壁ドンやら、顎クイやらは怖いって話し
モテ話、怖い編。
ファイターコロンは戦う。
私の前を歩くそいつ。
誰もいない会社の廊下で突然振り向き、私に壁ドン!して…
「お前さ、俺と付き合わない?」と言ってきた。
「え?絶対に嫌だけど」と、言っているのに顎をガシッと掴まれ、キスされそうになる私。
無意識にカラダが反応し、私もそいつの顎を下から突き上げた。
(掌底打ちというやつの、打ち込まないで押し上げる感じ)
ナイス私の反射神経。
タコチューの口になる私と、下から顎を突かれるそいつ。
ギリギリと音がしそうな時間をやり過ごし、諦めたのはそいつ。
何を勘違いしてんのか、そいつは会社の同僚なだけだ。
本当に勘違いの人だったとわかるのは、そいつが会社の存続に関わるほどのミスをした時。
大勢の人の前で「これは俺を嵌めようとしている誰かの陰謀だ!」と言って一切謝らなかった時。
今の時代ならば一瞬で首が飛ぶ行為は、昔は日常だった。
「愛人になる気ある?」とか「あんたならすぐ愛人になれるでしょ」とか。
会社でそんな話はよくあった。
隠し撮りされてコロンファイルを作られていた事もありました。
これはさすがに上司に…訴える前にその場でケンカしてしまったんだった。
社員旅行に行った時の事。
夕食後は数人で一つの部屋に集まり、ワイワイと呑んでいた。
部屋の備え付けのビールがなくなったので、下っ端の私は別の部屋に取りに行く。その部屋には、皆んなのところには来ないで一人でテレビを観ている男の先輩がいた。
私はビールをゲットし「皆んなあっちの部屋にいますよー」なんて言って部屋を出ようとした時…浴衣の裾を掴まれた。
!!!(スライムがあらわれた!みたいな)
裾が引っ張られ、するすると生足が見え始める。
「うおわっ!ちょっ!どうしたんですか!」
慌てる私。
「行かないで。俺…コロンちゃんの事が…」愛の告白を続けながら浴衣の裾を捲る先輩。
なんか目がいっちゃってるんですけど…。
裾がこれ以上捲られないように、片手で押さえながら私が思った事は「私今ビール瓶持っているけど、これで殴っても大丈夫だよね?」だった。
私の瞳が先輩の後頭部をロックオンした。
その時、私の心の声が聞こえたか、ビール瓶が目に入ったのかわかりませんが、先輩はハッとした顔をして私から手を離し頭を抱えて蹲った。
先輩が正気に戻った瞬間。
私は「皆んなあっちの部屋にいますからね?」と、何でもないふりをして部屋を出て行く。
廊下に出てから「うおーっ!危なかった!危なかった!」と、クネクネと変な動きをしながら皆んなの部屋に戻った。
「脳内溢れ話」の第10部の「あとをつけられる恐怖と…」と、合わせるとなかなか危ない思いをしている。…と思う。
これくらいって普通にある事なのかな?





