俺と来るか?
よろしくお願い致します。
目が覚めた時には俺はイヴの作業小屋の場所にいた。
そこには俺の顔を覗き込むイリスとイヴがいた。
俺が起きるなりイリスが抱き着いてきて、
「良かった…生きてた…」
と言い離れてくれないイリスに俺は、
「抱き着いてくれるのは嬉しいけどな…
その前に窒息するぞ!」
そう言うとイリスは慌てて離れる。
「ごめんなさい…もう3日も起きないから私…」
そこで初めてコトハは自分が3日も意識を失っていたことを知った。
するとイヴが「薬…きいてて良かった…」
と言い作業台に戻っていく。
「イヴが助けてくれたのか?やっぱ天才だな
これから行く旅に俺と一緒にこないか?」
冗談半分にイヴを誘うとイリスが
「旅ってどこかに行ってしまわれるのですか?」
と聞いてくるので俺はこれからの予定を
イリス達に話した。
「そうですか…
宇宙船を探してこの星を探索するんですね」
実際この星の大きさも分からないから
見つかるかも分からないけど…
「俺はこの星を知りたいんだよ…まだ未開の地が多い
この星でいろんな町や生物を見て回りたくてな」
そんな会話の後、俺は全快になったその体で
出発に向け準備をする。
「眠っちまったせいで、出発は遅れたがこれで
準備完了だな」
そして次の日俺は村中に挨拶をして回った。
外から来た俺にここにいてほしいなどと
惜しんでくれている人もいた。
グランの家に行くとグランからかなりの数の金貨を貰った。
一緒に採掘したことや村のインフラ設備を整えてくれたお礼だと言う。
「短い間だったけど俺はこの村にこれてよかった
…ありがとう…」
そう言うとグランは、
「またいつでも戻ってくるがよい…
ここをおぬしの第二の故郷だと思ってな…」
俺はグランと握手したのち村を出た。
すると村から少し離れた道の木の下でイリスが
待っていた。
「挨拶もせずに行ってしまうつもりだったんですか?」
ちょっと怒ってるかな…
「イリスの家には行ったけど、留守みたいだったからな、ちゃんと手紙は置いてきたんだが…」
と言うとイリスは、
「最後に姿くらい見せていってもいいでしょう?」
と言ってきた。
やっぱり怒ってる…
その後二人は少し思い出話をした後、
そろそろ出発という所でイリスは、
「もう行くんですね…」
そう寂しそうに言うイリスに俺は…
「何言ってんだ?イリスも一緒にくるんだろ?
俺と一緒に」
そう言うとイリスは驚いた後、慌てて
「なっ……なんでですか?違いますよ…私は…」
と否定してはいたがイリスの心は揺れていた。
コトハの言う世界を見て周るというのにも、
イリスは惹かれていた。
しかしそれは幼い頃からよくしてもらっている
村の人たちと離れてしまうということでもあった。
イリスは両親の仇を討つ、
という目的の為だけに生きてきた。
しかし仇を討った今、
イリスは生きる目的を失っていた。
「私は…私は…」
そう言ってうつむくイリスに俺は
「無理に来てくれとは言わねーさ
イリスも村には思い出があるだろうしな…
…だがもし俺と一緒にこの星を…この世界を
旅したいって思うなら…」
そう言ってうつむく彼女に手を差し伸べる。
「俺と来るか?」
そう言うと彼女はそっと彼の手を握った。
ありがとうございました。
次もよろしくお願い致します。