クリスタル・ロード 0141 呪いの影響
「なんだか頭がクラクラします」
翌朝フレアが畑仕事をしながらそんなことを言っている。
「私も~ 、なんだか二日酔いみたい」
ジョーイも同様のようだが自分もなのだ。
体が重いし、胸やけがしていて、おまけにふらつく。
「俺もなんだ、頭が痛いしめまいがするぞ~~」
「レフは実際に飲んでたろうが、酒はやめとけと言ったのに!」
「しかしだ、仕事後の一杯が明日へのさらなる力とだな、 うっぷ」
「ほれみろ!」
グロフはしっかりしているが、やや顔色が悪い。
皆がこんな状態なのは【呪い返し】のせいだとグラナダさんが言っていた。
離れてたとはいえ、少し浴びてしまっているからだ。
リーシャは気分が悪くてまだ寝ていると、リーシャの母さんが苦笑して言った。
「実戦経験が少ないのに無理するから」と。
半日も寝ていれば回復するそうだが、果物でも持っていこうか。
それにしても少し浴びただけでこうなのでは、まともに呪いを食らうとどうなるか?
今頃国王とあの黒衣達は・・・・?
「情報が入りましたよ、黒衣の教団が国外へ逃亡したそうです」
ジャンヌがグロフ達へ伝えてくれる。
教団は国王の部下ではなかったのか? 見捨てて逃げたと・・?
「あの王じゃ見限られるか、それにしてもあいつらは呪いを受けないのか?」
「受けるからこそ逃げるんじゃないのかな、早く撤退する方が良いんだろ」
レフとグロフが言う様に目標は王だし、離れる方がいいのかな?
「みんな、おはよ~~」
くたびれた声で呪術師ムーアさんがやってきた。
「呪い返しで具合悪い人はこれ飲んで、一人二粒ね、 師匠から貰った」
深めの皿に入れた丸薬?を差し出して言う。
「毒消し、じゃなく呪い消しか? 効くのかこれ?」
「師匠の特製だからね、檄マズだけどすごく効くよ、早く飲んで」
皆言われるまま飲むが、確かにすごく苦い・・が、リーシャに持っていこう。
「ああそうだ、昨日の事だがあの戸板に乗せられた生贄見たよな?」
レフが神妙な顔で話し出した。
「うえ~ 、嫌な事思い出させないで~~」
「全くです~」
ジョーイとフレアが顔をしかめる・・薬の味のせいもあるが。
「あの生贄だが・・・多分隣街の領主だ、しばらく前に見た事がある」
「領主 ?! 」
隣町の? 隣街には行ったことがあるが領主は見ていないか・・。
あれがそうなのか?
「隣街の領主って、国王と結託してて、最近行方不明になったとかいう・?」
「そうですよね? 欲深の商人でもあるワルと噂の・・」
ジョーイとフレアが顔を見合わせている。
領主はすぐに消されたんじゃなくて、生贄に利用されたのか?!
なおさらえげつない国王だな・・・ 今ではあいつが生贄のようだが。
今頃、因果応報で苦しんでいるだろう。
「いつ頃呪いの結果が出るんですかね、あの王ではしぶとそうだけど」
「師匠によると、2日てとこだね、長くて5日程度・・使ったアイテムが強力だから」
ムーアに聞くと干し肉をかじりながらそう言った、この人は食欲有るのか?
呪い返しに慣れているのだろうか、さすがは呪術師だ。
「アイテムって、あの人が高価とか言ってた物ですか?」
「そうそう、こっちの領主様が提供した魔道具で、家宝の超高級品だって!」
「「「「へえ~~~~~」」」」
皆が茫然とする・・・それを使い捨てにしたのか?! そりゃ命に係わる事だけど。
この領地を守る為もあるからとはいえ、いくつ使ったんだ?
だから国王達が生贄を使っても太刀打ちできなかったのか?
やはりこちらの領主は軽そうに見えて大胆だな。
「向こうは生贄で呪い返しを強化したけど、こっちは魔道具で超強化して対抗した、
そして押込んだのよ・・・だから黒教団はさっさと逃げたわけ」
「もしあのアイテムを向こうが壊したら?」
「そんな事すりゃ壊した人に呪いが集中するよ、あいつらが身を挺して王を守ると思う?」
「「「「「しないね!」」」」」
「それに並みの人では近づくこともできないよ、呪いが発動してるから・・・皆だって少し浴びただけで気分が悪くなっただろ?」
そうだ、ゆうべから皆気分が悪く、リーシャなぞまだ寝ている。
「後は、国王側がこのまま黙っているか? ・・だよな」
レフが言うと、みな神妙に頷いた。
このまま引き下がっているかどうか。
「王は呪いで動けないとはいえ、臣下達がいますからね~ やられて黙っているとは・・思えませんよね?」
フレアは元貴族で権力争いに詳しいので、軽い言い方だが重みがある。
こちらには遺跡の超強力兵器があるから、大っぴらに戦を仕掛けては来ないが、最後のあがきで何をしてくるかわからない。
あと数日、まだ終わってはいないのだ。




