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進化した花凜

「なんか、ここのところ、恋人らしい雰囲気ではなかったですわね」


「まあそうだな……まあでもそういう時期もあるもんじゃないかな」


 僕が言うと、向かいにいたみかんはテーブルからソファに移動した。


「でも、そういう時期から抜け出せそうな時は、凛太はどうするのですわ?」


「それは今のこと……」


 みかんがソファでうなずいた。


 僕は、みかんの隣まで行って、座った。


 改めて見ると、みかんは水族館に二人で行った時と同じ格好をしていた。


 僕が太ももが好きだと知っておきながら、太ももが大胆に出ている格好だ。


「じゃ、手でも繋ぐ……えっ」


 僕が手を差し出したと同時に、みかんは身体全体を僕に預けてきた。


 そのままソファに倒れた僕は、みかんに抱きしめられた。


「これが、好きってことですわ」


「たたたたっ……大変理解したと思う」


 柔らかすぎた。ここのところあんだけダンスをやっていたんだから筋肉ついたと思うんだけど、それでも胸もほっぺも全体も柔らかすぎた。


 ていうかなに。これ抱き返せばいいの?


 お子様ランチを作った時に、児童館の子供たちはお礼のお手紙をくれたりする。


 純粋な小学生はお返しができる。


 つまり、この純粋な僕は今お返しをするべきで、つまり抱き返して腰や太ももやお尻を触ってしまうことが最も純粋。はい全解決だなこれは。


 僕はみかんを抱き返してみた。


 みかんが嬉しそうに動くので、本当に色々なところを触ってしまった。これで良いのかな……。


 柔らかいほっぺを通して音が届く感覚になるくらい、近くでみかんが言った。


「キス、したいですわ」


「わわ……ちょっと待て」


 もしかして結構僕といちゃいちゃしたかったの? それだったらまあ僕もいいんだけどね。


 とか考えていると、本当にキスされてしまった。


 幼児の頃母親にとかをのぞいたら、本当に初めてな気がして、感覚は言葉にできず、一つ言えることは、みかんを強く抱きしめてしまったということ……ガチャ。


「はい! カットー! すごいねお兄ちゃんとみかん!」


 僕は瞬時にみかんから離れる。それをみかんもやったので、次の瞬間には、僕たちは間隔をあけてソファに座っている状態になった。


「ただいま。なんか帰ったらびっくりだよお兄ちゃんもみかんも」


「ごめん……」


「ごめんなさいですわ……」


「あまりにびっくりしすぎて思わず動画が撮れちゃったよ」


 花凛は立派なビデオカメラを構えてにこにこしていた。


 やばい。なわとびの長さ調節したときの切れ端ほどもびっくりしてなかったな花凜。


 カメラからビデオカメラに進化してただけだった。


「そのビデオカメラはどうした……?」


「ダンスの練習用だよ。なわとびって縄の動きが速いからビデオカメラでスローモーションとって分析するといいってことになって学校が貸してくれたよ」


「そうか……」


「というわけでさっき、お兄ちゃんとみかんが仲良しな感じだったのをスローモーションで撮ってみたからあとで上映会しようね!」


 スローモーション! やばい。


 みかんを見れば、ソファに丸まっていて、お尻や太もものむちむち度がとてもよくわかる感じになっていた。


 よくみたら耳も塞いでいる。


 僕はため息をついて、にやにやに変わっていた進化した花凛を見た。


 不思議と、こうやって色々と煽ってきたりする花凛がいると、それはそれで安心感がある。


 みかんだってきっとこのまましばらくすれば、そう思い始める可能性もありそうな気も少しする。


 というわけで、僕は立ち上がった。


「よし、夕飯の準備するか。今日は三人でご飯食べよう。メニューは……お子様ランチにしよう」

お読みいただきありがとうございます。

次が最終話の予定です。


新作についてですが、新作は本作よりは普通のラブコメで、JKになった花凜と万実音ちゃんが登場する予定です。最終話のあとがきにリンクを乗せる予定なので、もしよろしければ読んでくださるとうれしいです。

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