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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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130/200

クリスタル・ロード 0130  秘儀、兜割り!

「おい 起きろ! 勝負だ、勝負!」


ん~~~~~~?


誰だ? しょうぶ? しょう・ぶ?

んん~~


誰だよ、朝から・・・・・・


「さっさと起きろ! しょうぶだ!」


眩しく、うるさい朝だ、 何なんだ?


仕方なく寝袋から出る。

少し冷えるかな? ああ、床の上だからか・・・・ 遺跡に泊まったんだったか。


目の前にあのレックスが立っている。   

朝からうっとうしい物を見た。


「この野郎、寝ぼけてんのか?! 目を覚ませ、勝・負・だ!」


さっきからうるさいのはこいつか? 朝っぱらから・・・


そう思ったらそばにパイソン(パーティのリーダー)がいる、(あき)れ顔で。

この際だ聞いておこう。

「こいつ、殴っていいですか?」


「おお、いいぞ!」

許可が出た。


「いいのかよ! ちょっと待て!!」

待ったをかけた・・往生際(おうじょうぎわ)の悪い奴だ。   

「言い残すことがあるのか?」


「俺達は剣士だろ、素手じゃなく剣で勝負だ! 剣で!」

剣士・だと・・・・・一人前の事をほざく・・・ 。

真っ二つにしてやろうか?


しかし遺跡を汚すのは忍びない、せっかく綺麗な床なのに。


仕方ない、少し痛い目に・・・・・

「剣で勝負か、いいだろう」

と、言っても遺跡で見つけた剣だと、こちらが有利だな?

普通の剣にしておこう。


ゆっくりと剣を抜く。   

あいつは嬉々として剣を取り構える。

「剣を折りやがったのを10倍にして返してやる!」


折ったのをどうやって10倍にするのだ? 1本しか持ってないぞ。

おかしな奴だ。


大上段に構える、・・見せよう、 秘技、兜割り!と思ったが奴は兜をしていない。

「兜は無いのか?」


「兜? そんなもの無いぞ! さっさと来い!」


兜無しとは・・・仕方がない、剣にしておくか。

全身に気を巡らせてそれを剣に集めて・・間合いを、瞬時に詰める!

振り下ろした剣はあいつの剣を3分割した! 2度打ちだ。   


軽く剣をおさめるとシャキンと音がした、いい音だ。

あいつの折れた剣がキン、キンと床に落ちた・・これもいい音だ。


折れた剣を見てあいつは茫然としている。

お前がそうならなくて良かったろうが、感謝しろよ。


「ち、ちくしょ~~~~~~~~っ 」

あいつは走って行った・・・・ 泣いたか?


ゆっくりと息を吐く、久しぶりの秘技で疲れた。

全身から汗がにじみ出る。


そこへリーシャが現れた。

女子は他の場所で寝ていたんだったか、そうだな、冒険者でも節度は守るべきだ。


「あ~~、ネビィ まだ寝てる、起きて!」

リーシャから両手で顔をペチペチとされた。

「起きてるぞ、大丈夫!」


「まだ半分寝てる! ほら、起・き・て」

ペチペチ。


「あいつ、寝ぼけてたのか? あれで?」

離れた所から声が聞こえた・・レフか?  失礼な。


「寝ぼけて剣を振るのは危ないよ、周りが」

今日もリーシャは真面目でいい子だ。

「ほら、ネビィが寝ぼけると私の頭を撫でるからわかるの!」   


そうだっけ?


     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


リーシャがコーヒーを入れてくれて、頭がすっきりとした。


あいつの剣をまた折ってしまったな。


「レックスの剣はそれなりに良い物のはずなんだがあっさり折れたな? 偽物か?」

パイソンが首をかしげている・・ 名刀の偽物を掴まされたか? あいつらしいが。


今回の仕事でだいぶ報奨を貰えるし、あいつに剣を贈ってやろうか?


受け取らないかな?


そんな事を考えているとき、離れた所でジャンヌとグロフがひそひそと話していた。   

「見ましたか? あれは子供の剣技ではありませんよ」

「ああ、一瞬鳥肌が立ったよ・・あれはかなりの素質だな、親もだがそれ以上だ」


・・・・・・・・・


そこへ領主がやって来て言った。

「国王から連絡が来たよ! よくぞ国宝級の物を見つけたって・・・それと・」


それと、悪徳領主? 商人だっけ? の話かな?


そいつがどうなったか、あるいはどうなるか、だな。




暖かくなってきましたね。

そろそろ春の兆しが・・・・。

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