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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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クリスタル・ロード 0141  呪いの影響

「なんだか頭がクラクラします」


翌朝フレアが畑仕事をしながらそんなことを言っている。

「私も~ 、なんだか二日酔いみたい」

ジョーイも同様のようだが自分もなのだ。

体が重いし、胸やけがしていて、おまけにふらつく。


「俺もなんだ、頭が痛いしめまいがするぞ~~」

「レフは実際に飲んでたろうが、酒はやめとけと言ったのに!」

「しかしだ、仕事後の一杯が明日へのさらなる力とだな、 うっぷ」

「ほれみろ!」

グロフはしっかりしているが、やや顔色が悪い。  


皆がこんな状態なのは【呪い返し】のせいだとグラナダさんが言っていた。

離れてたとはいえ、少し浴びてしまっているからだ。  


リーシャは気分が悪くてまだ寝ていると、リーシャの母さんが苦笑して言った。

「実戦経験が少ないのに無理するから」と。

半日も寝ていれば回復するそうだが、果物でも持っていこうか。



それにしても少し浴びただけでこうなのでは、まともに呪いを食らうとどうなるか?

今頃国王とあの黒衣達は・・・・?


「情報が入りましたよ、黒衣の教団が国外へ逃亡したそうです」

ジャンヌがグロフ達へ伝えてくれる。

教団は国王の部下ではなかったのか? 見捨てて逃げたと・・?  


「あの王じゃ見限られるか、それにしてもあいつらは呪いを受けないのか?」

「受けるからこそ逃げるんじゃないのかな、早く撤退する方が良いんだろ」

レフとグロフが言う様に目標は王だし、離れる方がいいのかな?


「みんな、おはよ~~」

くたびれた声で呪術師ムーアさんがやってきた。

「呪い返しで具合悪い人はこれ飲んで、一人二粒ね、 師匠から貰った」

深めの皿に入れた丸薬?を差し出して言う。


「毒消し、じゃなく呪い消しか? 効くのかこれ?」

「師匠の特製だからね、檄マズだけどすごく効くよ、早く飲んで」


皆言われるまま飲むが、確かにすごく苦い・・が、リーシャに持っていこう。


「ああそうだ、昨日の事だがあの戸板に乗せられた生贄(いけにえ)見たよな?」

レフが神妙な顔で話し出した。

「うえ~ 、嫌な事思い出させないで~~」

「全くです~」

ジョーイとフレアが顔をしかめる・・薬の味のせいもあるが。


「あの生贄だが・・・多分隣街の領主だ、しばらく前に見た事がある」


「領主 ?! 」

隣町の? 隣街には行ったことがあるが領主は見ていないか・・。

あれがそうなのか?


「隣街の領主って、国王と結託してて、最近行方不明になったとかいう・?」   

「そうですよね? 欲深(ゆくぶか)の商人でもあるワルと噂の・・」

ジョーイとフレアが顔を見合わせている。


領主はすぐに消されたんじゃなくて、生贄(いけにえ)に利用されたのか?!

なおさらえげつない国王だな・・・ 今ではあいつが生贄のようだが。

今頃、因果応報で苦しんでいるだろう。


「いつ頃呪いの結果が出るんですかね、あの王ではしぶとそうだけど」

「師匠によると、2日てとこだね、長くて5日程度・・使ったアイテムが強力だから」

ムーアに聞くと干し肉をかじりながらそう言った、この人は食欲有るのか?

呪い返しに慣れているのだろうか、さすがは呪術師だ。


「アイテムって、あの人が高価とか言ってた物ですか?」   

「そうそう、こっちの領主様が提供した魔道具で、家宝の超高級品だって!」


「「「「へえ~~~~~」」」」

皆が茫然とする・・・それを使い捨てにしたのか?! そりゃ命に係わる事だけど。

この領地を守る為もあるからとはいえ、いくつ使ったんだ?

だから国王達が生贄(いけにえ)を使っても太刀打ちできなかったのか?


やはりこちらの領主は軽そうに見えて大胆だな。


「向こうは生贄で呪い返しを強化したけど、こっちは魔道具で超強化して対抗した、

そして押込んだのよ・・・だから黒教団はさっさと逃げたわけ」


「もしあのアイテムを向こうが壊したら?」

「そんな事すりゃ壊した人に呪いが集中するよ、あいつらが身を挺して王を守ると思う?」


「「「「「しないね!」」」」」


「それに並みの人では近づくこともできないよ、呪いが発動してるから・・・皆だって少し浴びただけで気分が悪くなっただろ?」


そうだ、ゆうべから皆気分が悪く、リーシャなぞまだ寝ている。


「後は、国王側がこのまま黙っているか? ・・だよな」

レフが言うと、みな神妙に(うなづ)いた。

このまま引き下がっているかどうか。


「王は呪いで動けないとはいえ、臣下達がいますからね~ やられて黙っているとは・・思えませんよね?」

フレアは元貴族で権力争いに詳しいので、軽い言い方だが重みがある。  


こちらには遺跡の超強力兵器があるから、大っぴらに戦を仕掛けては来ないが、最後のあがきで何をしてくるかわからない。



あと数日、まだ終わってはいないのだ。


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