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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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クリスタル・ロード 0198  竜の剣とは

床から現れた尖った岩は、伸びて頭の上まで。

それが次々に出、床一面に広がり岩同士がぶつかり折れ、割れて鋭い破片が飛び散る。

逃げ場が無くなるように自分に迫って来るので向かうしかない。


剣で迫る岩を次々に薙ぎ払い、そのたびに数m分の岩が砕け飛び視界が開けるがそこにも岩が後から後から伸びてきて切りがない。

しかも破片が飛び散り体や顔に当たり傷が増えていくが、一向に収まる様子がない。


「くくく、いつまで躱せるかな、小僧」


王子の笑い声が聞こえるが岩の針によって姿が見えなくなっていく。

ドラゴンソードでもこの岩ではどうしようもないのか。  


そして破片が頭に当たった。

濡れた感触が額を伝い、目に入ると視界が赤くなってぼやけていく。


そして手元が怪しくなると次には岩の針が脇腹に刺さり、激痛が走る。


「ぐっ」


すぐに飛び退って抜くが内臓をやられたようだ。

しかしここで手を止めるわけにはいかない、何とかしないと・・・ しかし何を。

ドラゴンソードは熱を持ち光を放って太い岩すら砕き飛ばすが次々現れる岩で辺りは埋まって隙間すらなくなりそうな勢いだ。


「小僧、もう後が無いぞ、いつまで続ける気だ」


岩の砕ける音でかろうじて聞こえる声が届くが、楽しくて仕方ないらしい。  

視界がぼやけてきて岩すらだんだん見えなくなって、音も小さくなる。

出血で意識が途切れそうなのだろう、これはもう 終わりか?


これは本当にドラゴン・ソードなのか?

確かにある程度の力はあるが、岩相手には砕くしかないか? 炎は効かないだろうし風ではなすすべがないか? では何を? 何をすれば?


 

    ーーーーーーーーーー 『疑うなかれ』 ----------


その時声が聞こえた。


   ーーーー 『疑うなかれ、 我は竜の剣、 市井の剣にあらず』 --ーー 



疑うなと? 何を? これでどうやって勝てと。

その時足元から突き出た岩で左腕を貫かれ、激痛が走り血しぶきが顔を濡らした。

左手が剣から離れる。 これで右腕だけだ。


      

       ------ 『命じよ、我は竜の剣』 -----


命じよ?


これで?  この状況で?  俺が?



「では、 あいつを  倒せ!」



そう叫んだ。

すると右腕が勝手に? 動く。 肘を伸ばし柄を握りしめちからがみなぎる。

指も腕も太くなっていく、力がみなぎり固く爪も伸びて熱くなり鷹の様? 違う、鷹ではなく竜のような? 鋭く長い爪に。

腕はさらに太く服が裂けるほどで、岩の刺さった左腕も太くなり岩が砕け血が止まり体にまで広がって逞しくなっていく。


そして辺りに竜の咆哮が響く。 剣が鳴っているのかと思ったがそれは自分の口からだった。

いつの間にか自分が叫んでいる。 びりびりと全身に響くほどに。


そして右腕を振った。


目の前の岩の針山が、なぎ倒された。

今までとは範囲も速度もまるで違うほどに、一瞬で消し飛んで視界が開け岩が飛んでいくのが見える。  まるで爆発したようだ。


腕だけでなく剣も大きく太く長くなって輝き白い炎を纏い、痺れるように鳴るが手に吸い付くようになじんでいき、重さを感じない。   

二度、三度と剣を振ると近くの岩は一掃されて王子のいる方向へ飛んでいく。

今頃あいつの頭上に岩の針が降っているだろう。


そのあたりが光った。

そして稲妻が何度も響くがあれは防戦だろうか、爆発するような音で岩が弾き飛んでいるがこちらから更に岩の針を贈ってやろう。 

そして威力を増して大きくなった剣を両手で振り回し立ち塞がっていた岩の針山を広い範囲でなぎ倒すように斬りつけると、津波のように一斉に王子へと向かって行く。

今までと違い、我ながら子供の体とは思えない力強さで竜の剣の神髄が生きる。


岩が吹き飛んでいる轟音と王子の対抗する雷の音が交錯し地響きと反響で凄まじい音で耳がマヒしそうだが、アイツの姿は見えずどうなっているかがわからない。  





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