クリスタル・ロード 0022 行きますよ!
投網とは普通、魚を捕るために使われるもので、人相手ではありません。
でも生け捕りにするのに都合が良いので、時には対人にも。
しかもこれは絡まりやすくしてあるので、効果的なのだ。
「う、うおっ」
グロフがあせる 幻覚も効いているだろうから、網とはわかっていないかもね。
二人とも戦闘力低下かな?
でもまだ父さんがいるのだ。
「よろしい!、それでこそ我が息子だ」
腕組みして満足げに笑う。
「では私も、成長した息子に敬意を表して!」
さっきのとは別の木剣を取り出す やや長めだがたぶんそれだけではない。
「行くぞ、これを躱して見せろ」
そう言ってすぐ、剣を投げつけて来た が、その程度では当たらない。
腰をひねってよける。
でもこれで終わりの訳が無い、そう思ったら剣にワイヤーが付いていてすぐに引き戻す。
「どんどん行くぞー」
剣を振り回しながら投げて来るので、長刀の様でやっかいである。
よけても弾いても次々に向かって来る。
でも父さん相手ならこちらも遠慮いらないだろう。
袖に仕込んだアイテムを発射である。
これも魔法弾で、体にくっつく種を数十ばらまき、すぐに芽を出し蔦になる。
体に巻き付くのだ。
「ふっ こんなもの、甘いぞ!」とツタをどんどん切るが、どっちが甘いかな?
それは新型なのだ、切るとそこからどうなるかわかるかな?
「何っ? こ、これは?」
そう、硬化するのだ、どんどん切りにくく、そして締め付けていく。
「父さん、これならどうかな?」
「ぬぬぬ、おのれ」
蔦はさらに伸びてまきつき、堅くなって敵を捕らえるのだ。
これで終わりか?
「くっ、これで勝ったと思うな! ファイヤーホイップ!」
「え!?」
父さんの体に火が点き、細い炎が巻き付くように蔦を焼いていく!
えええ?
数秒で焼き尽くしてしまった。
「ふっ、どんなに堅かろうと所詮植物よ!」
そりゃそうですけど、服が焦げてますよ! 煙出てるし。
火傷してるのでは?
「やるではないか、ますます良し! では私も少し本気でな!」
うわー やっぱりそうなりますか。
「ファイヤー・エンブレム!」
範囲魔法だ 敵を中心に炎の領域を創る 半径5mほどで父さんの魔法ではそれほどの威力ではないが、熱いのは十分だ。
「エンブレム! エンブレム! エンブレム!」 炎に囲まれる。
「おっとっ と、 と、 あちち」
たて続けにやられると逃げ回るのが大変だ! 靴が焦げてきた。
「あーっ ちょっと! 子供相手にそこまでやる?!」
観客が騒ぎ出した、リーシャの母さんだ。
「口出し無用! これは親子対決だ!」
仁王立ちで睨みつける。
「む、 あっそ、 じゃあ口出しじゃなくて加勢する!」
え え?
「アースファング!」
父さんの前の地面から尖った岩が突き出て頭を狙う。
素早く身をかわす父さん。
「まだまだ行くわよー! マルチファング!」
岩が次々出て父さんを追いかける。
「なんの、これしき! 強化拳発動!」
拳で岩を砕く! 砕く! 体当たりもある! 片っ端から岩を砕く!
破片がこっちにも飛んでくるので危ない。
自分は魔法使えないので頭を抱えて伏せている。
リーシャが巻き込まれていませんように。
「あ、あの、師匠! 危険じゃないですか? 落ち着いて!」
その通りです、できれば止めてください。
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