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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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172/200

クリスタル・ロード 0172  ドラゴン・ソード

更新が遅くなっていて申し訳ありません。

体調を崩しておりまして、最近ようやく回復してきました。


竜殺しの剣、いわゆるドラゴン・ソードが目の前にある。


噂では聞いたことがあるが伝説に過ぎないだろうと思っていた。

本当にこの剣で竜を仕留めることができるのだろうか。


大きめで普通より重くはあるがこれで特別な物なのか、刃は見る角度によりやや赤身がかり煌めくようだが他はいたって普通のように見える。

まさか偽物? ・・・・と考えるのは早計か。

魔力を込めるとか発動の方法があるのかもしれない。

使いこなせなければ意味がない・とは、あの娘が言っていたが、その通りだ。


「これが竜を殺せる特別な剣? 魔剣なのかな」


リーシャが恐る恐るのようなそぶりで見つめる。  

ここは魔法塾の屋内練習場、つまりリーシャの家だ。

魔剣として調べるためにここへ持って来た。

ここなら先生もいるし、魔法に詳しい人が集まるから参考になるだろうと。


「でも持ち出してよかったの? 国宝並みなんでしょう、これ」


先生・リーシャの母さんは少しあきれ顔だ。


「大丈夫、領主様が許可してくれたので! 本当に竜殺しの剣なら役立てろと」

「ネビィが期待されてるんだ、凄いね」


リーシャが本当に感心しているようだけど、それは少し怪しいと思う。

伝説の剣とはいえ、あの国が生かせなかった物をこちらですぐ使えるとは言い難い。

実質は預けられただけの気がする。  

だからといって諦めるわけではないが、悔しいけどどうすれば良いのか見当つかない。


「魔剣だろうと思うんだけど、見た目も持った感じも普通の剣のようだしこれが本当に竜殺しなのかと・・ もしかして偽物ではと思った」


「でも魔力は少し感じるわね、偽物扱いはまだ早いかしら」

「うん、魔力を封印してあるみたい・・・ずうっと奥に・・・・・」


先生が言うとアイリスが頷いて剣を見つめながら応じた。

この子の魔術素養は天才レベル、なら魔剣というのも信用できるか?


「封印か・・・・ じゃあ発動条件があるのか、でもどんなことなのかな」

「呪文? それともキーワード? それとも魔力を注ぐとか」


「注ぐ?」  

リーシャの言葉がやや引っかかった。

注ぐとは・・魔法を掛けるようにかな、魔法使いのように? じゃあ魔力がいる?

剣士が魔力を必要とするのか。

自分には無いんだが。


「魔力を注ぐのは私ができる、いっぱい」

「私だってできるよ、アイリスほどじゃないけど」


アイリスが言うとリーシャが対抗するように前のめりになっている。


「良いんじゃありません? 補助をされながら戦うのも有りでは?」


フレアが近くで聞いていたようだ。

彼女も魔力が有るしな、できる人が付いていれば問題無いか。   


「試してみようよ、さっそく」

「私もする、お姉ちゃんとダブル支援!」


二人からそう言われたらと立ち上がると先生に慌てた顔で止められた。


「ちょっと待って! ここでもし魔剣の力が発動したら塾が壊れそう」


ん? そうか、竜殺しと呼ばれるほどの剣が開放されたらまずいかな。

すぐにできるとは思えんけど、被害を出さないように広い所でないと。


「では街の外、前に使ったあの谷はどうかな?」 

「それだと他国のスパイに見られそうね、国宝級を晒すのはまずいかしら」


う~~ん 確かにそれはまずい? ではどこで。


「あら、それならいい所が有りますわよね?」   


フレアが微笑みつつ言ったその場所は・・・・・・・・・



   ...................................................



それは、あの遺跡・・ 不思議なアイテムや強力な兵器、未知の動物や謎多き部屋などが見つかった遺跡だった。


「あれから調査が進んでね、更に不思議な物や別の空間が見つかったんですのよ」


フレアが嬉々として胸を張り先導していく。

リーシャ達の他にグロフ、レフ、ジョーイと久しぶりにパーティメンバーが揃っている。


「ネビィが領主の所へ行ってる間にな、俺達は遺跡を調べるように言われていて今までずっとやってたんだぞ」

「うむ、単純に獣狩りも良かったが不思議な物も色々でな、退屈しなかった」  

「ね~~ 、道に迷いそうなぐらい広い所も有るし、異世界もだよね~~っ 」


異世界と聞いてドキッとするが自分のいた世界ではないだろう、たぶん。


「あそこなら思う存分魔法を放てますし、良い場所ですね本当に!!」

「だからフレアが最近機嫌良くて、ねえ?」

「今までのうっ憤を晴らしてるよな、うちの水神姫は」

「私は水だけじゃありませんよ、雷も鍛えていますからね! くらわせますか?」


そんな事を言い合いながら歩いているうちに当の遺跡へ着いた。

前は見なかった場所もあり、聞いた通り異世界らしき様子で見た事のない景色が次々に現れる。


木のように枝分かれした建造物か、高さ100m以上はあろうかというものがあちこちに伸びその間を3分の一ほどの低めの物が繋いでいるかのようだ。

あれは家なのか、それとも城壁なのか。

そして空は薄い紫で夕焼けとも違い、太陽は妙に大きいが日差しは弱めだ。


他のルートには空から滝のように水が落ちてくるが、空には何もなくひたすら高くから水が湧き出ているかのようで、それが何十か所もあり湖に吸い込まれていく。

周りの木々はサボテンのようなのやキノコのような見た事のない種類ばかり。


以前も変わった物は色々見たが今回は更に不思議な・・・

あっけに取られて見回しているうちに目的地に着いた。


「ここなら思う存分試せるぞ、広いし獣もいるし居住区は無い」


レフが得意げに言ったそこは遠くには森や岩山、緑の滝、巨大な木、複雑に流れる川? 途中には斜めになった細めの岩々、手前には広い岩場や草地だが岩は青く草は薄いピンクや黄色など花のように見える、全体に華やかな景色だ。


「綺麗でしょう? それに広いからここで魔法を最大で放つと爽快ですのよ」


フレアがうっとりと景色を見つめる。

ジョーイが自然破壊と小さく呟くがフレアには聞こえていないようだ。



しかしここならスパイの目を気にせずドラゴンソードを試せる。




最後まで読んでいただきありがとうございます。

まだまだ続けるつもりです。

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