クリスタル・ロード 0001 流れ着きし所
異世界転生・ほのぼのと国造りを目指します。
どうぞよろしくお願いします。
ここはどこだろう
身体が宙に漂っているようだ
何もない空間に浮かんでいるか進んでいるのか、上も下もわからない。
先に光が見えて徐々に近づき、眩しくて視界が真っ白だ。
やがて光が弱まり、目の前の何かがちらちらと揺れている。
何だろうとよく見ると、それは木の葉だった。
生い茂った木々が見えて来る。
森の中、自分は地面に仰向けで横たわっていた。
「落ちたのか・・・・・?」
身体が所々痛んだり、手には少し擦り傷があるが目立った怪我はない。
周囲を見渡すとそばには20mほどの崖が有り、どうやらあそこから落ちたが、木がクッションになったようだった。
「それよりも・・・・」
もう一度、自分の手を見る。
ーーー
本来の手より二回りは小さくなっている、それなら手以外もそうなっているのであろう。
自分の体がもっと大きかったのはわかるが、それ以外の事は思い出せなかった。
ふと、木の上に目を向けると異様な光景が目に入る。
獣? だろうか、見た事のない獰猛そうな生物が枝で串刺しになっている。
黒い血を滴らせ動かない。
あれも崖から落ちて来たのだろうか、記憶を辿ろうとするがはっきりしない。
だが状況からすると、一歩間違えれば自分がああなっていたことだけはわかった。
その時、遠くから複数の声が聞こえて来た。
「おーい」
自分を呼んでいるのだろうか、返事をすると数人の村人が駆けよって来た。
「無事だったか」
「やれやれ、良かった」
口々に安心した様子だが知り合いだろうか、だが、こちらは全く見覚えが無い。
村人の一人が木の上の獣に気付いて騒ぎ出し、驚きの声を上げた。
「あれは・・・見た事のない魔物だ!」
魔物? 獣でなく、あれは魔物なのか?
「あんな魔物初めて見るぞ」
「・・・・・・・・・・・・・」
人々が驚きを隠せない中、一人だけ眉間に皺を寄せ魔物を凝視している男がいた。
「あれは・・・・・・・まさか」
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村に連れられて帰ると人々が安心した様子で迎えてくれた。
村人の間を縫うように幼い少女がテテテと笑顔で駆け寄って来た。
「良かったー 帰って来てくれて!」
「あれほど危ない所はダメと言ったじゃない!」
自宅に着くと、心配した母親が叱責と共に抱きしめてきた。
余りに強く抱きしめる物だから持っていた虫かごを落としてしまった。
それを拾い上げた女の子が目を輝かせながら言った。
「うわぁ、綺麗なお花」
虫かごに入れておいた草花を母が見つめると次の瞬間、飛びつくように両手でかごを掴んだ。
「ちょ、ちょっと! この花どこで見つけたの!?」
その後に聞いた母の話から大体の状況は掴めて来た。
昆虫採取に出かけた自分、ネビィはたまたま崖で見つけたこの薬草を取っていたところあの魔物に襲われたらしい。
そしてこの薬草というのが非常に珍しい物でこれさえあればこの女の子リーシャの母親の病気が治るそうだ。
転生前のこの体の持ち主が、女の子の為に薬草を採ろうとしたかまではわからなかったが、自分の母親が薬師のサラで、父親は護衛騎士のグラブということは判明した。
夜、自室のベッドで横になったが眠りにつくことが出来ずにいた。
元いた世界の事は思い出せないが、重大な使命を持ってこの世界にやって来たことだけは本能的にわかった。
平和そうに村に見えたが何か良くないことが怒るのだろうか?
そんなことを考えながらふと月を見上げると、土星のような輪が二本あることに気が付いた。
「やっぱりここ、元の世界と違う」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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