お兄ちゃんが、ずうっと幸せでいること
幸せでいることシリーズさっちゃん視点です!
ぜひ、ご覧ください!
お兄ちゃんが死んだ。
なんで私を置いてっちゃったの?
お兄ちゃんがいない世界なんて意味がない。
なんで。
なんで。
何それ。
笑えないよ。
お兄ちゃんは、私のお兄ちゃんでしょう?
勝手に死なないでよ。
苦しいよ。
悲しいよ。
寂しいよ。
ほら、私、泣いてるよ。
いつもみたいに、慰めて。
ねえ、慰めてよ。
なんで。なんで、お兄ちゃんなの?
お兄ちゃんがいるから、私は生きてる。
お兄ちゃんがいるから、笑っていられる。
いつもみたいに、子供っぽいでもいいから。
私の隣で、笑いながら、お話してよ。
ほら。お願いだよ。
もう、わがまま言わないから。
もう、泣いたりしないから。
もう、迷惑かけないから。
帰って来て。お兄ちゃん。
いつもみたいに、
「おはよう。さっちゃん。元気?」
って、話しかけて。
お兄ちゃんと一緒に居られるなら、なんだってするから。
大嫌いなピーマンだって、グリンピースだって、パセリだって食べるから。
だから、お願いだよ。
お兄ちゃんが居なかったら、私が生きてる意味なんて、ないんだよ。
勝手に居なくならないでよ。
お兄ちゃんが居ないこんな世界なんて、大嫌いだ。
***
いつもと同じように、時が過ぎる。
こんな世界が、憎たらしい。
私はいつも、お兄ちゃんの部屋にいる。
そしたら、そこにお兄ちゃんがいるような気がするから。
空は青い。
鳥も鳴いてる。
いつものように太陽が昇っている。
でも、お兄ちゃんが居ない。
それだけで、この世界は喪失感であふれているんだ。
いつも、私はもう小3なのに、同じように話しかけてくるお兄ちゃんがちょっぴり憎かった。
私だって、大人なんだって。
お兄ちゃんの言う通りだった。
私、全然大人じゃなかったね。
ああ、いつものように回る世界が、たまらなく憎い。
お兄ちゃんが居ないこんな世界なんて、大嫌いなのに。
この世界は、そんな私にかまわず、平和なのだから。
ただただ、私の目から、涙がこぼれた。
***
お父さんとお母さんが、私のことを心配そうにドアの外から伺っている。
ごめんなさい。お父さん。お母さん。
今は、まだ、無理なの。
わかってる。
いつもみたいに、学校の友達に、
「おはよう!」
って言うべきだよね。
そしたらきっと、またおんなじ日常に戻って、笑顔になる。
何かが変わる。
でも、怖いんだ。
どうしても、怖い。
私の日常から、お兄ちゃんが消えるのが。
お兄ちゃんの残り香も、ポツポツと消えていってることなんて、きづいてる。
ただ、そんなの認めたくないだけ。
ああ、私の大好きな人たち。
もう少しだけ、待ってください。
***
ああ、大丈夫だった。
でもね。信じてるよ。いつか、また、会えるって。
だから。
お兄ちゃんのことを、忘れない。
だって私は、どんな大好きな人たちの中でも、お兄ちゃんが一番、大好きだから。
いつか、また、会おうね。
ずっと私は、お兄ちゃんのこと、大好きだよ。
だから、たまにお兄ちゃんのことを、思い出す。
たまに、お兄ちゃんと一緒にいたいと、切実に、願う。
これくらい許してね。
でも、一番に、願うのは。
泣きたくなるくらい、大切で。
苦しいくらい、大事な。
お兄ちゃんが、ずうっと幸せでいること________