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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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117/200

クリスタル・ロード 0117  美しいだけでなく・・

「100年?」


杖の(あるじ)が100年前にはここにいたのか?

もっと前かと思ったが、それまではここに人が住んでいた? 大勢か?


地上には出なかったのだろうか?

100年前なら自分達の住む町もあったはず・・接触の記録は無いか?


「100年だって? 本当か」

グロフが聞いていたか、関心を持ったようだ。

「杖が言ってるそうです、本当なら思ったより遺跡が新しいのでは?」


「そうだな、しかしこれほどの環境が100年維持されているのも驚きだが」


無人で維持されているのだから、どれほど技術なのだろう。   

クラゲが管理者だろうか? 

知性はあるようだが他の生物もか? 動物が遺跡を荒らしていないし共同管理なのかもと感じたが・・・。



「主のお帰りを歓迎しているって、言ってるよ」

リーシャが杖との会話にだいぶ慣れて来たらしくスムーズになっている。

「ここの管理の中心は誰かを聞いてくれるかな?」


『中心? 中心は・・・ いない、皆でしているから』


リーダーという発想は無いらしい、人間とは違うか。


水路の脇に小さな動物が集まって来てゴンドラを珍しそうに眺めている。

あれは・・ビーバーか? マーモットだったか?

「あ~~、ちっちゃくてクリクリの目、抱きしめた~い」   


リーシャはああいう小さい動物に弱い、船に乗っていてよかった。

そうでなければ憑りつかれているだろう。


「可愛らしいですね~」

「うん、ペットにした~い 10匹ぐらい!」


「ここの獣は食えるのかな」

フレアとジョーイが萌えているとレフが余計な事を言う。

そうして案の定女性達に睨まれた。

相変わらず空気を読まない人だ。


そこから少し進むと岸に、今度はぬいぐるみのような大きく丸みを帯びた熊が。

あぐらをかくように座り、大きな木の実をはぐはぐと食べている。   


「あれは食え・・」

またレフが余計な事を言おうとすると、グロフがレフの肩をがしっと掴んでいた。

「黙ってろ、な?」


『ここの獣は食用には適さない、愛玩用に供されている』


「愛玩用? ペットなのか!」

その為に作られたんだろうか、キメラか? 

それなら妙に美しいのもわかる。


「ペットなら連れて帰りたいね~」

リーシャがそんなことを言うが、う~~~ん あんな目立つのを連れて行ったら騒ぎにならないかな? この遺跡の事は出来るだけ秘密にしなければならないし。   

「それは・・・領主が許可しないんじゃないかな? 聞いてはみるけど」


「ええ~、だめ?」

「たぶん・・・、それにこの環境の方が動物にとって幸せじゃないかな?」

「う、う~~、 そうかな・・・・」


渋い顔ではあるが一応納得してくれたかな?


「私達も連れて帰りたいよね~~」

「本当に、たくさん家に置いとけば楽しいでしょうね ♪」


ジョーイ達までそんなことを・・・ 困ったもんだ。


「また来たらいいんじゃないですか? 休日にでも、のんびりと過ごすのは?

お弁当持って来るとか、いっそ泊まり込むか」   


ジャンヌが良い事を言う、自分達ならまた入る許可が得られるだろうし。


「あ~っ そうですよね、 ジャンヌさんも一緒にどうですか? 泊まり込んで

ついでに弓を教えてください!」

ジョーイがジャンヌの話に食いついてのめりこむように言う。


「いいですよ、お互い時間のある時に」

「やった ♪」


「ここなら安全そうですし、前の場所で焼肉用の材料を採ってここで食べるなんていいですよね、お魚や果物も」

フレアもその気になっている。


「ね~~~~~~」


女性達はピクニックする気の様で、だんだん当初の目的を忘れているようだがまあいいだろう、平穏に越したことはない。

一般の人達もここへ来られるようになれるとなお良いが。



「ここはペットとしての生物区画か、我々が探すものとは違うな・・ どうする?

他の所へいくか? それとも・・・」

グロフが冷静に考えているが、果たして他の人は?


「え~っ ここもっと見ないの~~ 見たいーっ」

「そうですよね、まだいい物見られるのでは?」

ジョーイ達が渋る、そりゃそうだろうなあ、自分さえもう少し見たいし。

飛ばして他へは、反対するだろう。


「う~~~ん、見たいのはわかるが仕事としてはなあ」   

「領主からは急ぐように言われて・なあ?」

レフも少し困っている、レフにしては珍しく真面目にだ。



「今はとりあえず切り上げて、ここの続きは後日と言うのは・・・?」

そう言いかけたとき、大きい動物が歩くようなズシンズシンと音が響いて来た。


皆がそちらを見ていると木々の上から大きな頭が見えて来た。


あれは?   何だ?  


恐竜・なのか?




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