クリスタル・ロード 0110 研究所?
フードをゆっくりめくると、徐々に顔が・・え? 顔が・・・
え? 黒い? 更にめくると・・・・
やっぱり黒い? よく見ると黒い網をかけて、顔を黒く塗ってある。
だから顔が見えなかったのか?
「何だこりゃ、顔が真っ黒じゃないか」
「あらホント、変わったファッションですわね」
「なになに? うわ! 黒いよ これも信仰なの?」
レフ達が面白がっているが、これでは顔がよく見えない、入れ墨ではないよな。
どっちにしても領主に渡して調べてもらうか。
グロフに言うと同意してくれたが、何で運ぶべきか?
ゴーレムは置いて来てしまったんだった。
「じゃあ引き取りに来てもらおう」
クリーグがそんなことを言い出したが、引き取りに?
「どうやって?」
「こうやって」
懐からペンのようなものを取り出して空中に文字を書くとそれを飛ばせた。
すると手紙が丸まったかのようになり、空へと飛んでいく。
「これで連絡できるので」
「連絡用アイテムか?」
グロフ達が珍しそうに見る間に小さくなって消えていった。
「領主さんが貸してくれた貴重な品ですよ、ずいぶん高価とか」
それから2時間ほどして引き取りの小型馬車がやって来て、運んで行った。
その間に他の場所を見ておいたが、作物と動物の獲物が豊かでここは食料の生産地であった可能性が高いと結論になった。
しかもかなりの広さでまだまだ見ていない場所があるのだ。
青空まであるのだ(地下なのに) あれはどんな仕組みなのか? 魔法だろうか。
それともここは別な場所、屋外なのだろうか?
ジョーイの斥候によると、この先に建造物があるという。
それを見に行こうという事になった。
「その建物だが、大きいのか?」
グロフが槍を担いで先頭を歩いている。
「大きそうだよ、木や草が茂って一部しか見えなかったけど」
皆で徒歩だが、結構な距離がありそうだ ゴーレムがほしいところだな。
「それにしてもさっきの3人組、どこから入ったんでしょうね? 今入り口は見張られているはずなのに」
「ああ、そうだったな・・入り口以外から入る術でもあるのか・・? それとも・」
「それとも?」
「領主の部下に内通者がいるのかも・・な」
「信用できる相手に絞っているそうですが?」
「それなら操られているとも考えられるだろうな」
「相手は妙な魔術を使いますからね~」
フレアが話に入って来る、これも魔法のライバル心だろうか、あの幻術には手を焼かされたからな・・・ 今回も鳥の杖のおかげで助かったが。
「あ、そういえば言い忘れていた、リーシャ、さっきはありがとう」
リーシャは隣を歩いていたがずっと黙っていた。
邪魔をしないようにとの事だろうけど、放っておいてしまった。
「あ、ううん、 無事で良かったよ」
杖を抱きしめて微笑んだ、いつもはもっと饒舌だが今日は少し緊張しているか?
なにせリーシャは冒険初心者だ。
「少しこの杖の事わかったみたい! なんとなくだけど話せるから」
「そうか、リーシャが使えるようになると助かるよ」
魔法はまだ始めたばかりだし、リーシャを守る事にもなるからな。
自分は剣術の方が得意だし・・・持っていてくれる方がいい。
建物が見えて来たが、言われた通り草木が茂りほぼ隠れているが傷んではいない。
「何の建物でしょうね」
「管理所か研究施設か、あるいはスタッフの宿泊所かな?」
「獣が住んでるかもな? フレア、シールドを頼む」
「は~い」
用心して入り口から様子をうかがう・・・中は綺麗で、荒れてはいない。
その点は遺跡と同様だ。
遺跡より専門的な物がありそうで、研究施設だろうか?
ただ何に使う物かわからないのが色々並んでいる。
「うかつに触らないようにな!」
グロフが厳しい言い方をしたとき、ジョーイが触ろうとする寸前だった。
ジョーイが苦笑して手を引っ込める。
「相変わらず危なっかしい奴だ」
「「レフが言うな!」」
ジャンヌやクリーグも興味深そうに見回しているが彼らは安心だ。
リーシャはこわごわ眺めているが手は出さないだろう。
奥へ進むとマップらしき物が掲示されているが、文字が読めない。
それにこの領域の一部のようだ。
ジョーイがさっそくそれを写している。
奥へ行くと記録庫があった。
自分達は読めないがこれも貴重な品だろうからお宝だ。
「おいおい、この遺跡お宝の山みたいだな? やばくないかこれ!」
「やばいとは何ですの?」
「これほどの物が出てくるとな、他国は黙ってないだろいずれ噂が広がる」
「そうだな、国家間の火種になりそうだ」
「国内だって、これほどの手柄が偏るとどうでしょうね、貴族間で争いも・・」
そうだ、食料生産でも差が出ることになる。
もちろん経済力でも。




