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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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181/200

クリスタル・ロード 0181  補助魔法、バージョンアップ

「ドラゴンソードの件が、バレたらしいぞ」


そう言われて盛大に咳き込んでしまったのは家で晩御飯を食べている最中、好物のビーフシチューを味わっていた時であった。

父さんから唐突にそう告げられ、慌てて変な所に入ってしまった。


「ゲホゲホッ・・ ゴホッ、 なんですと! 」

「もう、夕飯時に仕事の話なんてするからよ、家では家族団欒を楽しみましょうよ、政治の話も無しにしてちょうだい」


母さんが呆れたようにテーブルを拭きながら言うが、しかし機密事項がバレたのは国家の一大事なのではと思う。


「バレたと言っても我が国からではないがな、あれを寄越した国の外務大臣と、その娘があちこちで吹聴してるそうだ、この国とつながりができたと示したいのだろうな」

「ああ、あの剣が本物とバレたわけじゃないんですね、政治的意味か」


びっくりした、 剣の覚醒時をスパイに見られていたのかと思った。


「あの娘がずいぶん動いているらしいな、ある意味大臣より厄介かもだ、お前も気を付けないと巻き込まれるぞ」

「嫌な事を・・・、何に巻き込まれるんですか」

「いつの間にか婚約者にされてたりな、くくくっ」


パンをかじりながら嫌味な笑い方をしている、なんて父親なんだか。


「そんなに積極的な子なの? それは大変ね」  

「積極的というか、あれはその・・」

「図太いよな、かなり、父親の大臣さんが頭を抱えているようだぞ」


あの子が事態を悪化させそうで実に不安だが、領主はどう考えているのだろうか、今度よく聞くことにしよう。


「それとな、領主からのお話だが龍王国から使節団が来るそうだぞ」

「竜王国!」


ドキリ とする。

でもドラゴンソードの件は知られたばかりのはず、もう使節団が? なぜ?


「表向きは領主の国王就任への祝いと挨拶だがな、実際は睨みを利かせる為だな、剣の事も含めて自分達に逆らうなと釘を刺しに来るわけだ」  

「嫌な国だなあ」


「ほらもう、二人とも仕事の話よりご飯を食べて! 今日は良い肉が入ったんだから 野菜だって新鮮なのよ」

「はいはい」



    ーーーーーーーーーーー そして翌日



リーシャの言っていた補助魔法、それを魔法塾で見せると言われてやってきた。


「なぜパーティの4人までいるのかな」


グロフ達まで来ているが仕事はいいのか、素材集めやら遺跡調査の仕事やら色々請け負っているはずだが、畑仕事だって・・・・。


「フレアも身に付けたいと言ってな、そうなると俺達に使うことになるだろうから場合によっては命に関わる、わかるな? 、わかるな?、 な?」

「いっそ断れば良いのでは・・」


そう言ったところでフレアが離れた所で睨んでいるのに気付いた。


「何ですか?」


そうフレアが冷ややかに聞いてきた。

魔力は豊かだがあの大雑把な使い方のフレアさんが、補助魔法? 人体に魔力を送るデリケートな技術を・フレアさん・が?


「仲間を助ける事は大変良いですね、うん」


眉間に皺が寄りそうなのをこらえて言ったが、まだ横目で睨んでいる。

これ以上どう言えと? 正直な気持ちですよ。  


「もういいから、こっちに来てネビィ」


リーシャに引っ張られて魔法塾裏の屋外練習場、そこにいつのまにか高さ10mほどのやぐらと5mほどの台がいくつか作られていて、それぞれにははしごも付いている木造だがしっかりした出来だ。


「これギルドマスターさんが造ってくれたのよ、アイリスが世話になってるからって、練習場所よ」


アイリスが黙って胸を張る。

ギルドマスターはアイリスのおじさんにあたる、ずいぶん大事にされているらしい。

母親は遠くで働いているそうだが会いに来ることは無いのだろうか、何か事情があるのか顔を見た事が無い。  


「じゃあ、はじめよ! 今日はちょっと凄いよ、ケガしないでね」


リーシャが杖を振るって言う。

アイリスも杖を構えて気合が入っている、二人がかりで?




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