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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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188/200

クリスタル・ロード 0188  事後処理

「う~~む、困った、困った」


帰ろうとすると脇で見ていた閣僚の一人が頭を抱えて悩んでいる。

何だろうかと思ったが邪魔しても悪いので、そのまま帰ろうと思う、うん。


「お待ちください、お二人とも」


呼び止められた、が、二人? と見ると父さんもその場を去ろうとしている。


「何か?」

「何か、じゃないですよ領主代理、自分に関係ないって態度をしないでくださいよ、ご子息もです!」


自分も? 王子の相手が終わったので帰ろうとしてますが何か問題でも。


「父さん、こちらの方は?」   

「外務担当官だ、若いのに非常に優秀でな、外務に関しては任せておいて問題ない」

「おだてたって駄目ですよ、竜王国の王子にあんなことしておいてどうするんですか、私の身にもなってくださいよ」


あんなこととは? 穏便に済ませたはずでは。


「殺すわけにもいかないので軽く済ませたのですが、何か有りましたか」

「そうだな、まあ妥当な線だろうと思うぞ」

「どこがですか、あれ絶対ひどい火傷してますよ、手だけではなく顔もですよ、後でどうなるかわかっていますか、竜王国は気位が高いので有名なんですよ」


何かと思えばそんな事でとは、ずいぶん心配性な人だ。


「手加減する余裕はなかったのにあの程度で済んだのは幸運だと思いますが、王子はドラゴンソードの発現を望んでましたし、あれで満足なのでは」

「そうだな、剣士たるもの火傷程度は軽い傷だ、強いて言えば部下に止められたのは心残りだったとは思うがそれは向こうの問題だから、こちらの落ち度はない」


二人からそう言ってもまだ外務担当は俯いて頭を抱えている。


「それで済むなら苦労はないですよ、外交は・・・・・」

「何をそんなに心配しているのかね、いくら向こうが大国だろうと、こちらにも凄い兵器が有るし、ドラゴンソードとて手に入ったのだぞ」

「そうですね、確かに」


だが彼はまだ俯いて悩まし気な様子から復帰できないでいる、気の毒なほどに。


「だけどその兵器はいつまで使えるかもわからず、弊害とて有り得るし兵士の数は不足しているしドラゴンソードは発現したばかりでまだ少しばかり炎を出しただけで、大国相手に安心しろとおっしゃるんですか? 安心ですか?」

「痛い所を突いてきますね、父さん」

「だから優秀だって言ったろ」


言われたことは尤もではあるが、状況としてはあれが最善だったと思うのだが・・それでは済まないのだろうか、彼は。


「君の心配はわかるが王子とて剣士だ、わざと負けて見せたって満足せんと思うぞ、彼は剣を寄越せとは言わんかったし、戦いを望んだのは聞いていたろう?」

「それはそうですけど、・・・・・・  あの王族は兄妹や親もうるさいんですよ、気位高くて好戦的で、強欲で・・・ 」  


気位が高く強欲、それならば。


「ではお見舞いと称して貢物を送るのはどうですか、お詫びではなく火傷のお見舞いとしてならこちらが悪いという意味でなく、相手もそれなりに気が済むのでは?」

「お見舞い・・ですか、まあそのぐらいは問題ないかも、しかし何を?」

「遺跡で見つかった珍しい品があったのでは? 武器でなく、装飾品など」

「ああ、 壺とか反物があったな、それが良いんじゃないか」

「貢物・・・・・・そうですね、では選んでおきます、いいのがあるかな、ハア」

「仕事疲れが溜まっとるようだな、若いんだから少し遊んだ方が良いぞ、いいな」


彼の背中をパンパンと叩いている父を見ながら退散することにした。

これ以上付き合っても繰り言を聞かされそうだし、心配するよりこれからの事を考えるべきだろうと、そそくさと領主の館を後にする。

後ろから あいつ逃げたな という声が聞こえたが気に留めない。



ドラゴンソードの力を出す方法が少しわかったのはあの王子が来た成果でもあるし、問題ばかりではない。

それにしても、兄妹? あのうるさい王子だけでなく他にもいるのか、王族とは後継ぎやら政略結婚やらの候補で子が多いのは知っているが、他もうるさいのか、しかも親までとは彼が悩むのも少しわかる気がする。  


この国の王の事がかたずいたと思ったら今度は竜王国とは、あの人が疲れるのもわかる気がする、領主も大変だろう。



「あっ ネビィだ! ネビイー、今帰り?」  


その時急に誰かに呼ばれた、今のはリーシャか?

でも周りを見渡してもいない、どこだ? 、 ?


「こっち、こっち~」


上から呼ばれているようだと見ると二階の窓からリーシャが身を乗り出している。

いつの間にかギルドの前まで来ていたらしい。

横にはアイリスもいる、いつも仲が良いことだ。

アイリスがギルドに住んでいるので遊びに来ているのだろう。


「お菓子があるよ~、 寄って行かない?」

「歓迎する~」


二人に呼ばれたので行くことにしよう、自分にはリーシャ達が安らぎになっているなとつくづく思う、おかげで救われている。




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