クリスタル・ロード 0202 完食・二人で
遺跡で発見された壺や置物、それを外務の担当が贈り物にするとは聞いたが自分から言うべきか否か、配慮のしどころではあるが。
余計な事を言ってぶち壊すのは避けたい。
担当者が色々考えているだろうから、あたりさわりのない範囲で話しておくか。
「その件は担当者が苦労して探したと申しておりましたが、詳しくは聞いておらず申し訳ありません」
「あらそう? あれすごく良いのよね~ 、陶器のような金属のような、艶に深みでほれぼれするからぜひ買いたいのよ、貿易を望むと伝えておいてね」
あれを? 貿易は良いとしてそれ程の数があるだろうか。
遺跡の中にある分だけでは足りなければ同じものを造れなければならないが、製法は判明しているか・だな、解析は兵器など含めて続けているはずだけど、どうだろう?
「はい、苦労の甲斐があったと担当が喜びます」
その時ドアが開いて他のメイドさんが連絡に来たようだ。
「お妃様、ネビィ氏の御父上で派遣兵の隊長様がおみえでございます」
「じゃあお通しして」
父さんが来た。 心配はないと思ったが一応無事だったか。
執事さんに導かれてテーブルについた。 席は自分からやや離れた隣。
恭しく椅子を執事さんが引いてくれるのが貴族のような扱いであり、父さんには似合わないが当然のような顔をして座るのがいつもの様に図太い。
「王族の方とご同席を賜るとは、誠に光栄です」
「よろしいんですよ、固くならないでくださいな。 元はと言えばうちの息子達の我儘ですからくつろいでくださいな、お茶菓子などどうぞ召し上がれ」
王妃様はきさくで愛想よくそんな事を言うが息子達への態度はシビアであったし、あの凄惨な現場で平然としていたので芯は強いと思われる。
さすがは大国の妃である。
「凄いケーキだな、お前ひとりでこれ食べるつもりか」
すでに半分近くを平らげているのを見て、父さんが横目で呟く。
「父さんも食べますか、一人では少し無理があるかと感じてます」
「そうだな、いただくか」
「甘いのも大丈夫なのですね、では切って差し上げて」
言われてまたメイドさんが優雅なしぐさで切り分け、まったく崩れていないケーキを父さんの前に差し出す。 自分より大きな切り方だが父さんにはそれでも少ない故すぐに食べてしまうだろう。
「この後に食事もご用意いたしますから、ゆっくりしていってくださいな」
「これは恐れ入ります、そこまでお気遣いいただくとは」
「いえいえ、息子さんお強いんですね~ うちの息子達もヤンチャで暴れましてあれで満足したでしょうし、相手してくれて助かりましたわ~~」
「うちのが少しやりすぎたのでは? 申し訳なく思います」
父さんがらしくもなく頭を下げるが、まあ社交辞令だろう。
「いいんですのよ、わがままで傍若無人だからたまには痛い目に合う方が本人の為ですもの、お気になさらないで、坊やもね!」
笑いながらウインクをされる。
お茶目なお妃様である。
話している間にも父さんはケーキをバクバクと平らげていく。
大の男が豪勢なケーキを大食いとは異様な光景なのだが、父さんはまるで平気な態度だが心なしかメイドさんの目が呆れているように感じる。
少しはつつましくしてほしい。
だが出される高級そうなお茶もビールのようにぐびぐびと飲んでいる。
全く動じない父さんである。
「そう言えば、カルト教団の討伐はどうなりましたか? 対戦になりました?」
「ああ、少しだがな、 向こうは10人以下でこっちは50人以上だからな、すぐ逃げて行ったからあっさり終わったが」
なるほど、名目らしい相手とはいえ対戦も用意してあったと? それとも本当に教団とのトラブルがあるのだろうか、それも有り得るのか?
「あ~ 、あのおかしな教団ね、うちの国にも入ってるのよね~ 、妖しい動きをしてるから調べてるのだけど何しろ逃げ足が速くてねえ」
「はい、我が国でもそれはございます、おっしゃる通りで」
ウンウンと頷きながら聞くがそれは言葉通りに受け取って良いのかどうか、あの教団はそれなりに力はあるし知識も有する。
何らかの後ろ盾を持つのも有り得るのだから、例えばこの国が支援しているのもありそうなことだ。
ただ向こうもこちらを怪しんでいるいるかも、ではあるが。
結局二人で大きなケーキを完食してしまった。
この後食事もあると言うのに・だ。
そしてその食事、思った通りかなり豪勢な物である。
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