クリスタル・ロード 0031 塾が始まり、そして・・
「魔法ってのは実用性だけじゃないと、思うのよね」
リーシャ母さんはそう言う。
「力で魔物を倒すのも必要だし、助かる人もいるけど、小さな物が浮かんで光る、それだけで大勢が感動することもある・・・・ あの子が、したように」
自分とリーシャの前で、そう言いながら何か満足げだ。
「私はね、子供の時から魔法の力を付けようとしてきたのよ、腕力は無いけど魔法なら木だろうと石だろうと、真っ二つにできるからと、ひたすら力を付けようと・・」
真っ二つですか。
「でも、病気で寝ているとき窓の外を見てるとね、木の葉が舞い落ちたり、庭の木に雀が止まってさえずってたり、つぼみの花が開いたり、そんなことが嬉しいのよ、
若い時はそんな事考えもしなかったけど、他愛ないことが幸せなのよね」
リーシャも黙って聞いているが、自分にも何か思うところがあった。
でも、どうしてかそれが曖昧なのだ。
「元気になったからには仕事するけど、荒事は控えようかなって思ってねー」
それで魔法塾ですか、なるほど。
「あー、そういえば今回は良かったけど、雨の場合どうします? 家では無理?
ですよね? 講義を外でなら屋根だけでも必要では?」
「あ、 そうだった! これほど集まると思わなかったから・・」
考えていませんでしたか? どうすんだ?
「雨天順延?」
リーシャが言うが、それもまた・・・?
「「「うーん」」」 3人が悩む。
「邪魔するぞー!!」でかい声と共にドアが開き、ギルド長が入って来た。
びっくりだ、いきなりだなー。
「急に来てすまんな、実は少し話がな・・」
そう言い出して始まったのは、あの娘の事だった。
「あの後、アイリスが喜んでな、みんな拍手してくれたってずっと機嫌が良くて、わしも気分良かったし、だから礼にここへ寄付をしようかと思ってな」
「「「寄付!?」」」
「わしの姪が、この塾で栄誉を受けた! だから礼だ! 当然だろう?!」
うわー この人、子煩悩だ、見かけによらず。
「黒板はどうだ? それとも椅子か?皆立ってたろう?、 何が良い?」
「じゃあ、屋根をください!」 リーシャ母さんが前のめりで言う。
「あん? 屋根?!」
さっきの話を伝えると、ギルド長は納得してくれた。
「ああ、雨の中講義じゃ風邪ひきそうだな、 ん、わかった!」
すぐ知り合いの大工に手配してくれるそうだ。
「「「やったー」」」
「冬までには壁も作ろう、まかせておけ!」
そう言われると冬の事もあったんだ、両方解決だ。
そんなこんなで、塾が無事始まり、自分もリーシャも参加することになった。
------------------------------------------------------
ふと、テストの日に首飾りが光った事を思い出した。
災いがやって来ると光ると言われたあの首飾りだ。
でも今見ていても、まったく光っていないし、無事テストは終わっている。
あれは何を意味したんだろう?
説明書だって無いしと、キレタのを思い出し、露天商さんに聞くことにしようと街に来た。
ついでの用も有るしね。
「まいどー!」
その声と共にまたいきなり目の前に現れた 店開きしてある。
なんでこの人はいつも神出鬼没なんだ。
「探してたでしょ?」
まあ、話が早いのはいいので、以前頼んでいたアイテムの残りを受け取る。
「それと、これなんですけど・・」
首飾りを出して聞くことにした。
「反応した?! いつ?」 驚いたような顔だ。
「しましたよ、 2日前・・か、少しだけですが」
「光った? 確かに?」
「光りましたよ、しっかりと! 何も起きて無いようですが・・」
「・・・・・・・・・・」
お姉さんはなにやら考え込んでいる。
「きみなら、もしかしてとは思ったが、早いな」
早い? 何が?
「本来、これは使い手を選ぶんだ 素養の無い者には反応しない、わかるか?」
「あー、勇者の剣 のような?」
自分には素養ありと・・・本当かな?
マニュアルが無い点に少し文句を言った。
「きみは剣にマニュアルを付けるべきと思うか?」
「いえ、剣には・・」 いらないだろ。
「これもだ、道具とは見ただけでは使えない、経験を積んで手足のようになる そうだな?」
「はあ、確かに」
「これも経験によって、距離や程度を知るようになる、わかるな?」
「なる・ほど」
「あ、今度君の家にお邪魔していいかな? お父さん、衛士なんだって?
お父さんに売り込みたいアイテムが色々あるんだよ、いいだろ? ね?」
この人も商魂たくましい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「面白い」、あるいは「まあまあだな」と感じた方は下の欄の
☆☆☆☆☆への入力、ブックマークに登録などをしていただけると
作者への強化や回復魔法となりますので、ご助力をお願い致します。
m(__)m




