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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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171/200

クリスタル・ロード 0171  お騒がせはこれからか?

かさねがさね更新が遅くて申し訳ありません

体調を崩しております。

逃げたいと思ったが、逃げられなかった。


歓迎会、招かれざる客とは言えこれも国交だと言われてしまった。

それはそうだ・あれでも貴族の娘で外務大臣代理だし、これから味方になる国の代表では無視するわけにはいかない。


パーティが始まってしまった。

ささやかではあるが料理や酒が用意され、幹部達が集まっている。

グロフも隊長として参加している。


「タダ酒が飲めるなら何でもいいさ、レフ達は出られんのかとぼやいていたがな」


そしてあのお騒がせ娘は物怖じすることなく一人で代理を務めている。

こちらの領主や幹部を相手に胸を張っての外交ぶりだ。   


「うちの兄ではあの剣は宝の持ち腐れですもの、強い方に持っていただかないと」


何だか話がこちらに向いてきそうな流れだと思ったら、案の定こちらを見た。


「ネビィ様ならお強いからふさわしいと、あら私ったら厚かましく名でお呼びを・」

「いえ、構いませんよ」

「では私の事はナターリャとお呼びください、ネビィ様、同盟国ですし!」


さすがは外交担当、厚かましいほどの踏み込みだ。

あの兄?と共通するような気がする、別な意味ではあるが。


「あの剣は竜殺しの武器ですが兄では竜に近づく前に倒されますでしょ、意味ありませんからね、オホホホ」


自分の兄をずいぶんな言いようだが、いいのか?   

ドラゴンを相手になど自分とてできるかわからないし、魔力が必要ならなおさらだ。

リーシャ達と組めばあるいはとは思うが、それに遺跡の杖から教わるか・・だな。


間を持たせようとナターリャへワインを渡そうとすると部屋のドアから執事が小走りにやって来て領主に耳打ちした。



「突然に訪問して申し訳ない、 外務大臣のクランバリウス伯爵であります、うちの娘がこちらに・・」


「あら、お父様!」


息を切らせてやってきた父親の伯爵様と対比的な冷めた娘、なんだか揉め事の気配がする。

やはりお騒がせ娘の予感が当たっていたか。


「お前は~~~~~!! 国宝を勝手に持ち出しおって、何をしておるか~~っ!」


ああ、やっぱり。



      ****************


「うちの娘が突然お邪魔いたしまして飛んだご迷惑を・・ 」


領主に平謝りの外務大臣、娘の頭を押さえつけて謝らせている。


「でも、お兄様にあれを預けても意味ないでしょう、隠しておくのはなおさらですし」

「そんな問題じゃない、あれは国宝だぞ、国の宝を何だと思っている」


「まあまあ、そういう事なら剣はお返しいたしますよ、そうではないかと思っていましたから」


領主はそこまで予測していたか、自分より読んでいたとはさすがである。

やはりあの人は自分より頭が回るな。

  


「いえいえ、一度贈ると申した物を返却などと我が国の沽券にかかわります・どうぞ

そのままお受け取りを」

「よろしいのですか?、勝手に持ち出されたのであれば・・・」

「娘には別途、罰を与えますゆえお気になさらず、こちらの問題ですので」


大臣は娘を睨みつけているが、娘の方は涼しい顔だ。


「私よりお兄様を罰するべきでは? 私は償いに来ただけですから」

「あいつにはとうに罰を与えてある、お前が出かけた後だから知らんだろうが」

「百叩きですか、逆さづりですか?」


妹が嬉しそうに言うがいいのだろうか、どんな兄弟なんだか・・・・・


「まあまあ、発泡ワインなどどうですか、ささやかな会食ですが」   

「恐れ入りますが、そろそろお暇いたします。 娘を連れ戻しに来ただけですので」


この娘とあの兄では父親は苦労しそうだ。

気の良さそうな方なのでなおさらそう思う、外務なら国交問題にも関わるし。

胃を傷めなければ良いが。


「お父様、今日は泊めていただきませんか? 私あちらのネビィ様とお近づきになりたいですわ、是非に」

「何を厚かましい事を、まだ正式にご挨拶さえしてないのだぞ」

「私がしておきましたわ」

「それは正式とは言わん! さあ帰るぞ」


そうして別れの挨拶もそこそこに二人は帰ることになり、娘は引きずられるように連れて行かれた。


「ネビィ様、またお逢い出来る時を心待ちにしておりますわ~」


叫びながらハンカチを振るので手を振っておいたが、最後までお騒がせ娘だ。



皆が呆れて見送る中、グロフが寄って来てつぶやく。


「ずいぶん気に入られたようだな、リーシャが知ったら妬くぞ」

「あれは ”目を付けられた” と言う方が近いのでは」

「そうだな、伯爵家で外務大臣の娘ならこれからからんで来るぞ~」


あれの兄も関わってきそうだし本当に面倒な事になりそうな気がする。


「そうだねえ、でもねえ君も厄介な相手の対処を経験しておくといいよ、これからの為にね・・・ 色々な人を味方にしなけりゃならないんだから」   


領主が手のワイングラスを見つめながら言った。

色々な人を、か、 味方だから仲が良いとは限らないし、信用できないのもいる。

仲が悪いのに頼りになるのもいるか・ 確かに付き合わなければならないのだ、それがどんな人物でも、だ。



             ・・・・・でもあの娘は嫌だなあ。

 


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