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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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116/200

クリスタル・ロード 0116  そこは絵画のような

レンガの道の脇には水路があり、深さは50㎝程幅は3mほどで済んだ水がゆっくりと流れ、底には宝石かと思うような輝く石が敷き詰められ小さく鮮やかな魚が泳いでいる。


川面(かわも)には所々赤や白の大きめの花が流れ(いろど)りをなし、川の上へ紫の藤の花が垂れ下がっていた。


「いい所ですね~、静かで華やかで」

「ほんと、泊まり込みで遊びた~い、寝転がりた~い」


「確かに、やたらと景色の良い場所だな」

「貴族の庭園でもこれほどの所はなかなか無いぞ」


「ここならピクニックにいいね、家族で来てのんびりして・・」   

「そうだねえ」

しかし当初の目的は調査なんだが、忘れてしまいそうだ。

危険は無いだろうか? それに魔術文献の収集もだが、もう十分だろうか。


「ところで、ここには案内はいないのかな?」

リーシャは杖に聞けるはずだが、今まで何も言っていない。


「あっ そうか、ちょっと待ってね」

杖を掲げて目をつぶって集中を始めた。

「今、できそうなのが来るからそれにやらせようって」


皆今の話を聞いていたのか足を止めて待っていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   



「クラゲ・・・かな?」

水路を流れて来た透明な円盤が立ち上がり、触手を上げて挨拶をしたように見えた。


足は何本かの細いのが真っすぐ伸びて体を支えている。

目はあるのだろうか、こちらを認識はしているようだが。


「くらげ、ですね」

「くらげ・だな・・・・」

フレア達が呆れたように見ている、今更驚くことではないか、この遺跡は。


全体に薄い青の体に濃い青や紫、赤の部分があり脈動のように濃さが変化する。

いきなり出てきたら危険な魔物に見えそうだ。


「案内してくれるって言ってるよ」    

知性があるんだ、これで・・・

「あ~ 、ありがとうと伝えてくれるかな?」


川から上がると背丈は150cmほどか、数本の足でスムーズに進んで行く。

少し行くと大きめのボート? ゴンドラか?、数隻が泊まっている所があった。

そこでクラゲが手招きをする。


「これ? 乗るの?  ゴンドラに乗れって!」


大きめなので全員が乗れそうだ。

水路は広めだし、ここはゴンドラで移動がメインだったのだろうか?

歩くより楽そうではあるが、クラゲに漕げるのか?


先頭にジャンヌが座り、弓を抱え警戒する。   

次にグロフ、自分、リーシャ、フレア、クリーグ、レフ、ジョーイ、最後はクラゲ。

細い腕で()を漕ぎだした。


皆、遊び気分の様で乗船の順からすると警戒を怠らないのを感じる。

前後に弓兵が付いて先制攻撃の体制で、彼女らの護衛はグロフとレフだ。


水の流れがあるのであまり漕がなくともスムーズに進んで行き、歩くより早い。

馬車のような揺れもなく、実に静かで快適だ。


船に魚が興味深げに寄って来て付いて来るので、リーシャが水に手を入れ触れている

それでも逃げず、指を見たりつついたりとずいぶん人懐こい。

手ですくうとそこから飛び出して水に戻るが、それでも逃げずに寄って来る。

ここの魚には危険が無いようで、警戒していないのか?   


食用でないせいもあるのか、それに天敵もいないのだろうか。

何を食べているのだろう、水は澄んでいるが栄養があるのか?

水草は少ないと思うが・・・ 餌をもらっているのか? どこで?



「お!?」

「あら?」

水中に気を取られていたらレフ達のそんな声が聞こえ、何かと顔を上げると少し離れた所に鹿のような動物がいた。


それが体は白く、艶のある毛で銀色に光り目は青く額に金色の角が一本短いのがある。

細身の体は機敏そうで美しい。   


更に離れた所にもう一匹、金色の体にやや赤い角のが近づいて来て角を軽く当てる。

絵になるしぐさの流れである。


「ふわ~~、綺麗ね なんて動物だろ?」

リーシャが前のめりで見つめるが、自分も初めて見る獣だ。

鹿に似ているが、はるかに美しい。


しかもそこへ大きめの鳥、クジャクの様で尾や羽が長く体は赤で尾や羽の先は黄色、

目はピンクで艶のある羽のが飛んできて、近くの枝にとまり尾を垂らす。


「これはまた、絵になる鳥だな?」

「ほんとね~」


皆で見とれているともう一羽が船尾の先に止まって尾羽を広げた。   

まるで高級な扇子を広げたようだ。


「おお~~~」

「我々に披露してるかのようだな、歓迎されてるのか?」


「そうですわよ、きっと」

「ありがとね~」


ジョーイが手を振ると、クルルルッ と、声を上げる。

返事をしたかのようだ。


すると近くの木から数十羽の色とりどりの小鳥が飛び立ち、渦を巻くように上がっていく・・・ これも歓迎の表現だろうか?



「ねえ、杖が言ってるよ、 『(あるじ)が帰ったのは100年ぶりか?』って」




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