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脳内溢れ話  作者: コロン
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事故

いつも有り難うございます



今回のお話しは、人が亡くなります。


苦手な方はお避け下さい。

よろしくお願いします。

バーーーン!!バリバリバリ!!パァアアアアアアーーーー…!



すやすやと眠っていた私は、突然の凄まじい音の後に鳴り響くクラクションの音で目が覚めた。

暗いの部屋の中に、クラクションは鳴り続けている。


深夜2時の事故。


隣に眠る旦那さんを起こす。

「ねぇ…起きて…事故があったみたい。私、警察と消防に電話するから、見てきてくれる?」

あの轟音に起きなかった旦那さんは、私の声で飛び起き、上着を着て家を出て行った。


住宅地付近での事故なので、深夜でも誰かは連絡しているかもしれない。それでも私も警察へ連絡を入れる。

人生で初めて警察に電話をする。頭は回っているのだけれど、轟音で起こされた事で心臓がバクバクしているし、びっくりし過ぎて手が震えている。


震える指をどうにかしながら、1、1、0…番号を押す。

「はい、どうしました?」ゆっくりと聞いてくるオペレーターに、現場は見ていないが事故があった事と、住所や名前を告げる。

その後、救急車を呼ぶ為に消防にも電話をする。

たぶん連携していて警察に電話を掛ければ大丈夫かもしれないけれど、わからないので一応連絡をする。


警察にも連絡したし現場に行かねば。

電話をした責任と思い、私は上着を着て家を出た。


クラクションの音が聞こえるのは、家からすぐの交差点。

そこに向かう。

すでに数人の人がそこに居て、オレンジ色の街灯の下、皆同じ方向を見ていた。


私は旦那さんの側に行き、伝える。


「警察に電話してきたよ、救急車もくるよ。……で、車どこ?」


肝心の車が見えなかった。


「そこ」


旦那さんが街灯の下を指す。

薄暗がりに目を凝らす。

オレンジ色の街灯に浮かび上がった車。

横転し、こちら側に車の下を向け、ペシャンコになって二つ折りで街灯にからみついていた。

まるで街灯を栞にし、閉じた本のようだった。


私はその状況でも、運転手は自分と同じようにこの車を見ているのだと思っていた。


「運転手さんは?」


「そこ」


私の足元から2メートルも離れていない車の下に上半身が見えた。

その瞬間「ぐこごご…」運転手さんのいびきが聞こえた。




ああ……




状況を全て理解した私。

怖くなり無意識のうちに後退りをした。



「なんで来たの?家に戻って」



旦那さんの声にハッとする。

鳴り響くクラクションに混じって、サイレンが聞こえ始めた。

私は急いで家に戻った。


ベッドに入り旦那さんが戻ってくるのを待った。

少しして、旦那さんも戻りベッドに入ったので、私は眠る旦那さんにしがみついて夜が明けるのを待った。


しばらくするとクラクションが止まった。

そのかわりにギリギリと車を剥がすような金属音が鳴りだした。キーーン…と金属を切断する音。


その音は、通行人に子どもが混ざる時間を過ぎてまで鳴っていた。



年末の忘年会帰り、泥酔での運転による死亡事故。


翌日の新聞の隅に載っていた。

死に向かう人を初めて見た出来事だった。








拙い文章、最後までお読み下さりありがとうございます

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― 新着の感想 ―
こういう話を見ると思い出す慟哭がある。 法定速度60㎞/hの一般道を走るマイカー。 それをあっという間に追い越し、さらに追い越す、レースの様に走る二台の車両。 それは坂の上を越え、見えなくなり……そ…
[一言]  警察に電話したこと結構あります(笑)  事故の対応も何度か。  死亡事故はありませんが。  お酒は飲まないので、酔っ払い運転はしません。  だから、飲み屋さんに行くときは、私が運転役やっ…
[一言] 大変恐ろしい思いを。 亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
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