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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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193/200

クリスタル・ロード 0193  謁見、公国と竜王国・・・覚えてないが

ドラゴンが高度を下げ地面に近づくにつれ一人の声が聞こえてくる。


「ネビィさま~ !」


凄く嫌な呼び声だ、聞こえない聞こえない、あれは気の迷いだ、幻聴に過ぎない。


「おい、呼んでるぞ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


兵士の一人が振り向いて余計な事を言う、自分は何も聞こえていないのに。


「何で隠れてるんだ?」

「誰が隠れているんですか、自分は着陸の衝撃に備えているだけで当然の体勢ですよ、皆油断してませんか」


周りの兵士たちが自分を見ているがそれ以上何も言わない。   

それでいいのだ、こういうのを「空気を読む」と言うのだろう。


しかし竜が地表に降り立つと後ろ襟を誰かに捕まれた。

そして無理やり立たせられ、背中をかなり強引に押されて進む。


「背筋を伸ばせ、胸を張って歩幅を大きく顔を引き締めろ、それが外交だ」


誰かと思えば父さんが後ろについていた。

別の竜に乗ったはずなのにいつのまに同じのに乗っていたのか? 


「こんな事もあろうかと移っておいて良かった、さあ行くぞ」


背中で父さんが囁く。 まったく要らんことを考えてくれる、あんなのに会えと?

笑顔で手を振れとでも言うのか、自分は外交苦手だろうが・無愛想だから。



皆がドラゴンから降り整列し、自分は父さんと共に先頭に立つことになった。

あの娘とその父親の外務大臣さんが並んで出てくる。


「我が国の危機に対してのご協力、ご足労に、誠に感謝いたしますぞ」

「ネビィ様もありがとうございます、とっても頼りにしておりますわ!」

「ど、どうも・・」

「お役に立てるよう皆全力で事に当たる所存です」


父さんが背中を思い切り(爪を立てて)つねっているが、これで精一杯の態度なのだ。

顔が引きつらないよう話すのがどれほど辛いかわかるまい。

自分は部外者とでもいうように涼しい顔をしてるし、それでも親か、人の子か。


「大公からもお礼を申したいそうで、ご案内いたします、こちらへ」  


あの娘に腕を組まれて引っ張られていき、背中に父さんの指がグリグリと当てられ押してくる・・ くぬやろうめ、後で叩いてやろう。



そして謁見の間にて大公(王)からの礼があって宿舎へと案内されるまで記憶がほとんど無くなった、多分意識が拒否したのだろうが知った事ではない、後は父さんに任せるからよろしく・だ。



  ・・・・・・・・・・・・・・


「おい、起きろ」



「おい、さっさと起きろ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」


どすっ、ボスっ、ベン!、 ドスドス!   


ベットを叩く音が聞こえているが、的外れである、フッ、 そうはいくか。

ゴンッ !!


「いてててて! 何だ?」


父さんの声が聞こえるのが実に痛快である、ざまあみさらせだ。

ベットの反対側の下から出て笑ってやる。


「おはようございます、お父さん、朝から訓練ですか?精が出ますね」

「このやろうめ、起きてたのか」


こんな事もあろうかと速めにベットの下で待機していたのが良かった。

脛を剣で軽く叩いてやった、昨日の分を含めてだ。

あれなら痣ができたろう、自分の背中にもあるのだ・・父さんに付けられたのがだ。


「ならさっさと支度しろ、出かけるぞ・いてて」


二人にはそれぞれ一人部屋が用意され、比較的良い部屋であるのは代表であり、こちらは協力を求められた立場だからだろう、兵士達も広めの2人部屋が与えられたそうで食事も良い物だった。

これであの娘がいなければもっと良かったのだが。


「出かけるったって、カルト教団の事は口実なんですよね、いない相手を探して回るんですか? これからずっと」

「そんなわけは無かろうが少しは合わせてやらんとな、段取りは向こうで考えてあるだろう、そのうち本命が出てくるさ」

「本命とは・・竜王国の次男でしたか、いましたかそいつ?」  

「いただろ昨日、大公の隣に偉そうなのがな、見てなかったのか」


記憶では背景の一部となって溶け込んでいた、あの娘も同様に・だ。


「嫌な物は見ないようにしてますから、心の健康の為に」

「呆れた奴だ、これも外交なんだぞ」

「父さんがそんな事を言うとは・・・ 国が亡びる前触れでは?」

「いいからさっさと支度をしろ、ドラゴンソードも忘れるなよ」


こいつをまた使うことになるのだろうか、今度は次男王子に? 


どうなったって知らないぞ、力を発揮できたって手加減までできるかはかなり怪しい、火傷で済ませられたのはまだ幸運だった。


殺してしまったらどうするのか、戦になってしまわないか?  



おかげさまで連載1周年、21000PVとなりました。

これもひとえに皆さんの応援のおかげ、ありがとうございます。

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