クリスタル・ロード 0118 出迎え
「「「「「「恐竜!?」」」」」
「おいおい、どうすんだあれ」
ズシン・ズシンと足音を響かせながら近づいて来る。
「リーシャ、杖に聞いてくれるかな、どうすればいいかを」
「わかった」
頭までの高さは20mはあるだろうか、体表は艶のある甲羅のような,堅そうで石の様にも見え日を浴びてキラキラと輝いている。
あれは鱗ではないよな? ドラゴンではないと思う。
「え? 危険は無い? ホントに? あれで・・・ 危険は無いんだ」
リーシャが杖と会話してるのが聞こえたが、危険が無いって? 本当だろうか。
ジャンヌが弓を構えたまま、撃たなくていいのかと振り向いているが、待つようにと
手で合図をして様子を見ていると水路の脇まで来てピタリと止まった。
大きいので威圧感があるが、襲う気は・・・なさそうだ。
弓をゆっくりと下ろしたジャンヌが、ふうと息をつく。
レフ達はまだ武器を構えているが、表情が緩んだ。
「大丈夫・・・・か?」
「そのようだ・な」
リーシャが恐竜に向かい杖を掲げて集中している。
『あれも主達に育てられ、他の獣たちとここで生きて来たのだ。 危害を加えない限り暴れたりはしない』
自分達の乗るゴンドラを恐竜?が、じっと見つめている。
クラゲがゆっくりと櫓を漕ぎ、その前を通り過ぎると口を開けて歯を見せた。
一瞬ぎょっとしたが、悲しい声でクモオォーと鳴いた。
『主たちが帰ってきたと思っている・な』
あれは主がいた時を覚えているのか? では100年以上生きてたことになる。
「あれは何歳なんだ? 他の動物もそんなに生きるのか?」
『あれは長命な方で400才以上のもいるが、全ての獣がそうではない』
「あるじを覚えてるんですね~、あ~ でも私達じゃ違うのかな~」
「ずっと待ってたのかな、なんだか切ないね」
フレアとジョーイが手を振りながら笑っていると、尾の長い鳥が集まってきた。
彼らも歓迎してくれているのだろうか。
尾を振りながら、それぞれが鳴きだして合唱の様である。
「にぎやかですね~~」
今ではジャンヌも弓を下ろし微笑ましく彼らを見つめている。
いつもは涼し気なクリーグもだ。
そこから少し進むと今度は水路が立体になっている所が見えた。
滝のように流れ落ちるところが数か所あり、ゴンドラが登れるらしき仕組みも見える。
高い所は数十mありそうだが、行くのだろうか?
水路の脇の木々にも水鳥が止まり、囀り始め賑やかな並木となった。
鳥達の出迎えを受けながら立体水路の上方へ進んで行く。
「あらら、だんだん高くなってきたよ」
ジョーイは高い所が苦手なようだが確かに高く、少し怖いぞ。
「でもとっても見晴らし良いですわよ」
立体水路の向こうには湖だろうか、それともあれが海なのか、かなり広い水面が
見えて来た。
そこの水面には大小さまざまで色とりどりの鳥が戯れている。
その間をゴンドラが抜けていき、遠くの湖が近づいて来る。
その湖には・・・ずいぶん大きな魚が水面へと顔を出している。
全長数mはありそうな魚と、それと・・あれはなんだ?
水面からほぼ全身を出して横たわっているその姿は、下半身は魚のようだが・?
あれは? まさか人魚だろうか?
短くてすみません。




