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クリスタル・ロード ~失われない大国の王を目指して~ 【22000PVを感謝します】  作者: 前田  裕也
2 目覚めの章

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107/200

クリスタル・ロード 0107  再戦

「ワイバーン!?」


「やばいぞ、どうする?」


皆で戦えばなんとかなるだろうかと思うが、そうすべきなのか?

「仕留めますか?」


「あれの目当ては焼肉だろう、匂いにつられたせいだと思う」

グロフはさすがに冷静に判断する。


「では獲物を置いて退却しますか?」

「その方がよさそうですね、荷物をまとめましょう」


「ああもう、せっかく美味しい肉が食べられると思ったのに!」

そう言いながら焼けたエビを咥えている、早いな。   


フレア達が荷を持って準備を手早く済ませ、焚火を消した。

「良し行こう、撤退だ!」


「ああ~~、お肉が~~~っ」

まだ言ってるよ、しかもカニを持ってるし。


「また捕ればいいさ、ここは獲物が多いから」


皆で(やぶ)に入り、隠れながら離れることにする。

ワイバーンに見られなければ問題ないだろうし、他の獣もそちらに気を取られている。


100m以上離れた辺りであいつは降り立った。

焚火の近くで獲物をバリバリと食う音がしている。   


「もう~~~、 横取りだ~~!」

「そういうな、もとはと言えば俺達がナワバリ荒しだろうから」


「あれと戦うのはリスクが高いですね、獲物を渡して済むならその方が」

ジャンヌがあれを見つめてつぶやく、優秀な戦士の目をしている。

強いからとむやみに戦いを選ばぬ面はさすがだ。


仕方なく皆で更に離れ、ワイバーンが小さく見える程度になる。

風下なので匂いで寄ってくることも無いだろう。



「この辺まで来たらもう大丈夫じゃない? あれだけ食べたら満足でしょう?!」


「ですよね~ 今度は私達の分をとりましょうよ」

「もう少し離れてからな、念の為だ」   


池からだいぶ離れてしまったが、川が有り幅が数mで魚がいそうな渓流だ。

「魚がまた捕れますね~」


「それより肉がいいよな、食べ損ねたし肉を先にしよう」



  *****************************************


猪や牛のような魔物の肉が十分に取れた。


風下で焚火をしているし、風魔法で匂いを上空に拡散させているそうだ。

もう寄ってこないだろう。

おかげで安心して食べることが出来た。


「ふう、食べた~~~」

「やっと満足しましたね~」   


「うん、美味かった、 残った肉は持って帰ろう」

「え~~、全部食べちゃうんじゃない?」


「まあ、食べたらまた捕ればいいさ」


「そうだな、ここに宝など有るのかと思ったが、ここは食料が宝物のようだな、肉に魚に、果物、多分麦なども良く育つだろう、土壌が良いんだな?」


「水も良さそうですよ、魚が多いし、澄んでいる」

これほど良い場所は本当にめずらしい。


「そうですね、ここが領地なら豊かな国となります」



『そうだ、お前たちにはもったいない場所だ』


その時、仲間ではない男の声がした。   



「「「「「「「!」」」」」」」


皆がそちらを見つめる。


木々と藪の陰から黒っぽいフードの男?達が現れた。

今度は3人で、真ん中の男はよく見ると紫の衣服だ。


みな顔はフードの(かげ)となって見えず、相変わらず不気味ないでたちである。



「お前達が来るところではない、ここは我々にこそふさわしい」

紫のフードで両腕を下げてやや俯いたようにそのものは話した。

まるで幽鬼のような姿だ。


他の者達は胸の前で両手を合わせて黙っている。

彼らは部下なのか?   



「どうする?」

レフがグロフに囁く、すぐに戦うか様子を見るかだろうが・・・

以前の事もあるから、待っても好転するとは思えないが。


「ワイバーンならともかく、これから逃げても良い事は無いな」


そうして戦いが始まった。





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