クリスタル・ロード 0149 3人の敵襲?
「敵だと! 誰が来た? 国王軍か?!」
「国王は動けないんじゃなかったか? どうやって?」
「数はどれほどだ?千か? 2千か?」
「戦にするつもりか、国王は?!」
こちらに強力な兵器があるのは知ってるはずなのに、やけになったか?
部下達の暴走なのか?
「そ、それが・・・ 来たのは3人でして・・」
「「「は?」」」
門の前に皆が押しかけて、自分と数人が塀の上から確かめると・・・・3人である。
馬に乗って少し離れた所に止まり、こちらを睨んでいる。
3人とも甲冑を付け、先頭の男は大柄でかなり強そうだ。
それはともかくたった3人で、何しに来たんだろう?!
「あいつら、3人で何する気なんだ?」
レフが来て自分と同じに思ったようで、塀から落ちそうなほど乗り出している。
「領主はまだか?」
「今、みえたぞ!」
領主が部下数人とともに現れた。
「状況は? 相手は3人だって? 本当かな」
「そのようですが、妙な荷物を馬に乗せています・・ あれは?」
グロフがいつの間にか来て見ていた が、妙な荷とは?
よく見ると細長い袋が乗っている。
「なるほど、そういう事か」
領主はもう状況が分かったのか、納得した顔をしている。
部下達に何やら指示を出すと塀の上の離れた場所で動きがあった。
遺跡から運んだ兵器が覆いを取られて姿を現した。
4か所であの3人に狙いが付けられている。
この距離で撃ったら何も残さず消し飛んでしまうのでは?
先頭の男が寄って来て叫んだ。
「領主はいるか?! 俺は国王の第一騎士スタンザである! 一騎打ちを所望する!
誰でもよい、代表の一人を出せ!」
一騎打ち?!
何を言っているのか? 戦になるならまだしもなぜ一騎打ち?!
「なるほど、戦はできないと見て一騎打ちでか、 受けるんですか?」
「受ける義理は無いねえ、先に手を出してきたのは向こうだし」
領主はグロフに笑って言い、あきれたように3人を見ている。
「だけど向こうは姑息な手を用意してそうだね、撃ってしまうか?」
姑息な手? 何のことだろう?
考えている間に兵器の狙いが付けられ、今にも撃ってしまいそうだ。
「これを見ろ! 領主よ! 見覚えがあるだろう?!」
またあいつが叫んでいるが、何を言っているのか。
馬上の細長い袋から荷を出している・・ あれは、人か!
しかも3頭それぞれに荷が積んである、3人もいたのか? 人質が!
「やれやれ、やっぱりか、 まったく姑息な王だねえ 則近もかな」
「あの3人は、確かここへ出入りの商人ですね・・・奥さんと息子もだ」
自分も何度か見た事がある、野菜を買い付けていく商人一家だ。
周りはざわついている。
どうする? あんなに近いと皆巻き込むことになる。
「どうしますか?」
「応じるわけにはいかないだろ? こんな要求はきりがないし、隣町の領民だよ」
隣街? そうかうちの民は今出ていないから・・・
「気の毒だけど、全員一瞬で・・ 痛みもなく・だね」
「お待ちください!」
そこへ現れたのは、 父さん・だ!
「私にやらせてくれませんか? 奴は国王付きの騎士筆頭! ぜひやりたい、
もし私が負けたら遠慮なく、吹き飛ばしてください」
「父さん!」
なんて事を言うのか?! それに勝ったとしても相手が開放するとは限らない。
「おう、ネビィ、後の事はよろしく頼むな? 母さんの事も」
「 そんな、本気で?!」
「国王が死ぬかどうかの瀬戸際だからな、こうでもせんと収まらんさ!」
「君ならそう言うかとは思ったけどね~ どうしてもやるかい?」
領主は呆れと諦めのような態度だが、反対はしないらしい。
皆が固唾を飲んで見つめる中、父さんは一人門を出ていく。
自分も行くか? 一騎打ちと言われているが相手は3人だし、全員で来ることも・・
「ネビィ、お前の考えてる事はわかるが行くときは俺もだ!」
グロフが耳元で囁き、レフが身振りで自分もと示す、 それでは一人多いが。
しかし相手は一人でやって来た。
「よう、お前が噂の『歩く凶器』、だな?」
にやけて品定めをするように見つめている。
顔や腕に細かな傷跡が多く、相当荒い剣風と思える。
「国王の右腕に知られているとは、光栄なことだ」
そしてゆっくりと剣を抜いた。




