クリスタル・ロード 0037 魔法塾 第2回
魔法塾、午前の部(Dランク以下)へ参加する リーシャもである。
まだ屋根はできていないが土台が工事中で来週中にはできそうだ。
それまで雨が降らなければいいけど。
初級者の為のテキストが配られている。
自分やリーシャにも。
これを作るのには自分も手伝ったが、中身を見る時間が無かったので初見だ。
ろうそく炎や、水滴発生などの初歩魔法が載っている。
幼い娘でもDランクがいるのに、我ながら情けない。
ちなみにリーシャは指先に火を灯すのはできるそうだ。
「料理に便利だから」と、いつの間にかできていたそうだ。
無詠唱を独学かい?
「だって火打石だと、なかなか点かなくて」などと言うが、素質有るじゃん!
さすがは優秀な魔法使いの娘、すでに自分と差が付いている?
他にテキストが中級(D,Eランク)のも有るが、自分にはわからないだろう。
あの小さい娘がもらって開いているが、わかるんだろうか。
隣にはギルド長がいて何か話しているが、読んでやっているのかな?
それにしてもここ椅子が欲しいな、長椅子程度でもいいけどギルド長くれないかな?
後で頼んでみようか?
そろそろ生徒がそろって来た頃、狼の侵入に関しての噂話がしてきた。
狼の群れが街に入ったとか、どこからだの、数十匹だとか(そんなにいない)、子供が皆殺しにしたとか(2頭だけ!)、そいつが血まみれで狂戦士のように立っていたとか(それほど?!)、尾ひれの付いた話が飛び交っている。
リーシャ、こっちを見ないように!
あのことはリーシャに話していないよな? 伝わっていないはずだが、やはり幼馴染だとばれてしまうか? 日頃の行いか?
噂話にギルド長が反応しているような気がする。
なぜこちらを見るのかな?
そしてなぜこちらに歩いて来るのかな?
ギルド長が目の前で止まった。
「今の噂の主は、きみか?」 モロバレ ?!
ギルド長に、もう講義が始まりますからと言っても、隅に引っ張って行かれて色々聞かれることになった。
その間、あの娘をまかされたリーシャは凄く嬉しそうだ。
自分はごついギルド長の重圧で凄く嬉しくないです。
あの件を一通り聞いて、ギルド長は考え込んでいる。
「問題はどこから入ったかだな、ギルドにも関係あるし今頃連絡来てるだろうが、冒険者たちに通達しておかんとならんな、また起こりうる事だし・・」
そうか、もし地下道でもできていたら、そこからまた?
「それにしても、やはり『歩く凶器』の息子・だな!」
あなたまで言いますか? 嫌な称号だなあ。
そろそろ講義がはじまるが、ギルド長達は隅の方で聞くつもりのようだ。
あの人が立っていると後ろの人が見えなくなるからか?
リーシャはあの子から「リーシャお姉ちゃん」と呼ばれたと、ご機嫌だ。
自分は「歩く凶器の息子」と呼ばれたけどね、 ひどいと思わない?
講義は初心者向けに一通りの説明と、テキストをよく読むようにとのことと、上の人達の魔法をよく見るようにとの話があった。
その「上の人」にあの子が入っているのが複雑な気持ちなんだが、気を取り直して頑張ろう。
魔法とは火水風土や光闇、重力などが有るが、たいていの人が努力で身に付くそうで向き不向きは有れど、まるでダメなのはめったにいないという。
そして本当に素質ある人は、前例の無いような魔法を使うらしい。
つまり素質が生かされるのは達人レベルなのかな。
魔法を使える人達がそれぞれ火や水など、先生の指示で同時に行うが、火と言っても赤や黄色、青など色も、形も大きさも様々(さまざま)で個性がある。
「温度、規模、勢いなど、力だけでも要素が有り、制御も大事ですよー、 詠唱速度や安定性も」 先生が言う。
「他の人の魔法をよく見て、自分に無い要素を学んだり自分に有る事を伸ばすなど、それぞれ考えるようにね~ 一面にとらわれないように!」
なるほど、それはいいけどみんなで火を使うから少し暑くなってきた。
屋外だからまだいいけど、屋根や壁ができたら・・大丈夫かな?
そう思っていたら、風や水魔法を使ってくれたので涼しくなった。
土魔法は、そこそこか? これは戦闘用にもいいな、防御壁にも攻撃にも使えるし、植物関係もありか? それなら捕縛にも・・・。
戦闘以外だと畑や庭、野山でも? 色々使い道が有りそうだが、習得に時間がかかるだろうか?
これを真っ先に覚えようか、他の適性が有れば別だけど。
「私は火にしようかな~ 火加減を自由にできたら便利そう!」
それはお菓子造りや料理の為かな? 防御魔法も身に着ける方がいいと思うけどな、護身のためにね。
自分はまず魔法を発現させなければならない、そうテキストにある初歩の初歩だ。
リーシャのように必要で発生する方が良いと書いてある。
強化魔法というのもあって、体や武器を補強するのもいいか? 剣術の稽古をしながら身に付けられるかな?
などと考えながら聞いていたら、もう昼休みだ。
午後からは上級者の部だが、特別に受講させてもらえるのだ。
先生のお手伝いを兼ねて、上級者の模範技を見せてもらえるので、ワクワクである。
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