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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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154/200

クリスタル・ロード 0154  騎士団長補佐!

「領主が王になると、決まったぞ」


数日後、父さんがいきなりそんなことを言った。

考えなければならないことが山積みじゃなかったのか?!


「兵士を連れて王都に移るそうでな、そして父さんが領主代行となる!」


?! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「じゃ、畑に戻りますから」


「ちょっと待て!!」

襟首をがっしりと掴まれた。


「畑仕事を続けないと・・・」

「冗談を言ってるのではない、聞かんか!」  


父さんが領主になったらここはどうなるんだ? 戦場か? 遺跡になるのか?!

「何だその目は? いいから黙って聞け! 真面目な話だ」


【歩く凶器】が目を血走らせている、この人を領主にする気か? 本気か?!

でも話さないと収まらないだろう。


「ため息をつくな! いいか、よく聞け!」

「ハイハイ、聞いてますよ、どうぞ」


「ハイは一度で良い! あのな・・・」

話が長そうなので椅子に座ると父さんも向かいの椅子に座って話し始めた。

母さんがお茶菓子を出してくれて父さんの隣に座った。


「領主が王都へ行くとここが留守になるだろ、それで代行という事でな・・あの一騎打ちの報奨の意味もあって私が代行と決まったのだ、あくまで代行だけどな、領地を貰えるわけではない」


それはそうだろう、その方が良いと自分も思う。

父さんに領地を渡すのはまずいだろうな、あの人はさすが判断が良い。


「そして、領主が王都へ行くときこちらの兵士を連れて行くからこちらの兵が不足する、ゆえに早急に新兵を入れ育てねばならん! その役がお前だ!!」


ん? 今なんて言った?


「それでお前が騎士団長補佐と決まった、新兵を訓練し一人前にするのが仕事だ」


「あら、おめでとう! 凄いじゃない、入ったばかりで団長補佐なの?」

「うむ、最年少だろうな? 私の息子だから当然かとは思うが」  


「え? 良いんですか? ベテラン兵士もいるのに自分が選ばれて」

「上級兵士はほとんどがが王都へ行くからな、残りは中堅以下だし反感があるなら強くなれば良いのだ、その意味もあっての人選だ!」


「それにしても自分が団長補佐ですか・・・」


「ここの兵士がだいぶ減って手薄になるからな、すぐ補充せねばならん! 忙しくなるぞ、前王の敵討ちで来るのも有り得るぞ! 危険を伴う事だ、ざまあ見ろ!」


「最後のざまあ見ろとは何ですか! どういう意味ですかそれ!!」

「お前が変な目で私を見るからだ、バカにしてるだろ?!」

「何も言ってませんよ、黙って聞いてたじゃないですか!(思っただけで)」 


「もう、喧嘩しないの! お祝いしましょ、身内だけで、ね?」   


しかしうちにはあの冒険者達+@がいるので身内だけというわけにはいかず、リーシャ達も参加して祝勝会とほぼ同じになってしまった。


しかし今度はミミーが双六(すごろく)を持ってきてゲームが始まった。

しかも父さんが金を出して勝者への景品付きである。

3位までは景品が出ると有ってそれなりに盛り上がっている。


結果は3位ミミー、2位リーシャ、1位レフとなって、レフは大喜びだ。

商品は高級ハムのセット、2位は石鹸とシャンプーセット、3位は酒漬けのフルーツ。


4位以下には残念賞で全員にジャムの瓶詰めが配られた。


皆満足してまた夜が更けていく。


--------------------------------------------  


そして兵士のスカウトが始まる。


なるべく信用できる人が良く、もちろん強いのが必須なので人選が大変。

グロフ達にも声をかけるが、反応はいま一つ。

冒険者業の方が性に合うだろうし、パーティを壊したくないのもあるだろう。


全員を騎士団に入れるか、全員あきらめるになるか?


ジャンヌさんにも声を掛けると、こちらは比較的乗り気?

考える時間が欲しいと言われたが・・・どうだろう、ギルド長からも勧めてもらう。


騎士団と言っても剣術だけではない、魔法も歓迎なので魔法塾からも誘っている。

報酬をはずむので冒険者より割が良いのだ。

しかも入団記念には剣や魔法アイテムの良い物が贈られることになった。  


なので徐々に希望者が増えて入団試験が忙しくなっていく。


他の街からも希望者が来るようになったが、こちらは要注意なのだ。

前王の部下が入っていたらと心配だ。


だが領主によるとそれは多分心配いらないとのことで、あの人が言うには王はかなり悪どく強引なタイプだったので部下にも嫌われていたらしく、一騎打ちの相手、彼ぐらいしか忠実なのはいないそうである。

他は損得勘定でくっついていただけの者達らしい。


それならいいが、心配が消えるわけではない。


しかし良い事もあった。  

以前会った獣使いの運送屋さんから獣魔使いを結成したらと意見があり、あの人が中心となって乗り気だそうで、領主から許可が下りている。

あの獣(大型トカゲ?)に兵器を乗せると機動兵器として戦力が大幅アップしそうだとわかった。


当然テストを行ったが、成功! 馬より早く、小回りが利き、更に安定している。

(馬は怖がりやすいが、あれは爆発にも平気なのだ)

騎士団長も賛成となった。


自分もあれに乗れるように扱いを教えてもらいたいというと、快く応じてくれた。

「以前からの約束だよな」

二カッと笑って言った。  


義理堅い人だ。




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