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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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クリスタル・ロード 0128  そして試射へ

「有ったか!、 よく見つけてくれた」


領主が満面の笑みである。

さっきまでの緊張した顔が、うそのようだ。


「使い方は大体わかりましたので、後は試射をすればよろしいかと」

グロフが代表して伝えた。

領主は頷きながら兵器を回り各部を食い入るように見つめている。


「うんうん、大きいし丈夫そうだし威嚇の効果はまあまあだと思う、これで威力が有れば大成功しそうだ、何とかそう願いたいね」


「今まで見つけた物からすると、問題無いと思いますよ、それに他にもありますし」

「そうです、時間があれば他の物も使えるようになります」   

レフも話に加わり追加すると、領主は安心したようだ。


「問題はどこで試すか・・ですが」

「そうだねえ、遺跡を壊してはまずいし・・・ 領地の外まで運ぶかな?」


「他の領地に見られますが、問題無いですか?」

「いいさ、どうせ威嚇が必要なんだ、失敗に備えて他の武器を用意しといてくれ」

「わかりました」



**********************************


そして試射の為、領地の外へ運ぶことになりその間に別の兵器を用意の為、リーシャは護衛付きで残ることになった。

護衛にはレフやジャンヌ、フレア、クリーグ氏が入っているので大丈夫だろうが、あのレックスも運搬役でいるので何か引っかかる。


でも外でトラブルが起きた場合、遺跡の方が安全だろう。


自分は試射へと向かう・・どれほどの威力か確かめたいので。


遺跡は領地から離れているのでそこから少し運べば荒野がある。

そこまでは大型の馬車で目立たないよう運ばれる。

グロフやジョーイ達と共に、あとは領主直属の兵士が商隊に扮して向かう。


「邪魔されませんかね」

ついそう言ってしまう・・他領地の商人だの国王だのが狙っているそうだし。

「邪魔したくてもせんだろうな、向こうも威力が気になるはずだからな」


なるほどそうか、手を出す危険も考えているかな?   


「威力が小さい方が問題だよな、威嚇効果が弱くなっちまう」

レフが苦笑する・・・その場合はすぐ次の武器を出さないと。



半日ほどで到着となった。

いよいよ試射だ。


使い方はグロフがしっかりメモしてあるそうだから、ここに杖が無くても問題ない。

操作は彼がやってくれる。


兵士が周りを固める中、領主が注目し準備が進む。

弓のような兵器は高台に据えられ、標的は300mほど先の枯れ木となった。

そんなに届くかと思うが、余裕が有るらしい。


グロフの指示により彼以外は岩陰に伏せて待機となった。   

衝撃や破片に備えてだそうだが・・・衝撃? ここまでか? 本当だろうか?

でも領主も指示通り伏せている。


それ程の威力なら威嚇効果満点ではあるが、さてどうなるか。


「なんかワクワクするね~」

などとお気楽な声が聞こえて来た、ジョーイだ。

「し~~~~~~っ」

レフが指を口の前に立てて黙らせるが、彼もニヤけている・・全くあの人達は。


「じゃあみんな、準備いいか? やるぞ!」

グロフが緊張した顔で見回す。

「ではいいぞ! 初めてくれ! 各自待機!!」   

領主から号令がかかった、自分も含め全員が頭を低く構える。


「ではいくぞ! 3、2、1、発射!!」

台のレバーをグロフが引くとガシンと鳴って、次の瞬間もっと大きな音で作動した。

体が浮きそうな振動と音で体を叩かれたようにドム!と発射音が響いた。


あたりに土煙が広がり、平たい箱が凄い勢いで飛んで行った。

風切り音が聞こえる。


そして箱が分裂し、水平に広がって行き・・・横一列となった。

鳥の群れようだが、乱れが無く見事に揃っている。


そして中心は標的に向かって、命中した。


そこに光があった。   



火柱のような、と言うより太い雷のような、それが横一列で同時に落ちたようだ。

目は(くら)み焼き付いたような凄い光で、鼓膜が破れそうな音だ。

少ししてそのあたりから土煙がやって来る。


「頭を上げるな! まだ伏せてろ!!」

グロフが叫んで兵器の陰にすぐ伏せると、次の瞬間台風のような風がやってきた。


伏せていても髪を引っ張られ、体が浮き上がりそうな強風が体の上を吹き抜ける。


「いたたたた!」

ジョーイの声が聞こえる。

小石が飛んできて確かにこれは痛い! 結構大きな石も飛んで行き冷や汗が出る。


このでかい兵器が動き出すかと思うような強風だが、動かなかった。   

当然とでもいうかのようにそれは鎮座している。

これも凄い技術のおかげなのか。


ようやく風が収まってきた。

長く感じたが1分ほどだったのだろうか、皆緊張がほぐれてきて息をついている。


ジョーイの細い体でよく飛ばなかったなと思ったら、レフが腕を掴んでいた。


「あ~ びっくりした!」

「全くだ」


「本当に! これほどとは・・・」

威嚇の効果は満天だろう、過剰とも思えるほどだし。


領主も起き上がっているが、放心しているように黙っている。   


「大丈夫ですか? お怪我は?」

兵士たちが一応聞いているがケガはなさそうだ。


皆、砂にまみれているが擦り傷程度で問題ないだろう。



ややふらつきながら、領主がグロフの元へ来た。

「素晴らしい、これは凄いよ」


この人らしい軽い笑顔になった・・・ 試射は大成功だ。


問題はこの後なんだが。




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