表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
1 迷いの章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/200

クリスタル・ロード 0048  魂の、ずれ?

母さんやリーシャたちへのお土産(みやげ)と言っても、何が良いんだろう?


食べ物か、装飾品か? 好きな物かな。


「何が良いんだろう? 母さんの好きな物ってなんでしたっけ?」

「お前からなら何でもいいと思うぞ」


などと父さんは適当な事を言う。

「え~~~~?」


「この街なら少し珍しい物も有るしな、いろいろ見て回るか」


自分たちの町は実用本位の物が多く、安くて丈夫な物、質は良いが地味な物がメインだがこちらは色合いが豊富で、装飾的な物が色々ある、お土産には良さそうだ。


でも何を選んだらと思うと、迷う  自分にセンスなど無いしと。    



 カップやら花瓶、クッション、ブラシやアクセサリーなどあるにはある。

でもどれが良いやらさっぱりわからない、自分がもらうとしても何でもいいかなと思ってしまうから、決めようがない。


 悩みつつ歩いていると、隣の店の前に服が飾ってあって、ピンクなど華やかでおしゃれな物でレースなど付いた、向こうではあまりない品だ。


エプロンも、スカーフなども同様で、ヘアブラシなども上品で繊細、貴族的だが値段はそれほどでない。


「贈り物ですか? どのような品をお探しで?」


いきなり聞かれるが、何と言ったらいいのか。

「これの母親への物なんですがね」 父さんが代わりに答える。    


 「お母様へですと、服ならこちらはどうですか?」

薄いピンクで裾に少しレースがあり、腰には薄めの赤のベルト? 他は刺繍ありか。


「エプロンもセットならお安くなりますし、こちらなどは?」

それは赤い厚手で、胸当て、ポケット付き、こちらも華やかだ。


 「母さんはこの色、嫌いですかね?」

「嫌いとは聞いたことが無いぞ、向こうの服は大体地味だからな、いいんじゃないか? たまには明るい色で」


 それならと両方買うことに、サイズは父さんが確認済みだし、まかせた。

他にヘアブラシとカップも、どれか気に入らなくても他でカバーをと、ついでに自分達用のカップをデザインの近い物で、お(そろ)いのように。    


 他はリーシャ達の・・ 鉢植えの青や赤の花とその種や、スカーフ、アクセサリーなど、思ったより早く決まって、包んでもらった。


「よっしゃー、 お土産(みやげ)は決まったな、さて美味い物を探すか~」

「まだ夕食には早いですって、昼から飲む気で?」


「そういや宿を決めて無かったな、あのへんでいいか」


近くにいくつか宿があるので、すぐ決めてしまおうと父さんが入っていく。

後は料理・・・プラス酒だな。


荷物を抱えてついていくと、カウンター前に父さんがいて、脇の階段にはお年寄りが重そうな荷物を持って上がろうとして、難儀(なんぎ)している。


「部屋有ったぞ、決まりだ」   

「父さんこっちの荷物も頼みます」


と自分の荷を渡し、自分は階段のおばあさんの方を手伝う事にする。


「あの、持ちますよ」

「おや、すまんねえ助かるよ、坊や」


 割と重い荷物でこれはお年寄りにはきつそう、両手で抱えて階段を登っていき、部屋まで運び、ふうと息をつく。


「ありがとうよ」

懐から財布を出そうとしているので、断ろうとすると手が止まる。


「ん? んん? 坊や・・・」

じっとこちらを見ている。


両手を伸ばして頬にあてると、顔を近づけた。

    

「あんた、魂がずれとるね、しかも体からはみ出とる?、ん?」

は? この人なんかとんでもないことを言い出したぞ。


「んん? しかも魂がもう一つ、ずいぶん小さく弱い? ん?」

「は? あの~」


「坊や、この頃忘れっぽくなったり、思い出せない事無いかい? 道に迷ったりは?」


 思い出せない? そう言われると・・そんな気が 何かしなけりゃならないような


「そ・う ですね、 なんだかそんな・・感じが・・?」

「やっぱりかい、何でこんな小さい子が・・」


 そんなに小さいかな、それほどでもと思うが、    


「治してあげようね、じっとしてな」

手で顔を挟んだまま、額を付けてくると、目をつぶって、小さな声で唱え始める。


「あ、あの~」

「しっ 、じっとしてな  私は元呪術師でな、魂を扱ってたからね」


また呪文を唱えだすと、なんだか頭の中が冷えて来るような気がして、霧が晴れていくような空気が澄んでいくイメージが広がって行く。


 絡まった頭の中がほぐれて、まとまっておさまり、体になじんで・・静まった。


「魂・身・同・波・・・・(いつ)

一瞬頭の中が光って、収まった。


「ふう」

額を離して息をつく、 なんだかくらくらするが、すっきりした気分だ。


「これでいいだろ、今晩は怖い夢を見るかもしれんが、受け入れるんだよ、そうすりゃ坊やの為になる、・・どうしても不安なら私の所に来な、あと3日はここにいるから」  


そう言って財布から取り出した小銭をくれる。


「これはさっきのお礼だよ、わたしゃ疲れたから寝るよ」

と、すぐ部屋に入ってしまったので、お金を返せなかった。


 ま、いいか、   しかし魂がずれてた・・とは? ?? もう一つの魂?

明日、聞くとするか。



 その晩はやはり予想通り、父さんは『祝勝会と依頼達成祝い』と称して酒を浴びるように飲み、自分は苦しくなるほど食べることになった。   



そしてその晩、夢を見ることに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ