クリスタル・ロード 0134 ゴーレム使い
「ゴーレムを出すぞ!」
グロフが言って運搬用のゴーレムに乗り込み、動き出すとレフも乗り込んだ。
いつの間にか2台持ってきていたか、敵へと向かっていくと味方の盾にする。
「おいおい、何だありゃ?」
「ふん、あれでもゴーレムか、おかしなものを出したね」
敵が少し驚いたが戦慣れしているのか、ふてぶてしく怯えは無いようだ。
ジャンヌとジョーイが盾の後ろから狙いを付けるが・・動じていないのか?
更に敵が入って人数が増していく。
あれは、盗賊団なのかまちまちの服装と武器である。
先頭に立つのが先ほどの細身の男、次がターバンで顔を隠した女?、その他で
総勢は今の所、十数人かな。
睨み合いのような状況だったが、フレアが詠唱をしていて魔法発動させた。
敵側の床や壁が凍っていき丸ごと氷漬けかと思った瞬間、ターバンが杖を振る。
すると眩しいほどの炎に覆われ、氷が砕けた。
反魔法をぶつけて消去してきたか。
「なかなかの力だけど、おおざっぱだねえ~ 魔法は繊細に扱わないとね」
ターバンの隙間の目が笑っているように見え、フレアが悔しそうに歯噛みする。
ジョーイが話に構わず矢を放つ・ターバンを狙って。
しかし直前でぴたりと止まって床に落ちた。
無詠唱で止めたか? かなりの術者のようだ。
しかし今度はジャンヌが2本の矢をつがえて射ると、二人に向かっていく。
でも、また避けるか止めるのではと思うが・・・・ だが違った。
両方が爆発をした。
あれは特殊な矢か、しかも目を傷める煙付きの物だ。
「ぶあっ 、 くそ、変な物使いやがって」
ターバンの方も目を傷めながらも魔法で煙を払う。
「やっぱり良い弓兵がいるね、先にあいつをやるか?」
などと、ふざけたことを言う。
「そうはいくか」
グロフがゴーレムを進めながら、槍で攻撃し、敵を倒していきターバンに迫る。
レフも同様で、こちらの兵士たちが続く。
「今だ、押し返せ!」
今度は攻勢に出る。
自分も攻めていきたいがリーシャから離れるわけにはいかないので無理か。
ジョーイも爆発する矢を使い始め、ジャンヌは速度を上げる。
敵の後方にも矢を降らせると、向こうは浮足立った。
「このやろ、やるじゃないか!」
「言ってないでさっさと飛び込め! 援護してやる」
ターバンの叫びが聞こえた。
「リーシャは後ろにいてくれ、来るぞ!」
『我も参戦しよう、護衛もな』
杖が言い出すが・・・ 護衛に専念してくれる方が・ まあいいか頼りになるし。
「行くぞ! 野郎ども ついてこい!」
先頭の男が叫ぶと、ターバンの魔法なのか数人と共に飛び上がりゴーレムを超えて来て衛士隊に斬りかかった。
グロフが急いでゴーレムから降りて槍を構える。
「レフはそのまま乗ってろ、こっちは俺がやる」
言われてレフはゴーレムを動かし敵を押し返すが、一台では抜けられてしまう。
敵兵がどんどん向かって来る。
乱戦に慣れているようで、これは盗賊団だろうか? 国王に雇われたか。
こちらの兵士が押されているのは、技量よりも実戦慣れの差のようだ。
そして抜けて来た敵が目の前まで来た。
やっと戦える・よくぞ来た、勇敢な敵よ! 刃を交えようぞ。
ひと振りで相手の剣を折った、これは遺跡の剣だから切れ味が違うぞ。
驚いている相手をみね打ちにする。
リーシャに残酷な事を見せたくないので。
同様に次々倒していくと、あの男が睨んでいるのに気付いた。
「やたら強いガキがいると聞いたが、あいつか!」
自分の噂が伝わっているのか? 誰から聞いたんだ?
「俺が殺る! 誰も手を出すな!」
ヤルときたか、じゃあこっちも本気を出すぞ。
「リーシャ、目をつぶっていてくれ! 奴を斬る」
後ろで息をのむ音が聞こえたが、目を開いている気がする。




