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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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119/200

クリスタル・ロード 0119  歌声が招く? 

「人魚!?」


ついそう言ってしまったが、他の人の反応は違ったようだ。


「セイレーンか?」

「なら、魔物だぞ!」

まわりは緊張していて、ジャンヌとジョーイはすぐ弓を構えた。


セイレーンとは確か海の魔物で、船を引きつけて沈めるのだったか?

ゴンドラは水路の流れと()によって湖に向かっている。

しかしクラゲは櫓をこぎ続ける。


止めるように言おうと思ったとき、声が聞こえた。


『待て! あれも危険は無い! セイレーンに似ているが歌うだけだ』    

「歌う・・だけ?」

「まさかあれも愛玩・・・」

途中まで言った所で女性陣から睨まれて言葉が止まった。


半分とはいえ人型だから語弊(ごへい)があるよな、やっぱり。


『人の形をしているが中身は魚に近い、 歌はできても会話はせんし感情はない

表情はそれらしく変わるが見た目だけだ』


「「「「「へえ~~」」」」」


その人魚が、大きな魚の背びれや尾びれに掴まって泳ぎつつこちらを見ている。

青みがかった銀髪が濡れて光り、切れ長の目で美人であるからやはりセイレーンの様で妖しい雰囲気である。   


まさに魅惑的人魚だ、 そう思ったとき妙な気配で周りを見ると冷ややかにこちらを見つめているではないか、特にレフをだが・・・。


「何だよ! 俺が何か言ったか?」


「いえ、一番影響受けそうに見えましたから」

「ねえ?」


「なんでだよ!」

「まあ、しょうがないな、男の(さが)だ」


なんて言っている間にゴンドラは水路から湖に入り、人魚は大きな魚に引かれて寄ってきて周りを泳いでいる。

近くで見るとますます不思議な魅力だが、なるべく見ないようにする。   



 大きな魚の方は(たい)を拡大したような太めで美味そうだがこれも非食用なんだろうか、少しは食用も置いといてほしいが。


「魚の方はおいしそうよね」

リーシャが心を読んだようにそう言うが、もしかして人魚から気をそらそうとしているのでは、なんて思う。


クラゲはまだ櫓を漕ぎ、湖の中央へと向かう気か? なにがあるのだろうか。


「水中に・・何か有ります・・・ね」

ジャンヌが水面下をじっと見つめてそう言い出した。

また遺跡だろうか?


すると水中で上がって来るものが見えたが、何かはわからなかった。   

それはゴンドラを囲う様に上がって来て、水面すれすれで止まり塀のようになった。

そして次に塀の内側の水が引き始めた。


水と一緒にゴンドラは下がっていく、これも遺跡の仕掛けだろうか?


水底へと向かっているのか船はどんどんと下がっていく。

そして遂にそこに着き、ゆっくりと止まった。


クラゲは櫓を離し、自分から船を降りて塀にある穴へと歩いて入る。

「我々も行こう、何があるのかは知らんが導かれているらしいな」


グロフが先頭になってクラゲの後に続く、と、暗かったその穴が明るくなっていく。

穴は青みがかって透明で水晶の壁の様であり、水柱の様子が見え色とりどりの魚が辺りを泳いでいる。   



前の場所のように研究用の建物だろうか?

だが今度は水中であり、辺りを魚やエイ、海老(えび)、それに人魚まで泳いでいる。


そして水中にも明かりがともった。

ますます色鮮やかな魚達と水底の珊瑚(さんご)が輝くようで美しい。


「「「おおお~~」」」

「「「うわ~~~~」」」


皆が感嘆の声を上げる、それほど水中の様子が見事だった。


冷静なジャンヌとクリーグまでもが食い入るように見つめ、放心している。



そのうえ、イルカや小さめのクジラのような獣が向かってきて建物の周りを泳ぎ始めたが、我々を歓迎するように体をひねりながら顔を向け、元気に水を蹴る。   



百年ぶりの主の帰宅と思っているのだろうか?




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