クリスタル・ロード 0013 ドラゴン・ロード
「痛っ」
「ちょっ、何?!」
「おわっ」
攻撃力は低そうだがうっとうしい? 邪魔物がきたな。
パタパタ飛び回り冒険者の剣や弓を妨害している。
仕留めても何しろ数が多く、きりが無さそうだ。
「仕方ないですわね」
お嬢が長めの詠唱を始めて、打ち出した。
「青き炎、散!」
一度に10以上の短い炎が出て広がって飛び、コウモリを貫く。
それを何度もで、次々に落としていく。
だがその間、大きな鳥が待っているわけではなく、飛び回りながら攻撃してきた。
鱗粉をまき散らしながら羽ばたき、羽を飛ばすと数十の羽がそこら中に突き刺さる。
「毒羽だ!気を付けろ、鱗粉も毒だぞ」
声が上がる。
それはまた、やっかいな! そう思ったところで自分も見てる場合じゃないなと気付いて武器を取り出すことにした。
父さんから貰った物の初めての実践使用だが、どれにしようか? などと悩んでる場合ではないので、取りあえず長めの武器を。
伸縮式の棒に短い棒を鎖で繋いだもので、打撃用だ。
コウモリや毒羽の矢を叩き落とす程度はできる。
「自分も援護します!」
リーシャの母さんに言った。
「じゃあ、頼むわね 次は少し長い詠唱だから」
長め? 大魔法かな?
お嬢様と他の魔法担当が鱗粉を焼いたり、吹き飛ばしたりしているので何とかなるかと思ったとき、妖蛾鳥がくちばしを大きく開けて黒い霧を吐き出した。
「かはっ」
その霧をもろに受けた人は喉を抑えて苦しみだす。
「瘴気だ」
近くの人が言って口を抑え、他の人達も顔色が悪くなってきた。
詠唱はまだ続くか?と思ったとき、「「ツイスター」「インフェルノ」」と重なった声が聞こえた 2重詠唱だろうか?
炎の竜巻が鳥に向かって、羽を引きちぎりながら飛ぶが、翼をひねってなんとか逃げたようだ。
一部燃えながらもまだ飛んでいる。
「早いわね、何とか動きを止めないと」
眉をしかめつぶやく。
動きを止める? ああそうか、あれを!
懐から取り出して叫んだ。
「レフさん! 雷玉を! あいつに投げるんです」
「なるほど、そうか!」と近くにあった袋を拾い、一つ取り出して構え、「いくぞ!」のレフの声で二人同時に投げる。
そして数秒で破裂し、音と光が満ち鳥の動きが止まり、耳鳴りに混じって「・・フェルノ」と詠唱の声が聞こえ炎の渦がまた向かって行き、今度は直撃した。
「やった!」
歓声が上がるが、あいつは半分ほど炎に包まれ焼けながらも、まだ飛んでいて警戒したのか高度を上げたが逃げはしない。
し、しぶとい!
「ジョーイ、こいつを矢に付けて狙え!」と、屋根に上がっていた仲間に袋ごと投げて言った。
「弓の強度を上げろよ!」
「わかってる! これ恥ずかしいんだけどね」
顔をしかめている。
強度? 恥ずかしい? ・・???
素早く矢に2つ括り付けると、弓に付いているレバーを動かしカキンカキンと音を立てると,屋根の上でおむけになって両足で弓を構え、両手で矢と弦を引く。
え?
あんな使い方、有りですか?
足を高く上げ、逆立ちのようになって歯を食い縛り引きつつ、狙いをつける。
「ぐぬにゅぬぬ・・ぎぎぎ」
変な声が出ている。
「詠唱は?!」 ハッとして振り向くともう始まっていた。
「撃てっ」
矢が飛び出し、空で破裂し真っ白な光が広がる。
「ドラゴン・ロード!!」
杖の前から太い炎の柱が生まれ、太さを増しながら妖蛾鳥に向かい胴体を包み込みながら貫いた!




