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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
1 迷いの章

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クリスタル・ロード 0020  本気の勝負?

 父さんより一回り大きな体、当然リーチもあるし、力が強いだろう。

しかも武器は長い棒(本来は槍)、父さんは普通サイズの剣だ。

その分有利なので、ランク差が有るとはいえどうなるだろうか?

レフは左腕をまくり息を吹きかけて冷やしている。


 「どうなりますかねー、ワクワク!」

「体が大きい分、少しは持つかなー」

女性観客は期待しているようで、リーシャはイチゴを採りながらチラチラ見ている。


 グロフは棒で素振りを数回した後、突きの動作を始めた。  

始めはかるく、徐々に大きくし突く瞬間ズシンと踏み込む。

更に突き出してから先を回し、横や後ろへ振り回すなど、徐々に動作や音が大きくなっていき、実にダイナミックだ。


父さんはウンウンと(うなず)きながら見ている。

「なかなかいいぞ、腰が入って重い突きだ」

「はっ、 恐れ入ります!」

実直(じっちょく)そうに答える。

武骨な戦士という風情が出ているなあ。

レフは少し悔しそうな顔だ。


 「では始めるか」

父さんが胸のやや下で剣を構え、グロフは棒を水平?か、やや下向きに構えて対峙している。

少し長めの間をおいて、グロフが前に出る。

滑るように間合いを詰めて腰を狙ってか、低めに突いている。


腰は動作が遅くなりがちだから狙ったか?

でもそれを父さんは軽くさばき、揺るがない。

次々に棒が繰り出されるが、立ち位置をほぼ動かず、いなしていく。


でも徐々に様子が変わって来た。

同じに突いているようで、じりじりと父さんが押されているか?

 遂に後足を半歩ずらして腰をひねり、(かわ)すことになった。

そこで棒先が顔に向けられて深く、早く突き出されると、ボッと、音を立てる。 

速さが今までと違う。


「おっと」

やや態勢が崩れるが、これもそらして棒先を抑える。

だがそれだけでは終わらず、踏み込むと父さんの体を薙ぎ払うように横に押す。

いわゆる力業か?


「む!」 

抑えようとするが、体格の違いか足が滑っている。

グロフは更に踏み込みつつ、棒を下げつつ押していき、右手で棒を横に叩いた。

? 今のはどんな意味が? 打撃技なのか?


父さんは一瞬眉をしかめたが、そこから剣を刷り上げグロフの頭目がけて踏み込む。

決まったか? と思ったときには、グロフは転がって避けている。

  

 「「「「ふう」」」」 息を吐く、男4人共だ、自分もほっとした。

女性たちはやんややんやとハヤシて拍手している。

なんか空気が違うんですが?


 「今のはいいぞ、やや強引だが効果的だ」

「でも決められませんでした」

渋い顔だ。

だけどランクが違うのだから、そこは仕方ないだろう。


「もっと荒っぽいのでも構わんぞ、遠慮するな! 来い!」

手招きで挑発?する と、グロフは息を大きく吸って言う。

「それでは・・・」


 雰囲気が変わる、妙に落ち着いたような? ???  

ゆっくりと歩いて間合いを詰める。

無頓着な様子で。


「あ、あいつ」

レフが何かつぶやく ?

そこからグロフの動きが変わった。

姿が一瞬ぼやけるように、一気に飛び込んでいった。

ズン! と音とともに父さんは槍ごとの体当たりで押されていた。


「おおおおおっ」

しかもそこから投げ技、父さんの体が浮いた。

「え?」 

叩きつけられる?!

しかしそう思った瞬間、二人の体が離れた。   


 「ふう」父さんが着地して息をつく。

「やるではないか、剣が折れてしまった」

「あ」

父さんの木剣が確かに折れて、先がプランと下がっている。

「いえ、真剣なら自分が切られていました」

グロフはうなだれている。

そうなのか? よく見えなかったが。


「おいグロフ! 今のは魔法強化だろ、汚いぞ!」

レフが不満気だが、魔法強化? 今のが?

「いいんだよ、相手はAクラスだ」  

レフはまだ きたね~ きたね~ とぼやいているが、グロフは涼しい顔だ。


 「さーて、いよいよネビィの番だな」


やっぱりやるんですか。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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