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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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143/200

クリスタル・ロード 0143  戦が近いか?

10000PVが達成できたのは読者の皆様のおかげです。

本当にありがとうございます。

今後も頑張りますのでよろしくお願いします。

「情報は?」


畑の近くでレフが剣の手入れをしながら聞く。

グロフも武器を磨いている、彼は槍だが。


「クリーグによると国王は寝込んでいるらしいな、表向きは執務中で通してるとか、

城内は呪いの影響でかなり陰鬱(いんうつ)らしいぞ」


「頼みの綱の黒衣教団はさっさと逃げたしな、こりゃもう後継者争いが始まるか?」


後継者達も呪いの余波を受けているのではなかろうか?

呪術士さん達がそんなことを言っていた。


「後継者は3人だが一人は元々体が弱くてだめらしいし、後の二人は親をしのぐほどのワルだそうしな、こりゃそれなりのラストになるかな」  


「そのようだ、正に自業自得(じごうじとく)だな、それに標的の身内は呪いの影響が強いらしい」

自分が聞いたのと同じだ。

「国王の一族が危ないとなると、貴族たちの次期国王争いですよね・・・内乱となると、どこが一番の敵でしょうか?」


そこと戦わなければならないとすれば、あの兵器があるが犠牲がかなり出るだろう。


「一番強そうな貴族で言えば・・・」

グロフが懐から地図を出して樽の上に広げ、説明を続けた。

「北に位置するブラド公爵だろうけどな、この人は穏健派でな、争いは避けるだろうと見ている・・が、東のアモン伯爵がドワーフ族を従えて好戦的でヤバそうだ、南のハイリー侯爵は打算的で勝つ側に付くタイプらしい」


「それ以外の貴族はそれぞれこの3人に従うかな? 今までは・だが」

レフがニヤリとして言う、今はうちの領主の兵器の噂が広まって変わるだろうと。


「そうだ、だとするとうちの領主はブラド公爵と同盟を結ぶのでは?」

「無難そうですね」

その人を取り込めばかなり有利で、戦を避けられるかな?


「でも、理屈通りに行くかどうかですね~」

フレアがお茶を持ってきてくれ、リーシャがお菓子を持って続く。

「理屈通り・とは?」

なにかまずい事でもあるのだろうか?   


「貴族というのは妙な繋がりやら面子(メンツ)やらで、理屈で動かないことが・・」

苦笑しながらお茶を入れているのが、元貴族の姫様の実感のようだ。

「陰の趣味や遠い血筋とか、感情的なもつれやらで、ややこしいんですよ」


「確かに政略結婚での繋がりもあるか、義理で助けるのも有り得るな?」


「俺達としちゃ領主の判断に従えばいいんだが、計画はどうなんだろうな?」

「今頃幹部達と話していると思うが、我々に伝えるのはまだ後だな」


リーシャは政治の話に加わらず、黙ってお茶を飲んでいる。

戦になりそうな気配があるので不安もあるだろう。

ジョーイは政治に興味が無いのか畑でイチゴ採りに集中している。

採りながら食べて実に嬉しそうだ。  



そんなところへジャンヌさんがやってきた。

「すみません、冒険者の皆さんにギルドに来てほしいとギルド長からお達しです」


ギルド長が急になんだろう?

グロフとレフが顔を見合わせた。

「ギルド長が、何だろう?」

「冒険者達の仕事が無い今、兵士として訓練を受けて欲しいとの領主様から依頼で、もちろん報酬が支払われますから」


「ああ、なるほどなでも俺達はここで雇われている身だから、勝手に抜けるのは・」

「じゃあ、自分から母さんに言っておきます」


「じゃあ私もそっちに行くべきかな?」  

ジョーイがイチゴのカゴを抱え、食べながら聞く。

「そりゃそうだ、食ってないで行くぞ!」


「じゃあ私も、杖を持ってくる 待ってて!」

リーシャも立ち上がると、家へ駆けていく。


「あの子にまで参加させるのは気が引けますね、ヤレヤレです」

フレアが、首を振りながらため息をつくが・・・ この状況では仕方ないか。

冒険者の生活の為でもあるだろうし、領主の指示では。


  

ギルドには既に大勢集まっていた。

冒険者たちはしばらく前から街が閉ざされているせいで、仕事が出来ず不満が溜まっているとの噂もあった。   

それで兵士として雇うことで報酬が得られ、戦の際には参加させる手筈だろう。

大型兵器があるから白兵戦にはならないかとは思うが。



ギルド長がそこへズカズカとやって来て怒鳴った。

「みんな聞いてくれ、これから兵士としての訓練を行う! もちろん報酬ありだ、

それも普段の仕事の倍は出るぞ! どうだ、文句あるか!!」


ギルドに「おお~~っ」と声が響いた。

内容が戦だが、お構いなしに皆喜んでいるのはさすが冒険者の魂だ。


まだイチゴをいくつか持ったジョーイはジャンヌと、フレアはリーシャを連れて、

皆と一緒に裏庭へ向かう。



そして自分も・・・剣を持って。   




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