありゃ生まれるはずだったあんたの双子なんじゃないかな?  そう思うんだがね」


「ああ・・・」

双子じゃないけど・・ね。


「そうですね 」

そう言っておこう。


「もし何か困ったことがあれば、ギルドで聞きな 私は元呪術師のマギア・グラナダ 、そう言えば探せるよ」



 その後すぐおばあさんは買い物に行ってしまって、自分は宿の裏庭で素振りをしに行き思い出した剣技を振るう、朝なのでなるべく静かにだが。



 剣を持ち、まずはゆっくりと振る、縦に、横に、大きく、小さく、自然に身体が動く、剣を回し歩を進める、前へ後ろへ、斜めへ、重心を感じ取り、歩法をなぞり、呼吸と気の調和を図り、動作が流れる、 向こうでさんざんやったことだ。


 すべて思い出せた、自分の剣技だ、 体に力がみなぎっていく。

(つるぎ)が空気を斬る音がする、今は小さな音だが懐かしい。

剣が自分と一体になっていくのがたまらなく嬉しい。    



 夢中でしていたら日がすっかり登っていて1時間以上たっているようだ。

父さんは起きたろうかと部屋に行くとなんとか起きていて、酒が残っているのかぼうっとして、少しふらついているか?


「目が覚めましたか?、朝食、食べられそうですか?」

「ん、ああ」

「じゃ、今持ってきますから」


 用は済んだし、早めに帰り支度をしないと夕方までに着けない。

宿の受付で、あのおばあさんに「帰ります」と伝言を頼もう。

またどこかで会えるといいがと思う、ギルドを通せばわかるそうだけどどうだろう?



 この街へ来たことでずいぶんな収獲で、転機となった。     

元はと言えば妙な依頼のおかげか?、何が幸いするかわからない。


それと、みんなお土産(みやげ)、気に入ってくれるだろうか?




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきました! どうやら前世があるらしい主人公の目が覚めると見知らぬ世界の子どもになっていた。今の体が何者なのか、さらに自分は元々なんだったのか記憶がない、というところが異世界転生…
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