クリスタル・ロード 0004 戦略的撤退(せんりゃくてきてったい)
しかしこの危険物?どこで試すか いきなり人を相手はまずいし。
いつもの街はずれの練習場所・・より遠い方がいいな。
そう思って向かっていると子供の3人組にばったりと出くわした。
「おっ ネビィじゃんか」
一人は体が大きく偉そうでワル〇キのようだ。
「おわ、いじめっこか?」と、つい言ってしまった。
「誰がいじめっこだ、こら」「だよな、このやろ」と、残りの二人。
「え? 違うのか」
また言ってしまった 悪そうな3人組だし。
「お前の方がよっぽどだろう」
「そうだそうだ、危ないヤローが」
「え?」
俺?、なんで?
「しょっちゅう危ない物振り回してるだろうが」
「そうだ! 危ないから近寄るなって母さんが言ってたぞ」
「お前のオヤジなんて歩く凶器だって、俺の父ちゃんが言ってんぞ」
「え? ええ?」
うちってそんな風に思われてたのか?
そりゃ心当たりが無くもないが・・・・
「でも、これは」と父さんから貰った道具を背中や袖から出すと、三人は慌てて後ずさり、そのうち一人は転びかけている。
「うわ、やっぱり持ってるぞ」「やばい!逃げろ!」と、走り出す。
「これは父さんが男のたしなみとか、正義の為・・」
3人は遠ざかって行き、近くにいた人達はそそくさと離れているような
気がするので仕方なく道具をしまう。
「誤解なんだけどなあ」
本当に。
それでも練習はする。
預かった危険物も試さねば ということでここは郊外の野原。
林が見えるが100mは離れているので火が出ても大丈夫、ということで早速取り出す。
袋に5個入りで、手りゅう弾のような形とサイズだが陶器だろうか?
堅くてやや重く丈夫そうだ。
袋に説明書が入っていて、上の棒を回し、敵に投げたら5つ数えるうちにできるだけ離れるか、目をつぶり耳をふさぎ伏せろと書いてある。
やはり手りゅう弾のようだ 本当に安全なのか?
しかしやらないことには試しようが無い。
説明書の通りにして投げ、少し離れて反対を向いて伏せて耳を塞いだ。
5つ数えようとして林に人影があるのに気付く あれ? やばくない?
でもこれだけ離れていれば大丈夫か。
そう思ったとたんあたりが真っ白になった ちょっと早くないか?!
次は大音響が発せられた。
手りゅう弾どころでない、近くの落雷ようで全身に痛いほど響いた。
知らずに使うと卒倒しそうだ。
頭がクラクラするので這って進み、投げた場所へ行くと割れて4つ
ほどになった破片と草が少々倒れた程度で、爆発と言うほどではない。
確かにこれなら安全そうだ。
ところで林の人は大丈夫かな 転んで頭打っていないか?
伏せたままでそちらを伺うと、立ってこちらを見ているようだ。
無事なようだが、まずい! 自分を見られるとまた危険人物の噂に追加されてしまう。
なので伏せたまま退却とする 匍匐前進 匍匐前進。
翌朝、体が痛い 匍匐前進のせいだ。
そういえば昨日のあれで、何か思い出しかけたんだが手りゅう弾とか、スタングレネードってなんだっけ? ???
元の世界に関係する事かと思うが、一晩で忘れてしまったかな?
爆発するもの? 自分は兵士だったのか? うーむ・・・・。
などと考えていたらリーシャがやって来た。
「おはようございまーす」
相変わらず元気で,うちの母さんと話し込んでいる。
悩んでいてもしょうがないので、行くか。
リーシャの母親は元気になったが体力を取り戻すため毎日外で運動してるそうだ。
そういえば病気が治ったんだったか。
元冒険者とのことで、回復が早いんだろう。
「ネビィのおかげでパンの売り上げ伸びて助かってるの」
あちこち売り込んでおいたからね。
「お母さんに栄養有るもの食べさせられる」と嬉しそうだ。
「それでね、お礼がしたいから食事に招待したいって、お母さんが」
「もう十分貰ってるよ、お菓子とか」
「そうそう、それより全快祝いのパーティしましょ」
うちの母さんが言う。
「そうだ、青イチゴのケーキとかで」
あれ好きなんだよな、作ってほしい。
「あ、青イチゴなら昨日お母さんが林で採って来たのがたくさんあるから」
林? ドキッとする あの時の人影か?。
「あら、昨日あの辺で雷落ちたんじゃ? 大丈夫だった?」
「お母さん驚いて転んだって言ってたけど、離れてたから」
雷じゃないんだけどね、無事で何より。
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