クリスタル・ロード 0102 歴戦の勇者2人 +1
「2人じゃなくて、3人!」
? ?? 今のは何だ? 誰だ?
振り返ると後ろにリーシャが杖を持って立っている。
今は翌日の早朝、今日は遺跡に再び潜る予定である、全メンバーに二人を加えて。
「3人です!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・?
なぜ3人?
「私も行くから!」
リーシャがのたまう。
「は?!」
なぜリーシャが? 言っては悪いがリーシャに戦闘は無理! 危険極まりないので。
「私が戦うんじゃないの! 杖が!」
「杖・・が、 え?」
確かにその杖は強いし、助けてもらいはしたが・・・・ リーシャが来るのは・・
「ゆうべ私、この杖と一緒に寝たの」
「一緒に?」
ぬいぐるみじゃないんだから、体痛くならんかった?
「そうしたら夢を見て、主を守る気があるかと聞かれたの・・」
リーシャは満面の笑みである。
「主ってネビィよね、だから守る! 私もネビィを守りたいって言ったの」
え~~~~ 、守る、と言うより君は守られる方だと・・ 杖は強いけどね。
「そうしたらね、『では共に守るぞ、来い』 って言われたから!」
う~~~ん、確かにそれならリーシャを守ってもらう事にもなる、まあいいか。
「そ、そうなのか、 意志が通じたと・・・」
リーシャが心を交せたのなら僥倖としよう。
「それにしても少しは防具の用意はしておこう、革鎧か、鎖帷子のどちらかは」
「うん、わかった、かたびらがいいかな?」
ますます嬉しそうだ。
では準備をしておかないと、他のメンバーに連絡も。
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「リーシャをよろしくね」
魔法の先生から念を押される。
笑顔だが気迫を感じる・・・ わかってますよ、「命がけで守れよ」ですね。
心配ならついてくればいいのに。
「私は塾が有るから離れられないので、ね!」
「ね」の所で思い切り肩を掴まれる、痛い。
そんなわけで、総メンバーが3名追加され、出発することになった。
ほかの追加の一人はBランク魔法師 ラシーン・クリーグ。
フレアがライバルと思っている相手であり、今も睨みつけている。
もう一人はジャンヌさん、
ジャナスウェンナ・ユールウィン・ポーブウォールさんだ(長い)
本人が「ジャンヌと呼べ」と言ってたそうなのでそれでいいだろう。
ジョーイが弓の名手として憧れている人で、ゆえに朝から上機嫌で見つめている。
ここは領主の館、勢揃いしたので出発することに。
「ではみんな、準備できたな? それでは、転送開始!」
転移盤が光り、吸い込まれるような感覚と共にまわりが消えていく。
時間の感覚が曖昧になり、遺跡に着いた。
なんだかずいぶん経ったような気がするが、瞬間的なはずだ。
「ふわあ、ここが遺跡? 思ったより綺麗ね」
初めて見たリーシャが驚く。
普通の遺跡のように荒れた所が無いからな、当然だろう。
後の二人は冷静に辺りを観察している。
さすがは上級戦士と言った風の様子で警戒を怠らない。
「あの、ジャンヌさん ここは一層で魔物は少ないと思いますが、三層からはまだ多く出そうなのでよろしくお願いします」
ジョーイが嬉しそうに付き添う。
ジャンヌさんは頷きながら通路の先に注意を配っているようだ。
近くにあのゴーレムと大きめの台車が置いてある。
領主さん達が色々調べていたはずだが終わったのか、戻してあってありがたい。
皆が荷物を載せて乗り込んだ。
リーシャは恐る恐るだが、ジャンヌさんはツカツカとで弓を背負って堂々としているのがさすがは歴戦の勇士である。
「じゃあいいか、動かすぞ」
グロフが言って、レバーを操作し進み始めるとリーシャがしがみ付いてくる。
「ひゃ ! な、なんか馬車と違うね」
「安全だから落ち着いて、大丈夫だよ」
そこから昇降機のある部屋へと向かう。
通路の奥に魔物が見えたが逃げていった。
レフ達4人は2度目なのでだいぶ落ち着いて、口数が少ない。
「3層目からはすごく楽しみだな、貴族領域だよな」
「そうですね、お宝がずいぶんありそうだし ♪」
「だからって油断するなよ、やばいのが出てくることが有り得る」
「でも今回は3人増えてるし」(一人はちょっとあれだけど・・)
頼もしいのが二人いるのだ、活躍を期待する。




