14話目 甘い香りのするイメージ歴
街では、数日かけたハロウィンの効果もあってか涼しげな心地良い風が吹いていた。
多分その期間はアオ君のお店は忙しいだろう、と思って、来店を当日は避けた。
秋の小物は可愛らしいし、まだカボチャ柄なんかの商品が残っている。
ボリュームニット帽をかぶっている私に、アオ君は真珠かざりを贈ってくれた。
お客さんは偶然私ひとりの時間で、アオ君は商品を見ている私を抱きしめた。
びっくりしてしばらく動けない私に、アオ君は「いい?」とたずねた。
「な、なにを・・・?」
「君ってそう言えば何歳なの?」
「十九歳ですよ」
「もしかして・・・」
「ユニサスがふところに甘えたんでしょうに・・・」
「なるほど・・・そんな言い方なんだ?」
「ん?」
キスをされて、思いもよらぬ力でカウンターに追い込まれて座る体勢。
熱が上昇するような首筋へのキスに「無理っ」と声を上げた。
びっくりしている様子のアオ君が「何故?」と不思議そうにしている。
「何故もなにも、無理っ」
「どうして?」
「無理っ。今日はもう帰りますっ」
「僕が悪いの?」
「よく分かりません」
「どういう意味?」
恥ずかしさで真っ赤になっているであろう顔のまま急いで店を出た。
どうやらアオ君が女性に困ったことがないらしいことは分かった。
乙女な私には、急速すぎるアプローチだった。
だから「無理」って言った。
まだ戸惑っている。




