地球の記憶
よろしくお願いいたします。
西暦2100年地球はもう予測不能なほど異常な気象が連続して、
地表で生活することを諦めた地球の人々は各国で地下に巨大な都市を建設し、
そこで生き残るための環境整備を行った。
地表は水の確保と太陽光による発電の目的の建造物があるのみであり、
その他の動物や生き物を完全に人間の管理下に置くことで、
人工的な食物連鎖を構築、人工の海や森で養殖を行っていた。
しかし問題があった、それは人口があまりに増えすぎていたことであった。
食料、水、電気量の不足そして、地表の空気が変質し取り込め無い為、
空気の清浄化が間に合っていなかったのである。
政府は急ぎで計画していた宇宙ロケットと冷凍睡眠保存装置の開発を進め、
日本人口の3割を第一陣として、宇宙航行させる計画を立てた。
当然反発もあったが、ここで生きる人類すべてが枯渇するよりましだと考え、
すでに完成されていた個人ナンバーでの抽選により、地球に残るか宇宙ロケットで
航行するかを決めることになった。
綾辻 言覇 18歳 高校を卒業後、大学に入学。
コトハは昔から、とてつもない頭脳と運動神経を兼ね備えていたが、
とてつもない変人だった。
自分の興味のあるもの以外やる気も出ない、会話もしないタイプで、
中学、高校のクラスメイトからは敬遠されがちだった。
そんな俺が大学1年になった時に地球滞在抽選はいきなり行われた。
その当時はFPSゲームののS6ARKというゲームにはまっており、
俺はサバゲーや、実銃の試し打ちなどにしか興味がなかったが
抽選の内容を聞きコトハは自ら、宇宙ロケット航行へ志願しあっさり受理された。
このまま地球にいるより面白そうだし、家族もいない。
俺がいなくなったところで悲しむ奴なんていないのなら
保証のない宇宙旅行の枠を1つでも減らしておくか…
誰も宇宙ロケットになんて乗りたくは無いだろうしな。
生き残る保証もその先に居住できる星があるのかもわからない。
仲のよかったゲーム仲間やクラス仲間、友人にも連絡しておいた、
皆からいろいろメッセージを受け取り、そして今日ようやく
宇宙に飛び立つことになった。
まるでお通夜だな。
宇宙ロケットの中に入った人たちは当然喜ぶ人などおらず、
祈っている者、こんなはずはないと暴れる者、すでに終わった表情の者と様々な人がいる。
中にはクラス仲間、ゲーム仲間が少数いたが皆家族と最後の時を過ごしていた。
「家族がいない俺って寂しいやつだな」
それを聞いた後ろの人が「そんなに寂しかったら話し相手になってあげよっか?」
と声を掛けてきた。
普段なら無視しているところだが、別にすることも無いしちょうどいいかと思い、
振り向きながら「どうもありが…」と言おうとしたところで言葉が止まった。
そこには、幼馴染の水姫 雫がいた。
「何やってんだ…お前…」
驚く俺に雫は、「コトハがこの先ちゃんと生活できるか心配だったから」
と言って、透明な睡眠装置の中に座った。
「今すぐここを出ろ!お前は地球に残れる権利があったはずだ、早く戻れ!」
雫の家庭には優秀な科学者の両親がいてこれからの地球の未来のために必要な
人材であった為、抽選なしの地球残留の権利があったはずだった。
「ごめんね…それはできないよ…
自分の一生を懸けても一緒にいたいと思える人がいるんだもん…
このままもし死んだとしても私は後悔しないよ」
その言葉の後、警告音が鳴り睡眠装置の起動が始まり透明な壁が二人の間に現れる。
最初俺はそれが誰のことか気づいていなかったが、睡眠装置起動の直前気づく。
俺のことだったのか…?
雫は常に他人と距離を置いていた俺に幼いころから一緒にいてくれた。
最初はずっとついてくる為、うざったく思っていたが両親のいない俺の家に
来て一緒に生活するうちにそれが当たり前になっていた。
そして雫もまた両親は忙しく家におらず、見た目が綺麗な為いじめられていた
こともあり、二人でいることが多かったのだ。
俺は薄れゆく意識の中、もし生きて生存可能な星にたどり着けたなら
彼女を自分の一生を懸けても守ろうと自分の中で誓った。
見てくださりありがとうございます。
次もよろしくお願いいたします。