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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
1 迷いの章

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クリスタル・ロード 0018  4人のお仕事

 パッカン、パッカンと、マキ割りの音が響く。

レフが手早く進めていくのが、慣れていると感じさせる。


「野宿じゃ、しょっちゅうやってるしな、軽い軽い!」

「女達はすぐ風呂に入りたがるだろうしな、二人でかなりやっておかないと」

「全くだ、しゃーないな」

言いながらも笑っている。


ジョーイは鶏小屋の掃除、フレアは馬の世話で、ブラシ掛けだ。

元貴族なら乗馬は経験あるのだろうか、嫌な顔をせず馬に話しかけながら行っている。

「乗馬は良くしていたので」

フレアは嬉しそうに言う。

「子供の時に父が買ってくれて、家の周りを一日中走り回ってましたわー、黒毛で細身でかっこよくてほれぼれしてました  あの子今どうしてるかしらねえ」  

白馬じゃないんだ、白馬の王子様に(あこが)れたのかと思ったが。


「乗ってみますか? 少し気が荒いですけど」

「え? いいの?」

「僕や父さんが乗ると機嫌悪くなるんですけど、女性なら大丈夫ですよ」

「あー、女はおとなしく載せるタイプか、いるよなそういう馬」

「うむ、人間の性別で態度が違うとは不可解だな」

レフたちが呆れて笑う。


「やっぱりオスなのこれ?」

 ジョーイが掃除を終えて話に混じる。

「オスですよ」 

「「「あ~」」」

 3人が呆れてしまう。   

「男性は扱いが荒いからですよ、馬は繊細ですからね~」

「ね~」と馬をなでると、そうだというようにブルルルと答える。


 パカッ、パカッ と,軽快に馬を走らせるのはさすがに元貴族様で、上品で(よど)みがなく見事なもんだ。

これなら1日中乗っていても問題ないだろう。


「おーい、楽しむのはいいが、ほどほどにな、俺達仕事に来てんだから」

「はーい」と、常歩(なみあし)で戻ってくるのもサマになっている。

「いい馬ですねー、これ、前のあの子を思い出しちゃう」

これはそれほどでは無いと思うけど・・。 

  

「これ、実は元盗賊の首領の愛馬で、そんなに良いもんじゃないんですよ」

「「「「盗賊?!」」」」

「盗賊団を捕まえたときに没収された馬の1頭で、特に気が荒いからと父さんが引き取って調教しなおしたんですが、今でも問題ありで・・・」

「は~、でもフレアだとおとなしいよね」

馬は フン! と鼻息荒い。

まるで「他の奴が悪い」と言っているようだ。


 「みんな、休憩にしましょ」

母さんがお茶とお菓子を持ってやってきた。

折り畳みのテーブルと、間に合わせの箱椅子で準備する。

  

「冒険者に雑用をさせてごめんなさいねー」

 母さんがお茶を入れながら言う。

「いえいえ、雇われてる以上は文句言えませんから」

「自分らも初級の頃はさんざんしましたので、慣れています」

「そうそう、荷物運びに動物の世話や井戸掘りなんかもねえ」

「井戸掘りはきつかったな」

みんなウンウンとうなずいている。


 お茶もお菓子も美味い、このお菓子は母さんのお手製だろうか?

最近リーシャのお菓子に対抗して母さんのも気合が入っている。

『体に良い木の実』とか『香りの良い花』だのが使われているそうだ。

大丈夫なんだろうか?   

母さんは薬師だから・・問題ないか。


「この後は、畑造りをやってもらおうかしら、薬草畑を広げようと思ってるから」

お菓子用かな? やはり気合が入っている。

「薬草というと、ポーションですか?」

グロフが聞く。

「それもあるけど、他にも色々と」

4人が顔を見合わせる。


「ポーションでしたら、実は安く譲っていただけると助かります、その分働きますから」

レフが前のめりになっている。

「そうです、自分等にとってはポーションは高価なので」   

「だよねー」

「そうですね」

「じゃあ、この際ポーション畑を別に作りましょうか、4人も手伝いいるから」

「「「「やったー!」」」」

大騒ぎである。


 その日はさっそくと畑造りが始まり、真っ暗になるまで作業が進められた。

お風呂の準備はしておいたので、早々に女性陣(母を含む)が入り、盛り上がっている。

3人で入ると狭くないですか?

   

男衆は夕食の為の野菜や肉などを切っておき、下準備である。

自分もやっているのだ。

「そういえばパーティ名、何でしたっけ?」

「俺達か? グレン・グリフ だ」

「自分らの名をもじってな、最初は2人だけだった」


そこへ父さんが帰って来た 今日は遅かったな。

「さあ、明日から修行を始めるぞー」


明日は土曜日、やはり・・翌日はへばる事を織り込み済みですね?


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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