クリスタル・ロード 0204 王妃の想い
「男ってすぐ剣を振り回して斬り合い殺し合い、勝ったの負けたのってそんな事に夢中になってその度に国が荒れて、畑は台無し家は燃えて困る人が大勢出るのよ、みんなそう思わない!」
王妃がワインを飲んでエキサイトして叫ぶと、同席している人々と執事さん達が深くうなずき同意する。
この方々はもしかして王妃派なのだろうかと思うほど一糸乱れぬ動作である。
「だから私は経済や外交で国を守るのよ、筋肉や剣術じゃなくてね私は自分のやり方で国と国民の事を考えているの、みんな協力よろしくね!」
「「「「「はい」」」」」
夕食が終わり翌日には帰国した。
お騒がせ娘がお見送りと称してぎりぎりまで同行したのには閉口したが、お土産と言われた箱を受け取ってさっさと帰って来た。
今日の仕事は終了と、領主の館から自宅へと直行だ。
「何貰ったんだ?」
父さんがニヤついて聞いてきた。
「何でしょうね、菓子折りかな・・ 軽いし」
家で空けるとやはり菓子・チョコののった菓子の詰め合わせのようだが、収めてある様子がハート型に見えなくもないが、たまたまだろう。
「どう見てもハート型だろう?」
「たまたまですよ、これは母さんにあげましょう。 好きそうだし」
「まあいいけどな、俺らはケーキをずいぶん食ったし」
そのとき母さんが畑から戻って来た。
「あら二人とも帰ってたの、早かったわね」
「お土産のお菓子です、お茶入れましょう」
「美味しそうね、リーシャ達にもあげましょうか? 呼んで来る?」
「それなら自分が後で持っていくので・・」
これが納まっている箱は見せない方が良いと思う、器に入れて持っていこう。
誰から貰ったとか聞かれそうな気もするし。
久しぶりに三人でテーブルに向かいお茶を飲みながらくつろいでいる。
やっと人心地だ。 向こうでの事で本当に疲れた。
「美味しいわ、これずいぶん良い物ね」
「向こうの高級菓子店のだそうで、外交官が自慢してましたよ」
「香りも良いわねえ、お茶に合うわぁ」
「向こうで出たケーキも良かったよな、大きいのを二人で平らげちまったし」
「あらそうなの、良いわねぇ~」
今度母さんの為にケーキを買って来よう、リーシャ達にもだな。
「王妃様が直々の接待だからな、食事も凄かったがケーキやお茶もな。 あれなら俺でもかなり美味いと思う、さすがは王族付きのシェフだ」
「ケーキの事はいいですが、反物や美術品のことをどうします? 王妃から頼まれたじゃないですか、早くしないと」
あれは遺跡の技術だからすぐに再現できるかどうか、在庫だけだと少ししかないのではと思う。
「ああそうだな、その件はすぐに取り掛からんと・・ こちらの国王に連絡しておこう」
「貿易も望んでるそうですしあの王妃はなかなか考えてますよね」
「だけどな、あれは温厚そうで食わせ者だと思うぞ? お前も油断するなよ」
「それは自分も感じましたが、そうでないと国を動かせないのでは」
父さんは眉をしかめ皮肉交じりに言うが、それも胆力で仕方ないと思う。
デリケートな方では務まらない世界なのだから。
「こんにちわ~、リーシャです」
外で声がした。
すぐに器を用意してチョコを盛る事にする。
「あらちょうどいいわね、ちょっと待ってね~」
母さんが察して時間を稼ぐうちに用意を済ませよう、早く早く。
「焦ると落とすぞ、落ち着け」
父さんが余計な事を言う。
でも二人ともこちらの考えを読んでいるかのようでどうも落ち着かないが、そんな事を考えていられない。 さっさと持っていかねば。
「あ、ネビィ戻ってたんだ~ 、美味しそう、ありがとう」
「母さんに用有ったかな」
「うん、薬草の事で少し。 でもこれ家に置いて来るね、後で寄るから」
リーシャは器を持って小走りで戻って行った。
薬草と言えば、それも輸出品になるのでは? 遺跡の技術を使って改良すればなおさらではと思う、それも領主と相談するか。
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