クリスタル・ロード 0132 仕事の大成功を祝って
一度、帰宅することになった。
遺跡は兵士が警備している。
もちろん厳戒態勢である。
街までは転移盤があるので、一足飛びであり便利で安全だ。
リーシャやグロフ達と共に街に着き、家へ向かう。
「商店街でお土産を買っていこうか?」
今回、遺跡で採れたものがあまりないし・な?
「果物と肉が少し残っているよ、だからお菓子でも買っていこうか?」
リーシャがお菓子屋を指さして言う、ケーキなどが並んでいて旨そうだ。
「俺達は酒を買っていこう、ワインやシャンペン、ビールもかな?」
「そうですわね、少し良い物にしましょう、お祝いですもの♪」
「そうだ~ ! お金いっぱい貰えるし、色々買おう~」
グロフ達、まだうちに来てくれるようだ。
冒険者としてよりうちで働くのが楽しそうだ・・風呂も有るし部屋も良いかな?
「石鹸とシャンプーも買いましょうか、お風呂入るし」
「あ、そうだ~ 長風呂したい~~!」
「そうだ、風呂な~ 俺達も入るぞ~~ 入浴剤買うか?」
やはり風呂がお気に入りのようだ。
夕飯の後は長風呂だろう、自分の入る時間があるだろうか?
色々買いこんでから帰宅すると、リーシャの母さんもいて夕飯の支度中である。
一緒に食べるようで、外にかまどを用意してある。
「お帰り、もうすぐできるからね」
「じゃあ私もするね~」
リーシャが荷物を下ろして準備に加わり、肉などを出している。
「なら俺達は焼肉の準備など」
焚火の用意を始める。
「では自分は風呂の用意しときますね」
早めにしておいた方が良さそうだ・・・長風呂だそうだしな。
「あ~~、 ホントにみんな帰って来てる~~~」
その時少し疲れた声が聞こえた・ 誰だ? と思ったらムーアさん(露天商)だ。
しばらく見なかったから忘れていたな。
「そう言えばムーアさんは領主の邸宅に行ってたんでしたか?」
師匠と共に呪術に関する調査だったかな・・。
「そうよ、今までずっとあそこに閉じ込められて働かされて・・あの鬼師匠に!」
鬼とは・・・かなりしごかれていたようだ。
「今日は特別に帰って良しと言われたけど、つ、疲れた~~~」
「だいぶん進みましたか」
「進んだよそりゃ、進めないと寝られなかったし、怒鳴るし! 叩くし!」
かなりきつかったようだ、気の毒に。
「私の事忘れていなかった? いないよね?」
顔を正面から近づけて見つめられる。
「もちろんですよ、何を言うんですか、 お土産有りますよ」
本当は少し忘れていたけど・・
果物とお菓子の一番良いのを上げよう。
仕事のつらさは食べ物で忘れてくれ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
成功祝いのパーティが始まった。
父さんが今日は早めに帰って来て加わる。
国王との冷戦状態ではあるが、今日の所はそれを忘れて祝うのだろう。
皆、緊張感はありながらもずいぶん食べて、飲む。
【 最後の晩餐 】の文字が頭にちらつくが、そうはなるまい。
ならないように準備したのだ。
衛士隊が厳戒態勢だし、ムーアさん達の呪術も準備中、そして遺跡の兵器も。
明日からはまた杖と共に次の兵器の準備である。
リーシャの母さんが明日からは一緒に行くそうだ。
やはり娘の事が心配になったようで、しばらく学校はお休みとなるが仕方あるまい。
それにしても隣町の悪徳領主は本当に死んだのだろうか?
そして腹黒国王は、どんな手を使って来るだろう?
「ほらネビィ、難しい顔してないで食べなさいよ、ほらほら!」
皿に肉や野菜を山盛りにされ、リーシャからも果物の皿を渡される。
二人から見透かされたかな?
腹が苦しくなりながらも、夜が更けていく。




