クリスタル・ロード 0114 次のゾーンへ
「「「「酒!?」」」
『酒造りに良い果物がある、それに自然に酒ができる物もあるそうだ』
「自然に? 果物が自然に発行するのですね? ブドウではあり得ますが」
「ほう、他の品種でとなるとそれも売れそうだな」
「飲んでみたーい、お試し用無いの? 少しでも!」
少し待つとコップに入った物が運ばれてきた。
「私、一番!」
「ちょっと待て、俺もだ俺も!」
「お前達、仕事中だぞ! 俺は少しでいいが先に飲んでおく、リーダーだから」
この人たちは全く・・・・
「お酒スキなんだね~~」
リーシャが呆れたようにつぶやく、でもリーシャも飲む方だよな・・
親子でかなり飲むだろ?
「私もお母さんにお土産で持っていこうかな~」
ほらやっぱりだ。
この品種の種を持ち帰る方がいいかな? 向こうで育つかどうかだが。
「薬草もあるし、ここは植物の研究所なんだな、食用だけではないし」
「そうだよね、育て方がわかればネビィの家の畑で出来るんじゃ」
うん、ぜひやってみたい
領主の許可が出るといいけど・・・、頼んでみよう。
などと考えていたら、他の人達が妙に静かである。
よく見ると自分とリーシャ以外、皆飲んでいる 酒を!
ジャンヌとクリーグまでも黙って飲んでいる。
そして皆して頷いている。
よほど良い酒らしい、無言になってしまうほど・・・・。
「そろそろ他へ行きませんか?」
一応そう言ってみたが、皆からなんてことを言うんだという顔をされた。
「無理じゃない?」と、リーシャから笑われてしまった。
みんな、仕事中なんだぞ! わかっているのか?
しかし既にテーブルが用意され、皆が座って酒盛りが始まっている。
「私達はご飯にしようよ」
リーシャは荷物から弁当を取り出し、用意を始めた。
皆の所にも果実や木の実など食べ物が運ばれているが、酒に夢中なようだ。
二人のテーブルにも果実などが運ばれてきた。
「これ美味しいんだよ、食べた?」
リーシャが指さすが、覚えが無い 食べていないかな?
「はい、あ~ん」
差し出すので弁当を食べながらかじりつくと、隣のテーブルから視線を感じる。
しまったと思うが、既に皆から見られてニヤつかれていた。
「弁当も美味いよ」
などと言ってごまかした。
「うん、ありがとう ♪ えへへ~」
二人で食べているとこちらにも飲み物が運ばれてきた・・酒か?
「あ、これは果実水だって! 甘さ控えめだから飲みやすいらしいよ」
「色々あるんだな うん、ほんとだ」
「お酒じゃないけど、おいし~」
やっぱりリーシャは母親似だな、酒好きになりそうだ。
その日はそこで泊まることになった。
宿泊用の部屋があるというし、シャワーも使えるとのことで落ち着いて寝られる。
なにせ皆酒を飲んでくつろぎたがっていた。
主に4人組だが。
黒信徒達がまた来るのではと心配だが、杖もあるし庭師が見張りもするという。
彼らは睡眠の必要が無いらしく、見張りだけなら1日中出来るそうだし。
この領域の広さについて聞いたが要領を得なかった。
広さのイメージが伝わらないというか、面積の単位が違うのか表現しにくいらしい。
ただ、ここは主に植物と動物が育てられている事、他にも領域がある事はわかった。
明日はそちらまで案内すると言った。
しかも転移盤がまだあるらしい。
とにかく明日調査となり、今日は寝ることになった。
ベットで寝られる。
「おやすみ~」
「おやすみ、また明日」
酔っ払いたちは上機嫌でとうに寝ている。
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翌日、何事も無く朝が来た。
ここはちゃんと朝日が昇る。
黒信徒の襲撃も無く、皆無事に目覚めた。
取りあえずは安心だ。
「おはよ~~」
眠そうにリーシャがやって来るが、酔っ払い組はもっと眠そうだ。
ジャンヌは朝から凛々しく、クリーグは相変わらず涼し気な様子である。
朝食後、リーシャ達は弁当(果実や木の実など)を造り、出かける支度をして
次の場所へと移動する。
庭師の案内はその入り口までだが、その後は別の庭師がいるとのことで引き継がれる。
転移盤から出たとき、皆目の前の景色の色彩に目を奪われた。
とにかく華やかだ。




