異世界転移?
20xx年某日、日本は謎の光に包まれた。光が消えると見慣れない世界に移動していた。
「…どこだここ?」
先ほどまでいた実験室とは異なり中世の街並みのような場所に瞬間移動していた。おそらく、先ほどの光による影響であると推測される。
「女神様の言葉通り3人の異世界人が来たか。」
隣にいるのは研究室の同期の『山本俊夫』と高校からの友人の『坂本隆二』。目の前の男の言葉からこの国では女神信仰である可能性がある。所謂テンプレものなのか?
「俺はこの国のギルドマスターを務めているレオンだ。聞きたいことがあるな答えられる範囲でなら答えるぞ。」
「ありがとうございます。僕は坂本隆二といいます。隣にいるのは左から山本俊夫と藤堂錬です。では早速、なぜ僕たちが召喚されたのでしょうか?」
「わからん。女神様の気まぐれだろう。」
「その女神さまというのは今までにも異世界人を召喚したことがあるのでしょうか。」
「近くの国のエルフや獣人を召喚したり、俺たちが他の国に転移させられたりすることは何度かあったが、異世界からの召喚はおそらく500年以上ぶりくらいだ。女神が言うにはこれから1月ごとに何人かの異世界人が来るらしい。異世界から来る人間には身分を証明するものがないから、ギルドで世話をすることになっている。この世界の仕組みについてはギルドに向かいながら話そう。」
どうやら拒否権はないらしい。見るからに丸腰で戦闘能力がないと主張しようとも、素性の知れない【異世界】の人間を放置しておくのはまずいという事だろうか。俺たちのことを遠巻きに見ている人間も明らかに日本人ではないが流暢な日本語を話している点や、剣や槍・メイスといった殺傷力のある武器を携帯している点から、ここがコスプレ会場でない限りは本当に異世界であると考えてもよいだろう。
「まず、この国は国王が住んでいる王城を中心に円状に広がっている。人口が増えることはあっても減る事は滅多にないから国土を日々広げている。また、近隣の国とは馬車を使っても最低1週間はかかる距離にあるから、お前らが他の国に行けるのはかなり先の話になるだろう。」
「1週間かかるとなると、食料の輸出入は冷蔵庫とかがない限り、生もの厳禁ってことですね。」
「いや、マジックバックという時間経過の影響を受けない魔道具があるから問題ない。あまりにも遠い国とは交易所にゲートを設置して取引を行っているから新鮮な野菜や特産品の輸出入が可能だ。それより、俊夫の言う冷蔵庫ってなんだ?」
「自分達の世界では生ものを冷蔵・冷凍保存する機械があり、それが冷蔵庫や冷凍庫と呼ばれています。電気で動くので設置コストと稼働コストがかかりますね。」
「科学が発展した世界というわけか。俺たちの世界にも機械の国があるが冷蔵する機械何ぞ聞いたことがないな。魔道具で代用できるから作る必要もないのか…?」
確かに、わざわざ機会を作らなくともマジックバックとやらがあれば十分なのだろう。モノを見たことがないから何とも言えないが、それの開発よりも重要なものがあるのかもしれない。それについては追々考えるとして、物価や税金などについても聞きたいことは山ほどあるが、何よりも
「俺たちはこれからどうなるんですか?」
「まずは身分証の発行だ。ギルドカードを発行すればお前たちは俺のギルド所属になる。そこでこの世界での生き方……例えば、金の稼ぎ方や安い宿屋、今後の身の振り方についてお前たちの希望や適性を考慮して指導する。死に急ぐような行動さえしなければ生きていけるようになるはずだ。」
「なるほど。俺たちの適正についてはどうやって判断するんですか?」
「ギルドカードを発行すると、本人の適正ジョブや適性武器、ステータスについてを見ることができようになる。勿論、本人の許可がないと見れないがな。ギルドに所属したものは基本的にこの適正に合わせて指導したり、提携している武器・防具店を紹介したりするんだ。」
「例えば僕の適正が剣士だけど他の仕事がしたいってなった場合はどうなるんですか?」
「その場合は本人の希望に沿って指導するな。戦闘職に適性があっても戦いたくない人間だっている。そんな奴らを無理やり戦わせるわけにはいかないからな。まぁ、指導とは言ったが本当に基本的なことだけで、本格的な指導を受けたければ金が必要になる。慈善事業ではなく、あくまでサポートや仕事の斡旋をする代わりに手数料を貰うことで成り立っている組織であることは頭に刻んでおいてくれ。」
「「「わかりました。」」」
「そうこうしているうちに着いたな。ここがカドニア王国のギルドだ。」
5階建てのでかい屋敷のような外観の建造物だ。中に入ると郵便局や銀行のように受付があり、そこに人が並んでいる。歩いているときにも感じたが、都心のように人に溢れているな。どうやら3階に上がり、そこでギルドカードを発行するらしい。俺の適正はいったい何なのだろうか、20代半ばに入っているにも関わらず、年甲斐もなくワクワクしてきたな。