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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
1 迷いの章

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クリスタル・ロード 0038  魔法塾 第2回 上級の部

評価してくださった方、ありがとうございます。

おかげで今までの疲れや不安が吹き飛びました。

今後も頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

 昼休み、リーシャはサンドイッチやソーセージ入りのパンを、自分はチキンや卵焼き、厚手のハム、ポテトサラダ、デザートのフルーツなどを持ってきて、分け合って食べることとする。


 ギルド長達は昼をここで食べていくようなので、リーシャが誘って一緒にとなったが、あの(アイリス)はともかくギルド長がいるのがなんか嫌だな。


 あちらは屋台で買ったパンだけで済ませるようだったので、こちらの弁当を分けることにしたが、むこうのは種類は少ないが量が凄く、ギルド長が食べる分がほとんどだろう。

 

 自分がその分食べることにして、アイリスになるべく良い物をあげよう。

サンドイッチや卵焼き、フルーツなどで、ギルド長にはハムとポテトでいいか。  

さあ食えと、声には出さずにあげる。


 リーシャは嬉しそうにアイリスに話しかけていて、あの子も口数は少ないが機嫌良さそうだ。

そりゃギルド長よりは気が合うだろう、仲の良い姉妹のように見える。


魔法の使い方教えて~などとリーシャは言っているが、母さんが先生なのに良いのかいと思うのにアイリスはウンと(うなず)いている。


 「いつもギルド長が付き添うんですか?」 つい、そう聞いてしまう。

親が付いてこないのかな?


「あれの父親は遠くで仕事していてな、母親は隣町だが夜遅くまでの仕事なんでわしがしばらく預かっておるのだ、 昼間はギルドの一室に入れてな」   

「あの子一人ですか」

「退屈ならロビーにいて良いと言ってあるからな、たまに歩き回っとる」


「え~、一人じゃかわいそう」

リーシャが言うが、もっともだ。

「しかし他に身内がいない、 ギルドなら安全だしな 職員も見とる」


  うーむ、確かに安全だし、その通りなんだけど何とかならないかと思う。

大人だらけの職場と、このごついおじさんとの生活とは・・気の毒になる。


だからといって、無責任に「預かる」とは言えないしねえ・・・。

リーシャもたぶんそうだろう。


「心配なら時々でも会いに来てくれ、部屋まで入って構わんから」   

「行きます~ お菓子持っていくねー」


リーシャが言うとアイリスは笑顔で頷いている。

これは毎日通いそうだな、  自分も行くとしよう、毎日とはいかなくても。

 

 昼食が終わると二人は馬車でギルドに戻って行った。

さてと午後の講義だ・・・と思ったら、なにか忘れている気がする。

何だっけ?    「講義の手伝い?」 違うな。


「母さんが、上級者のチェックが残っているって、言ってたけど」

ああ、そうだ、前回はDランク以下のテストで終了してたか、上級者のがあったんだ

すっかり忘れていた。   


 リーシャの言葉で別な事も思い出したんだが、それは・・・と見回すと、いましたよ、その人が。


 フレアお嬢様だ、元貴族?で、先生の愛弟子とか筆頭(ひっとう)とか思っていて、Bランクの生徒をライバル視しているらしき人。

そのお嬢様が険しい顔で見つめる先には・・・やっぱりBランクの人がいる。


何かが起こりそうな気配がするけど、当のBランクさんは涼しい顔をして立っているが、フレアに気付いているだろうか?


 気づいていても平気かな? 上位ランクの余裕か。

「あ~、フレアさん? 母さんが『どうしようかなー』って言ってたな、ライバル視」   

「え? 先生も気付いてたのか?」


「そりゃ気付くよ、視線バチバチだし、母さんは気配でわかるって・たぶん相手も」

う~ん、 女の感と戦士の技能かな?


 「ほっとくか、いっそ戦わせるか、悩みどころだって言ってた」

そう笑いながら言うが、笑ってていいんだろうか? あのお嬢は暴走するとやばいのは確認済みなんだが、リーシャは被害受けて無いしな・・・ 実感ないのか、

 

 そんなことを考えていたら、講義の時間となり先生が出て来た。

自分たちは脇で控えて手伝いの準備をしておく。

フレアが少し落ち着いて、以前のようにワゴンに乗せて様々な物を運んでくるが、今度のは少し大きめである。     


 水の入った大きな桶や土嚢(どのう)、レンガ、大きめの石、植木?、などなどをこちらも手伝いながら運ぶ。


「さて始めましょうか」先生が言う。

やはり前のように、それぞれの魔法に関しての表現だろうか? そう思っているとCランクの、やや年配の男女が近づいて来て言った。


「あ~、すみません 私らは2人で組んでやろうかとなったんですが、構いませんか?」

男性の方が遠慮がちにそう言って来た。


「お二人で? はい、よろしいですよ」

「良かった、 私ら芸術的表現なんてできなくて、子供の時から戦う事ばかり練習してましたからどうしようかと思って」

女性の方が続けた。   


 芸術的表現とはアイリスの光るツリーの事だろうか?

あれは幼い娘の事とはいえ印象的だったから無理もない 対抗できるかと考えてしまうだろう。

それゆえのコンビ結成か。


「それでは、木偶(でく)を使った模擬戦闘を2人で行います」

「少々荒っぽいですが、私らに危険は有りませんので、他の方々は少し離れてごらんになっててくださいな、破片が飛ぶかもしれませんので」


 二人はそう言って笑う、だが気配が違う、戦意が沸き上がっているようでそれがこちらまで伝わって来る。   

リーシャはそこを感じないのか期待した目で眺めているが、そっと手を引いて離れた所へと導いていく。


ベテランの戦いとはどんなのだろうか。




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