クリスタル・ロード 0018 4人のお仕事
パッカン、パッカンと、マキ割りの音が響く。
レフが手早く進めていくのが、慣れていると感じさせる。
「野宿じゃ、しょっちゅうやってるしな、軽い軽い!」
「女達はすぐ風呂に入りたがるだろうしな、二人でかなりやっておかないと」
「全くだ、しゃーないな」
言いながらも笑っている。
ジョーイは鶏小屋の掃除、フレアは馬の世話で、ブラシ掛けだ。
元貴族なら乗馬は経験あるのだろうか、嫌な顔をせず馬に話しかけながら行っている。
「乗馬は良くしていたので」
フレアは嬉しそうに言う。
「子供の時に父が買ってくれて、家の周りを一日中走り回ってましたわー、黒毛で細身でかっこよくてほれぼれしてました あの子今どうしてるかしらねえ」
白馬じゃないんだ、白馬の王子様に憧れたのかと思ったが。
「乗ってみますか? 少し気が荒いですけど」
「え? いいの?」
「僕や父さんが乗ると機嫌悪くなるんですけど、女性なら大丈夫ですよ」
「あー、女はおとなしく載せるタイプか、いるよなそういう馬」
「うむ、人間の性別で態度が違うとは不可解だな」
レフたちが呆れて笑う。
「やっぱりオスなのこれ?」
ジョーイが掃除を終えて話に混じる。
「オスですよ」
「「「あ~」」」
3人が呆れてしまう。
「男性は扱いが荒いからですよ、馬は繊細ですからね~」
「ね~」と馬をなでると、そうだというようにブルルルと答える。
パカッ、パカッ と,軽快に馬を走らせるのはさすがに元貴族様で、上品で淀みがなく見事なもんだ。
これなら1日中乗っていても問題ないだろう。
「おーい、楽しむのはいいが、ほどほどにな、俺達仕事に来てんだから」
「はーい」と、常歩で戻ってくるのもサマになっている。
「いい馬ですねー、これ、前のあの子を思い出しちゃう」
これはそれほどでは無いと思うけど・・。
「これ、実は元盗賊の首領の愛馬で、そんなに良いもんじゃないんですよ」
「「「「盗賊?!」」」」
「盗賊団を捕まえたときに没収された馬の1頭で、特に気が荒いからと父さんが引き取って調教しなおしたんですが、今でも問題ありで・・・」
「は~、でもフレアだとおとなしいよね」
馬は フン! と鼻息荒い。
まるで「他の奴が悪い」と言っているようだ。
「みんな、休憩にしましょ」
母さんがお茶とお菓子を持ってやってきた。
折り畳みのテーブルと、間に合わせの箱椅子で準備する。
「冒険者に雑用をさせてごめんなさいねー」
母さんがお茶を入れながら言う。
「いえいえ、雇われてる以上は文句言えませんから」
「自分らも初級の頃はさんざんしましたので、慣れています」
「そうそう、荷物運びに動物の世話や井戸掘りなんかもねえ」
「井戸掘りはきつかったな」
みんなウンウンとうなずいている。
お茶もお菓子も美味い、このお菓子は母さんのお手製だろうか?
最近リーシャのお菓子に対抗して母さんのも気合が入っている。
『体に良い木の実』とか『香りの良い花』だのが使われているそうだ。
大丈夫なんだろうか?
母さんは薬師だから・・問題ないか。
「この後は、畑造りをやってもらおうかしら、薬草畑を広げようと思ってるから」
お菓子用かな? やはり気合が入っている。
「薬草というと、ポーションですか?」
グロフが聞く。
「それもあるけど、他にも色々と」
4人が顔を見合わせる。
「ポーションでしたら、実は安く譲っていただけると助かります、その分働きますから」
レフが前のめりになっている。
「そうです、自分等にとってはポーションは高価なので」
「だよねー」
「そうですね」
「じゃあ、この際ポーション畑を別に作りましょうか、4人も手伝いいるから」
「「「「やったー!」」」」
大騒ぎである。
その日はさっそくと畑造りが始まり、真っ暗になるまで作業が進められた。
お風呂の準備はしておいたので、早々に女性陣(母を含む)が入り、盛り上がっている。
3人で入ると狭くないですか?
男衆は夕食の為の野菜や肉などを切っておき、下準備である。
自分もやっているのだ。
「そういえばパーティ名、何でしたっけ?」
「俺達か? グレン・グリフ だ」
「自分らの名をもじってな、最初は2人だけだった」
そこへ父さんが帰って来た 今日は遅かったな。
「さあ、明日から修行を始めるぞー」
明日は土曜日、やはり・・翌日はへばる事を織り込み済みですね?
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