クリスタル・ロード 0143 戦が近いか?
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「情報は?」
畑の近くでレフが剣の手入れをしながら聞く。
グロフも武器を磨いている、彼は槍だが。
「クリーグによると国王は寝込んでいるらしいな、表向きは執務中で通してるとか、
城内は呪いの影響でかなり陰鬱らしいぞ」
「頼みの綱の黒衣教団はさっさと逃げたしな、こりゃもう後継者争いが始まるか?」
後継者達も呪いの余波を受けているのではなかろうか?
呪術士さん達がそんなことを言っていた。
「後継者は3人だが一人は元々体が弱くてだめらしいし、後の二人は親をしのぐほどのワルだそうしな、こりゃそれなりのラストになるかな」
「そのようだ、正に自業自得だな、それに標的の身内は呪いの影響が強いらしい」
自分が聞いたのと同じだ。
「国王の一族が危ないとなると、貴族たちの次期国王争いですよね・・・内乱となると、どこが一番の敵でしょうか?」
そこと戦わなければならないとすれば、あの兵器があるが犠牲がかなり出るだろう。
「一番強そうな貴族で言えば・・・」
グロフが懐から地図を出して樽の上に広げ、説明を続けた。
「北に位置するブラド公爵だろうけどな、この人は穏健派でな、争いは避けるだろうと見ている・・が、東のアモン伯爵がドワーフ族を従えて好戦的でヤバそうだ、南のハイリー侯爵は打算的で勝つ側に付くタイプらしい」
「それ以外の貴族はそれぞれこの3人に従うかな? 今までは・だが」
レフがニヤリとして言う、今はうちの領主の兵器の噂が広まって変わるだろうと。
「そうだ、だとするとうちの領主はブラド公爵と同盟を結ぶのでは?」
「無難そうですね」
その人を取り込めばかなり有利で、戦を避けられるかな?
「でも、理屈通りに行くかどうかですね~」
フレアがお茶を持ってきてくれ、リーシャがお菓子を持って続く。
「理屈通り・とは?」
なにかまずい事でもあるのだろうか?
「貴族というのは妙な繋がりやら面子やらで、理屈で動かないことが・・」
苦笑しながらお茶を入れているのが、元貴族の姫様の実感のようだ。
「陰の趣味や遠い血筋とか、感情的なもつれやらで、ややこしいんですよ」
「確かに政略結婚での繋がりもあるか、義理で助けるのも有り得るな?」
「俺達としちゃ領主の判断に従えばいいんだが、計画はどうなんだろうな?」
「今頃幹部達と話していると思うが、我々に伝えるのはまだ後だな」
リーシャは政治の話に加わらず、黙ってお茶を飲んでいる。
戦になりそうな気配があるので不安もあるだろう。
ジョーイは政治に興味が無いのか畑でイチゴ採りに集中している。
採りながら食べて実に嬉しそうだ。
そんなところへジャンヌさんがやってきた。
「すみません、冒険者の皆さんにギルドに来てほしいとギルド長からお達しです」
ギルド長が急になんだろう?
グロフとレフが顔を見合わせた。
「ギルド長が、何だろう?」
「冒険者達の仕事が無い今、兵士として訓練を受けて欲しいとの領主様から依頼で、もちろん報酬が支払われますから」
「ああ、なるほどなでも俺達はここで雇われている身だから、勝手に抜けるのは・」
「じゃあ、自分から母さんに言っておきます」
「じゃあ私もそっちに行くべきかな?」
ジョーイがイチゴのカゴを抱え、食べながら聞く。
「そりゃそうだ、食ってないで行くぞ!」
「じゃあ私も、杖を持ってくる 待ってて!」
リーシャも立ち上がると、家へ駆けていく。
「あの子にまで参加させるのは気が引けますね、ヤレヤレです」
フレアが、首を振りながらため息をつくが・・・ この状況では仕方ないか。
冒険者の生活の為でもあるだろうし、領主の指示では。
ギルドには既に大勢集まっていた。
冒険者たちはしばらく前から街が閉ざされているせいで、仕事が出来ず不満が溜まっているとの噂もあった。
それで兵士として雇うことで報酬が得られ、戦の際には参加させる手筈だろう。
大型兵器があるから白兵戦にはならないかとは思うが。
ギルド長がそこへズカズカとやって来て怒鳴った。
「みんな聞いてくれ、これから兵士としての訓練を行う! もちろん報酬ありだ、
それも普段の仕事の倍は出るぞ! どうだ、文句あるか!!」
ギルドに「おお~~っ」と声が響いた。
内容が戦だが、お構いなしに皆喜んでいるのはさすが冒険者の魂だ。
まだイチゴをいくつか持ったジョーイはジャンヌと、フレアはリーシャを連れて、
皆と一緒に裏庭へ向かう。
そして自分も・・・剣を持って。




