クリスタル・ロード 0020 本気の勝負?
父さんより一回り大きな体、当然リーチもあるし、力が強いだろう。
しかも武器は長い棒(本来は槍)、父さんは普通サイズの剣だ。
その分有利なので、ランク差が有るとはいえどうなるだろうか?
レフは左腕をまくり息を吹きかけて冷やしている。
「どうなりますかねー、ワクワク!」
「体が大きい分、少しは持つかなー」
女性観客は期待しているようで、リーシャはイチゴを採りながらチラチラ見ている。
グロフは棒で素振りを数回した後、突きの動作を始めた。
始めはかるく、徐々に大きくし突く瞬間ズシンと踏み込む。
更に突き出してから先を回し、横や後ろへ振り回すなど、徐々に動作や音が大きくなっていき、実にダイナミックだ。
父さんはウンウンと頷きながら見ている。
「なかなかいいぞ、腰が入って重い突きだ」
「はっ、 恐れ入ります!」
実直そうに答える。
武骨な戦士という風情が出ているなあ。
レフは少し悔しそうな顔だ。
「では始めるか」
父さんが胸のやや下で剣を構え、グロフは棒を水平?か、やや下向きに構えて対峙している。
少し長めの間をおいて、グロフが前に出る。
滑るように間合いを詰めて腰を狙ってか、低めに突いている。
腰は動作が遅くなりがちだから狙ったか?
でもそれを父さんは軽くさばき、揺るがない。
次々に棒が繰り出されるが、立ち位置をほぼ動かず、いなしていく。
でも徐々に様子が変わって来た。
同じに突いているようで、じりじりと父さんが押されているか?
遂に後足を半歩ずらして腰をひねり、躱すことになった。
そこで棒先が顔に向けられて深く、早く突き出されると、ボッと、音を立てる。
速さが今までと違う。
「おっと」
やや態勢が崩れるが、これもそらして棒先を抑える。
だがそれだけでは終わらず、踏み込むと父さんの体を薙ぎ払うように横に押す。
いわゆる力業か?
「む!」
抑えようとするが、体格の違いか足が滑っている。
グロフは更に踏み込みつつ、棒を下げつつ押していき、右手で棒を横に叩いた。
? 今のはどんな意味が? 打撃技なのか?
父さんは一瞬眉をしかめたが、そこから剣を刷り上げグロフの頭目がけて踏み込む。
決まったか? と思ったときには、グロフは転がって避けている。
「「「「ふう」」」」 息を吐く、男4人共だ、自分もほっとした。
女性たちはやんややんやとハヤシて拍手している。
なんか空気が違うんですが?
「今のはいいぞ、やや強引だが効果的だ」
「でも決められませんでした」
渋い顔だ。
だけどランクが違うのだから、そこは仕方ないだろう。
「もっと荒っぽいのでも構わんぞ、遠慮するな! 来い!」
手招きで挑発?する と、グロフは息を大きく吸って言う。
「それでは・・・」
雰囲気が変わる、妙に落ち着いたような? ???
ゆっくりと歩いて間合いを詰める。
無頓着な様子で。
「あ、あいつ」
レフが何かつぶやく ?
そこからグロフの動きが変わった。
姿が一瞬ぼやけるように、一気に飛び込んでいった。
ズン! と音とともに父さんは槍ごとの体当たりで押されていた。
「おおおおおっ」
しかもそこから投げ技、父さんの体が浮いた。
「え?」
叩きつけられる?!
しかしそう思った瞬間、二人の体が離れた。
「ふう」父さんが着地して息をつく。
「やるではないか、剣が折れてしまった」
「あ」
父さんの木剣が確かに折れて、先がプランと下がっている。
「いえ、真剣なら自分が切られていました」
グロフはうなだれている。
そうなのか? よく見えなかったが。
「おいグロフ! 今のは魔法強化だろ、汚いぞ!」
レフが不満気だが、魔法強化? 今のが?
「いいんだよ、相手はAクラスだ」
レフはまだ きたね~ きたね~ とぼやいているが、グロフは涼しい顔だ。
「さーて、いよいよネビィの番だな」
やっぱりやるんですか。
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