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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
1 迷いの章

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クリスタル・ロード 0036  事件後

 やっぱり取り調べを受けた。


あの後すぐ衛士さんが呼ばれ、調査が進められている。

「あれ? きみは東区隊長の息子さんか?」


父さんの知り合いでしたか、これは・・父さんに伝わるな。

「さすがは『歩く凶器』の息子」 とか、その人がブツブツと独り言を・・・。

嫌な噂が広まってしまいそうだ。


 狼型の魔物、2頭死亡、残り12頭は半殺しだったそうで、衛士さんがとどめを刺していた。

14頭もいたのか、途中から数えていなかった  夢中だったので。

     

ご近所の方々が恐々(こわごわ)と見に来て、子供が仕留めたのかとひそひそ話していると、家主さんが水桶を持ってきて体や服に付いた返り血をふき取ってくれた。


 この服は魔物の皮を使った特製なので血が染みこまないし、丈夫なのだ。

拭くだけで返り血はすっかり消えてしまった。


「なんかすごい服だね、革鎧(かわよろい)みたいだ」と驚いていた。

普通、子供が着るものじゃないしね。


 「おかげでニワトリも私らも助かったよ」

そう言って、お礼にとかご一杯の卵と、鶏肉一羽分をくれた。   

ありがたいが、ちょっと重いな。


でも衛士の馬車で途中まで送ってくれることになった。

荷台には狼の死体がどっさりだけど。


 衛士の二人が、この獣はどこから入ったのかと話している。

そうか、外部からなら門を通らなければならないはず。

門は常に衛士の見張りがいるから、14頭を見逃すはずがない。

ではどこから? 


 運び入れた? 誰が、何の為に?  まさかね・・・・。   

地下道でもあるのか? 街を囲んだ塀をくぐるような?

もしそうなら、かなりの問題では?


衛士さん達もそう思っているらしく、要調査だとか今日残業かなどと言っている。

ご苦労様です。

たぶん父さんもそうなるだろう。



 家の近くまで送ってくれて助かった。

卵と鶏肉を母さんに見せて事の次第を控えめに伝えておくと、「あらあら」と驚き、半分はリーシャの所へおすそ分けしようかと言った。

家にもニワトリがいて、卵は有るし食べきれないからすぐに持っていくか。   


 「ありがとう、これでケーキ造るね! ブルーベリーとチェリーにしようか」

どっちも好みだ さすがにわかっている。


「わるいわね~ こんなに! 何かお返しをしないとね」

「その分魔法を教えてください、いろいろと」


剣術はやってるけど、魔法は全然だからな。

これからやるべき事の、必ず役に立つと思うんだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

やるべき事?  やるべき事って・・なんだっけ?

?????    


 なぜか自分でもわからない、妙な考えが浮かぶ。

でもほっとくのはまずいような・・ いてもたってもいられなくなるような?

これは何だろう。


 ボーっとして帰宅すると、玄関前に露店商さんがいる。


「ムーアさん」

「今晩は! 売り込みに来たよー、 なにぼんやりしてるの?」

「ああ、そうか 今日でしたか?」

「そうだよ、忘れないでよねー」

そう言って笑う。


背中には大きな荷物、売り込みのアイテム(怪しげな)だ。   

「父さんに伝えてあるから、大丈夫」


 父さんはもう帰って来ていた。

残業かと思ったが、魔物調査は明日からだそうだ。


「お邪魔しまーす、初めまして アイテム商ミミ-・ムーアです」

いつもの妖しい笑みは封じて、営業スマイル全開である。


 テーブルにアイテムが次々に並べられる。

スライム弾、呪い人形、絡みからみづた、かゆみ粉、泣き砂、シビレ手袋、滑り液、粘着液、消火砂、火炎棒、水神球、警戒鳥、炸裂貨幣、闇ハンカチ、蜂リング

・・・・・・  。

   

 よくもこんなに怪しい物を造ったと思う。

聞いたこともないアイテムがどんどん出て来るのだ。

でも父さんは真面目に見ている。

同好の士とでも思っているのだろうか?


 「どうでしょうか? 衛士さん用にと比較的安全な物をお持ちしました」

「きみの商品が信頼できるのは、確認済みだからわかっているよ」


興味深げに一つ一つ手に取り見つめている。

やはり父さんは妙な武器を造りたがるだけはあって、好みなのだろう。


 母さんは少し呆れて見ているが、父さんの武器で慣れているようだ。

   

「こちらの品ですと、ご家庭にも良いと思いますよ」

小鳥の人形を母さんに差し出してくる。


「これは・・どんなふうに使うのかしら?」

「ドアの近くに飾っておくだけで、家族以外の方が近づくと(さえず)ります」

防犯用か、魔法とはいえどんな仕組みなんだろ?


「この指輪は奥様の護身用に・・敵に毒を打ち込めますよ」

などどその他、説明が続く。


 「いいだろう、全部買おう!」   

一通り聞くと、父さんがキリっと決め顔で言う。


「ありがとうございます!」


後で母さんに怒られないだろうか? 


 翌日、リーシャがやって来るとあの鳥がキュンキュン、コロロロ と鳴いた。

ドアの外にいるうちに鳴いたし、これは確かに防犯になるか?


「え? 何、この鳥、防犯アイテム? 可愛(かわ)いー」


気にいったなら、リーシャ家の分も買っておくか。




 その日から、例の狼型魔物の調査が衛士によって始められた。




最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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