クリスタル・ロード 0120 武骨な客?
暖かくなってきましたね。
「すご~~い」
「あらあら、まあまあ、歓迎されてますね~」
「これは確かに、元気だな」
水中を魚や獣たちが舞う様に泳いで、目を引き付ける。
しかもどんどん集まって数が増えていく。
建物を一周するように泳いでいる。
『皆、人に会うのは久しぶりだからな、ずいぶんはしゃいでいる』
リーシャの通訳だがリーシャ本人も興奮してか目が輝いていた。
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「おいおい、何だ何だこりゃ!」
しかし、そこに武骨で興醒めな声が響いた。
皆驚いて振り返ると、そこには若い男を先頭に5人と、トカゲのような獣が少し離れた所に座っていた。
「「「「誰?」」」」
知らない顔がいつの間にかそばに並んでいた。
一体いつのまに入ってきたんだろうか?
それとも最初からいたのだろうか? 自分達が一番乗りだと思ったが?!
「あ~~~~っ!!」
先頭の一人がこちらを指さして叫んだ。
こちら、と言うより自分か?! 何だろうか?
「誰だ?」
ほんとに誰なのかわからないが、知り合いだろうか? 見覚えが無い・・よな?
「てめっ! 忘れてんじゃねえ、俺だ!! お前に剣を折られたレックスだ!!!
全然覚えてねえのかよ!」
レックス? 誰?!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ? レックス 、剣?」
そんな事あったっけ?
「ネビィ、 知り合い?」
リーシャが不思議そうに聞くが、覚えがないんだよな・・
「そう・・・らしいんだけど・・? かな?」
「こ、この野郎! おちょくりやがって!! あの剣、高いんだぞ、直すのにいくらかかったと思ってやがる! しかも短くなったし!!」
その若い男はやたら怒っているが、自分が故意に剣を折るなど有り得るか?
「涼しい顔してんじゃねえ! 衛士の入団試験で戦ったろ、思い出せ!!」
入団試験! だいぶ前だが、そんなことがあったな、それで剣を、ああ !
「やっと思い出したか? 記憶力弱いぞお前! 弱ちんが!! ボケてんのか
頭ボケボケめ! 頭弱野郎が! 俺の方が強いぞ絶対!!」
なんて失礼な奴だ、興醒めで無神経なだけでなく超失礼な奴だ、張り倒そうか?
そう思ったとき、そいつの後ろから逞しい男が出て来た。
「いきなりすまんな、 レックス、たいがいにしろ! 失礼にもほどがあるぞ!」
肩を掴んで睨みつけると、レックスは少しひるんで黙った。
全くだ、あと一歩遅ければ張り倒していたがな。
「おいネビィ、なんだかわからんが知り合いなのか?」
今度は自分の後ろからレフが出てきて聞いた。
「ああ、はい、一応・・ 衛士の試験で少し」
殴りたくなるような知り合いなんて、こいつ一人だけなんだけどね。
「自分はレフ、このパーティのリーダーだ、 あんたらは何だ? よく入れたな」
全く、いつの間にかそばまで来ていたとは驚きだ。
誰も付いてこられないと思っていたのに・・・。
「ああ、俺達はあんたらトップパーティのサポート役を命じられてな、主に荷物運びだが、場合によっては護衛や露払いをする・・・途中まではトカゲが匂いを辿り、後は妙なクラゲに案内されてきた」
そうか、あのクラゲいつの間にかいなくなったが、主の仲間とでも思ってなのか?
連れて来たわけか。
大きなトカゲには荷台が据えられて大きな荷物を運べるようになっている。
領主が気を利かせてくれたのか、ここには台車などが無いから。
「荷運びか、それは助かる、 よろしく頼むよ・・ええと」
「パーティ名は ツインハンマー!! 俺はロック・パイソンだ こっちのうるさいのがレックスだが今度失礼したら殴るから、堪えてくれ」
パイソンというごつい男はレックスの頭を掴んで力を込めた。
「痛ててて! いてーよ!!」
もう少し力を入れると頭骸骨が砕けそうだが、ざまあみろだ。
「ねえ、ずいぶん短気そうな人だね あの知り合いの・・」
リーシャが寄って来て囁く。
「リーシャは近寄らない方が良い・・ 凶暴だから危ないよ」
「おいそこ! 聞こえてるぞ!! 失礼な奴め!」
「失礼はお前だ、黙ってないとチームからお前を外すぞ!!」
また頭をがっしりと掴まれる。
「いてててて! くっそう!」
歯をむき出して悔しがり睨んでいる。
全く、獲物を狙う狼のような奴だ、 あいつは領地に災いになるぞ、絶対!
早く滅ぼした方がいい。
「あ~ 、ところでな、せっかく来てもらったんだがここは愛玩用生物の区画でな、
運んでいくほどの物が無いんだ、それで次に期待・・だな?」
「あ? 愛玩用だ?」
相手パーティ一同は呆けたような顔になった。
「愛玩用?! それなら見た目だけなのか?」
「そうだ」
レフがすまなそうに言う、だが本当だから仕方がない。
「食用にも向かないそうだ、つまり本当に見かけだけだ」
「まじか? これほどの施設が愛玩用を育てるためとは・・」
むこうは茫然としているが無理もない、どれほどの手間と金がかかっているのか。
この遺跡の元住民と領主はどんな考えの持ち主だったのだろう。
今となっては知る由もないが。
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