クリスタル・ロード 0133 襲撃
誘拐か・・・リーシャの事は、ばれてないはずだから、領主の身内。
あるいは暗殺、領主を・・・しかし警備が厳重。
ではどんな手で?
警備を掻い潜る、あるいは陽動作戦で警備を手薄に?
遺跡にまた入り、使い方のわかった兵器と同じものを運び出しながら、次の調査にかかる為リーシャは杖と取り組んでいる。
自分は護衛役で、他にはジャンヌ、クリーグ、グロフ、レフ、フレア、ジョーイだ。
当然リーシャと杖の役割は極秘事項である。
ゆえに護衛も信用度の高いメンバーのみ。
レックス達は離れて待機で、運搬役となっている。
そろそろ休憩にしようかと思っていたその時、遠くが騒がしくなった。
またレックスが騒いでいるかと見ると、兵士が走って来て叫んだ。
「襲撃だ!」
襲撃?! 国王軍か? やり合う気か? 正気だろうか。
「国王の兵が?」
近くにグロフがいたので聞いたら、緊張した顔で振り向いた。
「違うだろうな、表立って仕掛けるわけにはいくまい・外部の傭兵だろう」
「兵器を出そう、こっちの武力を見せつけてやろう!」
レフが叫んだ。
「そうだな、2台は用意できてる」
『 待て!! 』
杖がリーシャを通して言った。
『あれは威力が有りすぎて遺跡が吹き飛ぶぞ、もっと抑えた物でないと!」
「しかしそんなのが有るのか?」
『これから調べるが時間がかかる・今までのは大きいのばかりだ』
「ではゴーレムを盾にしながら時間を稼ごう、遺跡の剣などもあるしな」
『それでよい』
では自分も、遺跡の剣を使うことに・・ これなら切れ味が違う。
ジャンヌも矢は遺跡で手に入れた物だ。
強力な弓は最大強度へと切り変えられた 本気モードとなった。
寡黙ながらも真剣な目で準備を行う。
「実戦は久しぶりだね、しかも人間相手とは」
クリーグは不敵な笑みで杖を持った。
そう言えばこの人もいたのか、Bランクだったか?かなりの腕があるはずだな。
「リーシャは離れないでくれよ、必ず俺が守るから」
「うん、お願いね」
杖が調べている間、自分が護衛せねば。
それにしても遺跡の入り口は塞いであるはずだが、どこから入ったんだ?
兵士の見張りがいたはずだし、破られるなんて。
「領主の館を固めるために兵を割いたせいかな?」
グロフがつぶやきながらゴーレムを動かしている。
遺跡を塞いだせいで油断したのか。
でも正規の兵士を相手に押してくるとはどんな相手なのか? まだ見えない。
だが廊下の先が更に騒がしくなっている。
そして兵が倒され敵が来るのが見えた。
「へっ、 お上品な兵隊さんはこんなもんか? つまらんねえ」
剣を担いでふんぞり返って、実に不遜な態度だ ー 切ってやりたい。
こいつらは盗賊だろうか? 兵士には見えないが戦い慣れているらしい様子だ。
あり合わせで造ったような防具と傷んだ剣だが、腕は立つし度胸がある。
細身な方だが筋肉は有り無駄がない。
もう一人後ろから現れた。
あれは女か?
ターバンを顔にまで巻いて、ほぼ隠しているが小柄で女のようだ。
その時ジャンヌが弓を構えて男の方を狙っていた。
放たれた矢が鋭く飛んで顔に当たる瞬間、首を傾けて奴が躱した。
「おっと!」
今のが当たらないとは、やはり相当な兵らしい。
「今のはたまげたな、いい弓兵がいるじゃないか! へえ」
「油断するなよ、向こうにも強いのがいる」
その通りだよ、リーシャの護衛で無ければすぐに斬ってやるんだが。
敵が後ろからさらに数人加わった。
こちらの兵士は押されて下がってしまっている。
大型の兵器が使えない今の状況では、戦力で劣っているようだ。




