4話目 全知全能の使者
「アオ」でいいよ、と言われた。
「じゃあ私のことは、アヤでいいですよ」
「どんな字?」
「いろどる、の漢字で『彩』、愛称です」
【アオ】が言うには、アオは【夢通いの束ねの役割】をする能力者らしい。
異世界が色々と問題解決を望んでいて秘密保持のためのオタクが集められた。
たとえば指輪のようなアイテムで「夢」を借りて異世界に干渉するってこと。
期待は大きかったけど、親和性ってやつについてどうしても適応、適合できなかった。
大半が、「ふざけた」らしい。
異世界の問題をクリアするごとに、現実世界から給付金があるそうだ。
そのうわさは聞いたことがあった。
オタクのハトコが現実世界で口に出していた。
それから誰が流しているのかは知らないけど、ラジオ番組にも取り上げられていた。
それを偶然チャンネルをひねった日に聴いた。
まだその番組が続いているかも知らない。
秘密にしてないといけないなら、もしかしてとんでもないことなんじゃ・・・?
アオは、「僕が唯一選んだ君に、悪夢は担当させない」と言った。
「ぜひ、僕が同行するから日記に夢の内容をまとめて欲しい」
「そんなに文字の読み書きがムズカシイ体質なの?」
「そうなのです。だからサポートアイテムの『セール』も同行するかもしれない」
「先に言っておこう、僕セールは現実世界の使者だ」
「何をサポートしてくれるの?」
「日記を書く潜在能力を引き出したり、夢の中でアイテムを出したりできる、つまり現実世界への使者」
「・・・ん?」
「君は少し文字の読み書きに問題があるが、ふざけない命。だから選ばれた。僕は全知全能によって作られた『現実世界への使者』なんだよ」