クリスタル・ロード 0170 お騒がせ
更新が遅くなり申し訳ありません。
体調を崩しております。
会議中なのに突然入ってきた子に一同唖然としている。
当の本人は胸を張って自信満々の態度だが、どんな感覚をしているのか。
さすがの領主もどうしたらいいのかと固まっているようだ。
「あ~ これはこれはご丁寧に、よく来てくれたねお嬢さん 外務大臣代理だったかな、私が領主の・・」
「新国王様ですね、お噂はかねがね伺っております・とても賢いお方だそうですね、お逢いできて光栄ですわ」
スカートを摘まみ恭しくお辞儀をするのがとても様になるのが意外だ。
厚かましいような態度とは対照的である。
領主はやや苦笑しながらも椅子を勧める。
すぐに席が開けられ領主のそばに掛けることになった。
「突然お邪魔して申し訳ありません、改めまして外務大臣代理として謝罪と、そして新国王様ご就任お祝いの品をお持ちしましたわ」
そして手を二度叩いて大きな音が部屋に広がるとすぐにドアが開いてワゴンに乗せた品が運び込まれてきた。
両手を広げた程の長めで立派な箱だ。
「どうぞこちらをお納めくださいな、我が国の宝ともいうべき品ですわ」
従者らしき人がゆっくりと開けると銀色に輝く物が見えた。
剣・・・・だな、ずいぶん立派な物だ。
「ほう、こんな良い物を・恐れ入りますね、本当に戴いてよろしいのですか」
「もちろんですわ、どうぞお受け取りを」
満面の笑みを浮かべてそう言うがこちらの幹部で髭のご老体が剣を見て驚いた。
「これは・・・まさか、竜殺しの・・?」
「あら、ご存じでした? まさにその竜殺しの剣! 我が国の秘宝ですわ」
竜殺しの剣とは、聞いたことがあるが伝説だと思っていた。
ずいぶん前に失われたはずだが近くの国にあったとは・・ 本物だろうか。
「竜殺しの?! 本当にそうなら国宝中の国宝では? そんな物を持ち出してよろしいのですか?! 国王様はご存じなのですかな?」
「あら、そのような事お気になさらず! 我が国の問題ですもの、それにこれを使える者が我が国に居りませんの、 私の兄では竜に近づく前にやられるでしょうし」
「うむむ、確かにこれは魔剣・強大な魔力と人外の剣技を要するはずですが・・・」
「おっしゃる通りです、それに味方に武器を贈って何の支障がございましょう? 、そちらには私の兄を倒した剣士がいらっしゃいますよね?」
すると皆の目が自分に集まった。
あ、そうか、兄とは戦場で倒したあいつの事か、妹が謝罪に来たというのか。
動転していて話が分からなかった。
「あらあら、そちらにいらっしゃいましたか、初めまして。 兄はあれでも我が国で有名な剣士なのですがあっさり倒したそうですね? 若いのにお見事ですわ!!」
流れるように言葉が出てくる、口も頭も回る娘の様でさすがは外務大臣代理だ、こちらは口下手なのでたじたじに押されている。
「いえいえ、あれは僅差で技が入ったまでで・・あの踏み込みの速さはお見事でしたよ、自分の方が肝を冷やしました」
「あら、よろしいのですよ、お気遣いなく! 兄の未熟さゆえの負けですから」
などと笑顔で、更に迫られている・この娘の踏み込みも相当なものだ。
「あ~~~、ネビィ君が困っているようだし、その辺で・・ね」
領主が苦笑しながら声を掛けてくれた。
「あら、私としたことが・はしたない事を、失礼いたしました」
そう言いながらもまるで反省していない眼だが、この娘は何を狙っているのか?
何か嫌な予感がするのだ、 なぜ外務大臣本人ではなく代理が来たのか?
いきなり超国宝級の品を持ち込むのも何かひっかかる。
しかし自分は政治的な駆け引きが苦手だ。
ここは領主様にお任せしよう・・・・・・・・・・・・・・・ 。
「今日は会議をここまでにして歓迎会にしようかね、急だからささやかになってしまうが、どうかな外務大臣代理の方?」
「よろしいんですの? 申し遅れました私、クランバリウス伯爵家の長女・ナターリャと申します、お見知りおきを!」
こうしてナターリャ・クランバリウス伯爵令嬢が登場してきたが、これは何と言うか非常にお騒がせ娘の予感がするのだ。
これの兄は短気な剣士のようだし問題を起こしそうな兄妹である。
自分は歓迎会を欠席して良いだろうか?
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